戦場の女神

ニタマゴ

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第三十五話 現実逃避

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「そうですか?勝手に思っといてください」
「本当にキモいんだよ!死人に失礼だと思わねえのか!?」
アメリアがケイに背を向けたまま、立ち上がる。
「思いませんね、死んだら人間はただの有機物の塊です。私たちがいつも食べてるものと実質同じってわけですよ」
「お前!このクズが!」
アメリアが振り返った。口ものはニコニコしているが目からは大量の涙がボロボロ落ちている。
「え?」
「ごめんなさい」
アメリアがハンカチを出して顔を拭いた。でも口元はまだニコニコ
「こうしていないと、心が正常を保てないんです!」
アメリアは15番隊を離れた際、いろんなことを経験した。
初めて人を殺した。
初めて守るべきものを見つけた。
初めて死への恐怖と後悔
初めての安堵
初めての感情
初めての怒り
初めてその怒りをぶちまけた。
そして、守るべきものと自分を守っていたものが今消えた。
「私は辛いんですよ。でも人間は笑っていれば他者も自分も楽しいって苦しくないって
アメリアは何秒か笑うのをやめたけど、すぐにまたニコニコに戻った。
「あんた大丈夫?」
空気の読めないアングレがアメリアの肩に腕をかけながら言った。
「うん、大丈夫じゃない」
笑いと泣き、二つの感情を交えながらアメリアは答えた。
「どっちだよ?アメリアちゃんそれすごく変だぞ!」
「うん」
そんな時ケイが地面にへたれ落ちた。
「何なんだよ。どいつもこいつも・・・自分の感情をぶちまけやがって、誰が悪いのか分からねんだよ!」
15番隊全員が放心状態だった。今まではハクリ体調が引っ張ってきたけど、今はその隊長もいない。全員がどうしようもなくなり、自分の世界に入り込んでいた。
一人を除いて・・・
アングレはピンピンしていた。別ハクリ隊長と仲が良かったわけでもないから、死んでもどうでも良かった。というか、彼は周りで多くの死を昔経験していて、死には慣れてしまった。そのせいで他人が死んでも悲しいという感情がなくなっていた。
「(今これどういう状況?さっきまでみんなで施設の冒険をしようとしてたんじゃないの?)」
と思っている。つまり彼は今・・・
困惑している。
自分の大切な人が死んだ際、人は「まさか、そんな・・・」と思い、現実逃避します。しかし、それはあくまでもだった場合だ。この場にアングレにとって大切な人はいない。アメリアはただ可愛い人だなと思ってるだけだ。
そして、夜が訪れる。
to be continued…
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