戦場の女神

ニタマゴ

文字の大きさ
上 下
28 / 51

第二十八話 爆発

しおりを挟む
隊長たちが解決法を考えているとき、アメリアの心の中で何かが芽生えた。
「(また救えなかった・・・また?)」
煙幕の中、アメリアが立ち上がる。
「(前回人を助けたのはいつ?)」
そう考えながら、アメリアは腰のベルトからハンドガンを抜き出した。
「(でか・・・なんで人を助けるんだ)」
アメリアの目にもう一人のアメリアが映った。
煙幕の外にいる全く同じ自分、そのアメリアは笑っていた。
「ほら~殺りなよ~もう疲れたでしょ~」
一人の隊員が隊長にこう言った。
「隊長!煙幕が消えます!車の中に!」
「クソ!」
アメリアが狙撃手のいる建物を見つめた。
「そうだよ・・・悲しむべきなのは私じゃない・・・」
「そうそう」
もう一人のアメリアがアメリアをハグした。
「ほら~楽になりなよ~あなたには才能があるもん~殺しの~」
「(あれ?私って誰だっけ?)」
アメリアが建物の5階に銃を向けた。
ちょうどのその時、煙幕がはれた。
狙撃手も銃をアメリアに向ける。
バン!
アメリアのピストルから出た銃弾が狙撃手の銃の銃口を曲げた。
「クソ!何なんだよ!(スタラナ)」
アメリアが建物を入る。その間、隊長たちは全員人員搬送車の中に戻った。
「(悲しみも苦しみも死も、それを受けるべきなのは私たちじゃない)」
あっという間に五階に着いた。狙撃手もアメリアもピストルを相手に向けている。
「銃を下せ!(スタラナ)」
「もう遅い(ヘレニム)」
アメリアは躊躇なく銃のトリガーを引いた。銃弾が狙撃手の頭の中に入る。
そして、アメリアは倒れて死んだ狙撃手の腹に何度も蹴りを入れた。
「どうだ?少しはお前がやったことの間違いがわかったか?」
アメリアは車の方へと戻る。そして、慣れた手つきでパンクした車のタイヤを交換した。
そして、運転席にいた赤ちゃんに被していた防弾ベストを自分が着た。
「もったいない~」
そして、赤ちゃんを副運転席に置いた。
後ろにいた兵士たちは全員はビビっていた。なぜならアメリアの顔には多くの返り血がついてるのにもかかわらず、彼女はずっとニコニコしていた。まるで性格が違う。
運転席に乗り込んた彼女はドアを閉め、非常に慣れた操作で車を走らせた。
この間、誰もが沈黙し、何を喋ることもなかった。
バックミラーからアメリアの表情が見える。まだニコニコしている。さらには顔についた血をベロで舐めた。
少し走らせると、アメリアは車を止めた。
目の前には、列になって避難する住民たちがいた。そして、それを守るヘレニム軍の兵士がいた。
車の上にはバグラスターの国旗があったから、ヘレニムの兵士たちもあまり気にしなかった。
アメリアは赤ちゃんを抱えた車を降りた。最後にアメリアはバクラスターの兵士たちに敬礼をした。
「ありがとうね~」
そう言い、アメリアはヘレニム兵を合流した。
to be continued...
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

【完結】カワイイ子猫のつくり方

龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。 無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。

私の隣は、心が見えない男の子

舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。 隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。 二人はこの春から、同じクラスの高校生。 一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。 きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。

夏の青さに

詩葉
青春
小学生のころからの夢だった漫画家を目指し上京した湯川渉は、ある日才能が無いことを痛感して、専門学校を辞めた。 その日暮らしのアルバイト生活を送っていたある時、渉の元に同窓会の連絡が届くが、自分の現状を友人や家族にすら知られたくなかった彼はその誘いを断ってしまう。 次の日、同窓会の誘いをしてきた同級生の泉日向が急に渉の家に今から来ると言い出して……。 思い通りにいかない毎日に悩んで泣いてしまった時。 全てが嫌になって壊してしまったあの時。 あなたならどうしますか。あなたならどうしましたか。 これはある夏に、忘れかけていた空の色を思い出すお話。

パラダイス・ロスト

真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。 ※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。

榛名の園

ひかり企画
青春
荒れた14歳から17歳位までの、女子少年院経験記など、あたしの自伝小説を書いて見ました。

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

制服の胸のここには

戸影絵麻
青春
金田猛と氷室基子はともに曙高校の2年生。 ある日ふたりは”校長”から協力して極秘のミッションを遂行するよう、命令される。 その任務を達成するための条件は、搭乗者同士の緊密な心の結びつき。 ところがふたりはそれぞれ深刻な悩みを抱えており、特に基子は猛に全く関心を示そうとしないのだった。 猛はといえば、彼もまたある事件から己の性癖に疑問を抱くようになり…。

処理中です...