戦場の女神

第二十話 大使館2

「であんたはどうするのジャック？」
「大使館を探してくれないか？」
二人は小声でスタラナ語を喋っている。
「なんとかするよ・・・」
そう言い、エマは地図を取り出す。
「あった」
スタラナ大使館と書かれた建物がある。
「ここよ」
エマはジャックに地図を見せた。
「本当だな、その地図貸してくれないか！」
「え～やだよ、大切な地図だもん～」
「地図なんかいくらでもあるだろ！」
ジャックがエマから地図を奪い取った。
「おら、貸せ！」
「ちょっと！返して！」
ジャックは片手を高く挙げ、エマの身長では届かなかった。その隙にジャックは地図を見た。
「大使館は・・・どこだ？」
「もう、一回返して、大使館に連れてってあげるから・・・」
「それはありがたいぞ！」
ジャックはエマに地図を返した。そして、ジャックは軍服、エマは普段着といういかにも夫が戦争から帰ってきた感じを出していた。さらに、エマは片足が義足なので、周りの人も声がかけづらかった。20分ほど、二人は無言で歩き続けた。そして、二人は一つの交差点を曲がった直後にある光景を目にした。
多くの人が、戦争反対という札を挙げながら、スタラナ大使館の前で合議していた。
ジャックがゆっくりと地形を観察した。
「エマ・・・ここからは一人でいい。できるだけここから離れろよ・・・」
「えっ？ヘレニム語わからないでしょ？」
「大丈夫だ・・・」
「じゃあ私行くね～」
エマがその場を後にした。エマはそういう性格だ。すぐに物事を決めては実行に移す。
ジャックは大使館のすぐ隣にある旅館に目をつけた。
「（あの窓から飛び降りれば、ギリギリ大使館の敷地内には入れるだろう・・・）」
一方大使館内部では・・・
一人の男がカーテンの隙間からジャックのことを見た。
「まずいな～軍人が道路上に立っている。」
もう一人の男が話しかけた。
「大丈夫ですよ。入ってきても、私たちには機動隊が10人ほどいる上、国際法違反になりますから」
「何か起こらないといいけどな」
ジャックは大使館の隣にある宿に入った。まず、受付の人がヘレニム語で話し始めた。
「こんにちは～予約はありますか？」
ジャックは腰のベルトから銃を取り出して、受付の人に頭に押し付けた。
「え・・・」
受付のスタッフが手を震わせながら、降参のポーズをとった。
ジャックが後ろにある鍵に手を指差した。スタッフが全ての鍵を持ってきた。
「どれがいいですか（泣）」
部屋の場所を見ながら、ジャックは一つの鍵を取り、すぐに3階へと上がる。鍵を挿し、部屋の中へ入った。
部屋へ入ると、テレビを見ている中年のおっさんがいた。
「お前！誰だよ！」
ジャックが銃を向ける。おっさんはビビって両手を上げる。窓を開けてジャックはすぐそばに立った。
「（ここなら、ギリギリ大使館の中へ入れる。運が悪くても、どうせ骨折だろ）」
少し助走をつけ、ジャックは3階から行きよいよく飛び降りた。大使館の地面は芝生でできている。それほど痛くないだろうと考えながらジャックは受け身を取って地面に激突する。
to be continued...