戦場の女神

ニタマゴ

文字の大きさ
上 下
31 / 51

第三十一話 ナニカ2

しおりを挟む
1分ほど、建物に大きな揺れが続いたが、すぐに止まった。
ハクリ隊長は玄関の方へと行き、扉を開いた。
あたり一面火の海だった。
空の向こうには爆撃機の姿もある。
「くそ!」
テリーが壁を叩いたさっきテントのあった場所にはもう何もない。
何もかもが消し去ったのさ。
「(赤ちゃん・・・)」
アメリアは赤ちゃんを心配したが、どうしようもなかった。
「全員建物から出るな、おそらくあいつらは証拠を建物ごと消すつもりだ。作戦はまだ生きてる。絶対に遂行するぞ!」
全員立ち上がり、さっきに廊下へと戻った。
本来なら一部屋一部屋つづ確認するが、いつまた空爆が来るかわからないため、彼らはそのまま一番奥の部屋へと行った。
薄暗い廊下から急に蛍光灯が満ちた工場なような部屋へ来た。
ここには人が入れるほどの大きさの試験管がいくつもあった。しかし、SF映画みたいに化け物が入ってるわけではなく、何かの液体だけだった。
そして、部屋の一番奥に裸で倒れてる男がいた。血は流してない模様。
「ハクリ隊長、スタラナ語喋れます?」
テリーが聞く
「少しならな」
ハクリ隊長がスタラナ語で大声でこう叫んだ
「おい!両手を上げろ!」
倒れてる人が反応した。
その男はゆっくりと立ち上がった。
「両手を上げろ!」
男は黙っていた。男の顔には真っ白なお面があり、視線確保のためか、穴が二つあるが、蛍光灯の強い光でも中を照らせていない。
ハクリ隊長は一番先頭で男に銃を向けていた。
「銃・・・は・・・嫌いだ。降ろせ・・・殺すぞ?」
男が喋った。
「隊長、何言ってるんですか?あいつ?」
テリーが少しだけパニックになって聞いた。
「すまないがわからん、だが殺すとかは聞き取れた。」
「やられる前にやりますか?」
「・・・」
ハクリ隊長は考えていた。相手がどんなやつかわからんが、非戦闘員への発砲は国際法違反、最悪の場合死刑になることもある。
「とりあえず拘束しよう」
ハクリ隊長が銃を下ろし、ポケットから結束バンドを取り出し、ゆっくりと男に近づいた。
その間、他の隊員は緊張しながら銃を男に向けていた。
「あいつら・・・銃・・・降ろせ、殺す(スタラナ)」
「すまないが、あまりスタラナ語はわからないんだ」
「俺もこっちの方が得意ぞ(ヘレニム)」
男が急にヘレニム語を喋った。一瞬ハクリが固まったが、すぐに体が戻り、男の両手を後ろから結束バンドで縛った。
「何をする!?殺すぞ!」
「安全のためだ落ち着いてくれ、君はそのままここにいてくれ。服はないのか?」
「服は大嫌いだ!暑い!」
男の見た目は高校生前半ほどの身長だった。しかし、喋り方や行動から知能はそれほど高くない
「おい!この紐を解け!殺す!」
「思ったことをそのまま言うな。」
「ああ!もう!いいや~」
パッチ!
結束バンドが急に二つに切れた。男の手の甲側の肘より下あたりの腕から肉色の尖っている刃物のようなものが飛び出した。しかも両手だ。
「これでスッキリ~」
to be continued...
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

【完結】カワイイ子猫のつくり方

龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。 無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。

私の隣は、心が見えない男の子

舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。 隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。 二人はこの春から、同じクラスの高校生。 一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。 きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。

夏の青さに

詩葉
青春
小学生のころからの夢だった漫画家を目指し上京した湯川渉は、ある日才能が無いことを痛感して、専門学校を辞めた。 その日暮らしのアルバイト生活を送っていたある時、渉の元に同窓会の連絡が届くが、自分の現状を友人や家族にすら知られたくなかった彼はその誘いを断ってしまう。 次の日、同窓会の誘いをしてきた同級生の泉日向が急に渉の家に今から来ると言い出して……。 思い通りにいかない毎日に悩んで泣いてしまった時。 全てが嫌になって壊してしまったあの時。 あなたならどうしますか。あなたならどうしましたか。 これはある夏に、忘れかけていた空の色を思い出すお話。

パラダイス・ロスト

真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。 ※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。

榛名の園

ひかり企画
青春
荒れた14歳から17歳位までの、女子少年院経験記など、あたしの自伝小説を書いて見ました。

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

制服の胸のここには

戸影絵麻
青春
金田猛と氷室基子はともに曙高校の2年生。 ある日ふたりは”校長”から協力して極秘のミッションを遂行するよう、命令される。 その任務を達成するための条件は、搭乗者同士の緊密な心の結びつき。 ところがふたりはそれぞれ深刻な悩みを抱えており、特に基子は猛に全く関心を示そうとしないのだった。 猛はといえば、彼もまたある事件から己の性癖に疑問を抱くようになり…。

処理中です...