戦場の女神

ニタマゴ

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第四十二話 参戦

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運転手たちと話し合いの結果、アメリアたちは少しだけ車にのせてもらうことにした。その時に食事や休憩を済ませる。
トラックが道路を駆け抜ける。荷台には物資とアメリアたちが身を低くして乗っていた。
少し進むとトラックは止まった。アメリアの3人が降りる。
この近くは戦闘が続いているアメリアたちは参戦する義務がある。
アメリアはトラックの運転手に礼をして、戦いの続いている方へと歩いたその瞬間だった。
さっきまで乗っていたトラックはまだ少ししか離れていないが、爆発して、それとほぼ同時に砲弾の放たれる音や爆発音が伝わってくる。
「クソ!全員隠れて!」
アメリアがテリーとアングレの二人に指示する。3人は素早く隣の建物に身を潜めた。
あたりではまだ銃声や砲撃音が続いているが、それより戦車のエンジン音が大きかった。
トラックの残骸を押し倒し、交差点から何十人ものスタラナ兵が乗った戦車がゆっくりと近づてくる。
「アメリア!どうする?」
アングレは少しパニックになった。こんな間近で戦車を見ることなんてそうそうない。
「真正面からやり合っても絶対勝てない。静かにして、敵が過ぎるのを待つしかない」
3人が隠れた建物は飲食店だった。多くの机があり、まだ食事が残っているものもあった。
戦車が真横を過ぎた。アメリアは頭を出して左右を確認した。
「クリア、ついて来て、できれば大部隊と合流したい」
建物の壁に沿って3人がゆっくりと動く。さっきのトラックはもう真っ黒焦げになっていた。
道路の横を3人が走りながらすり抜ける。周りでは戦闘音が続いているが、仲間の姿も敵の姿も見当たらない。
そんな時だった。一発の銃弾が最後尾にいたアングレの仮面に直撃する。
「隠れて!」
アメリアが叫んだ。3人はまた建物に隠れる。アングレの仮面は意外にも硬く、銃弾も防げた。
「何その仮面。すごいな」
「これは・・・あの・・・まあ~」
アメリアがバックから煙幕弾を取り出して、道路に煙幕を張った。
「行くよ!」
「了解!」
3人は煙幕の中をすり抜け、交差点を曲がる。
すぐ前に一人のスタラナの兵士がいた。その兵士は怪我していた。それでも彼はポケットにあったハンドガンをゆっくりと取り出し、アメリアたちを撃とうとしたが、アメリアに両足を撃たれ、その場に倒れた。
「敵一名無力化、周囲を警戒」
「・・・」
アメリアが倒れている敵を路地に引き込み、銃を奪った。医療箱から包帯を取り出し、応急処置をしてあげた。
「なぜ?殺さない?なぜ救う!?(スタラナ)」
だが、アメリアはスタラナ兵の言葉を無視した。
「行くよ!」
3人はまた歩き出す。ただただそこに一人兵士が取り残された。
「(クソが、なんなんだよ・・・殺そうとした俺がまるでクズじゃねえか・・・)」
to be continued...
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