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第十五話 難民
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「(どれほど走ったのか?高校のマラソンぶりだ・・・)」
アメリアは立ち止まり、リュックにある鉄製の筒に入った水を飲み干した。
空には時々戦闘機が飛んでいたりする。
「(とりあえず隠れよう!)」
アメリアが鍵のかかっていなかった一軒家に入った。
一階には何人かのスタラナ兵とヘレニム兵の死体や銃の薬莢が散乱していた。
「(ここにはいられない・・・)」
アメリアは階段を駆け上がり、2階のリビングについた。
そして、置いてあったテーブルの上にリュックを置いて、ヘレニム軍から配られたビスケット取り出した。
その時だった。
キッチンの方から、包丁を持った10歳ほどの少年が走ってきた。
「*%#$%3!」
スタラナ語を喋った。
包丁がアメリアのビスケットを持っていた右腕を切った。迷彩服に血が染み込んだ。
「殺してやる!(スタラナ)」
アメリアは銃を取り出して、少年に向けた
「近づくな!(脅しぐらいにはなるだろう・・・)」
「スタラナ万歳!」
少年はそう言い、包丁でアメリアを刺そうとした。反動的にアメリアはハンドガンのトリガーを引いてしまった。
バン!
銃から薬莢が弾き出される。
少年の腹部が被弾した。
「待って違う・・・そんな!?」
包丁が少年の手から落ちた。
「お母さん・・・(スタラナ)」
アメリアは自分の腕の怪我なんか気にせず、少年の腹部を治療した。
しかし、15番隊を治療したせいでもう包帯はそんなに残っていた。少年の傷に止血が進まない中、少年の呼吸は急に止まった。
「・・・」
「あんたが殺したんだよ!」
後ろから声がした、アメリアが振り返る。もう一人のアメリアが胸ぐらを掴んできた。
「あんたが殺ったんだよ!この人殺しが!」
「違う・・・私だって!」
アメリアが泣き出した。それよりも大きい音で隣の部屋から泣き声がした。
「え?」
もう一人のアメリアはとっくに消えていた。
アメリアは恐る恐るドアを開けた。すると、揺籠の中に赤ちゃんがいた。
~~~
「ハクリ隊長!13人しかいません!」
「そうか・・・」
生き残った15番隊はもうとっくにアラスカを出て、そう遠くない駐屯地に向かっていた。
一人の若い兵士が喋った。
「アメリアちゃん・・・死んじゃったかな・・・」
「そりゃ死ぬさ、いつか死ぬ時が来るんだ。俺もお前も・・・テリー、お前まさか、アメ・・・」
中年の兵士が言い返した。言い終わる前にテリーが話を止めた。
「そうだよ!好きだよ、アメリアちゃんのこと・・・一目惚れだったんだ!戦闘機に襲われた時も一人で多くの人を助けた!かっこいいし、声も顔も行動も可愛すぎるだろ!」
「テリー・・・正直言ってキモいぞ、もう死人を侮辱するのはいい加減にするんだな、バチが当たるぞ・・・」
「うるせえ!このジジイが」
「何がジジイだ!これでもまだ45だぞ!」
to be continued...
アメリアは立ち止まり、リュックにある鉄製の筒に入った水を飲み干した。
空には時々戦闘機が飛んでいたりする。
「(とりあえず隠れよう!)」
アメリアが鍵のかかっていなかった一軒家に入った。
一階には何人かのスタラナ兵とヘレニム兵の死体や銃の薬莢が散乱していた。
「(ここにはいられない・・・)」
アメリアは階段を駆け上がり、2階のリビングについた。
そして、置いてあったテーブルの上にリュックを置いて、ヘレニム軍から配られたビスケット取り出した。
その時だった。
キッチンの方から、包丁を持った10歳ほどの少年が走ってきた。
「*%#$%3!」
スタラナ語を喋った。
包丁がアメリアのビスケットを持っていた右腕を切った。迷彩服に血が染み込んだ。
「殺してやる!(スタラナ)」
アメリアは銃を取り出して、少年に向けた
「近づくな!(脅しぐらいにはなるだろう・・・)」
「スタラナ万歳!」
少年はそう言い、包丁でアメリアを刺そうとした。反動的にアメリアはハンドガンのトリガーを引いてしまった。
バン!
銃から薬莢が弾き出される。
少年の腹部が被弾した。
「待って違う・・・そんな!?」
包丁が少年の手から落ちた。
「お母さん・・・(スタラナ)」
アメリアは自分の腕の怪我なんか気にせず、少年の腹部を治療した。
しかし、15番隊を治療したせいでもう包帯はそんなに残っていた。少年の傷に止血が進まない中、少年の呼吸は急に止まった。
「・・・」
「あんたが殺したんだよ!」
後ろから声がした、アメリアが振り返る。もう一人のアメリアが胸ぐらを掴んできた。
「あんたが殺ったんだよ!この人殺しが!」
「違う・・・私だって!」
アメリアが泣き出した。それよりも大きい音で隣の部屋から泣き声がした。
「え?」
もう一人のアメリアはとっくに消えていた。
アメリアは恐る恐るドアを開けた。すると、揺籠の中に赤ちゃんがいた。
~~~
「ハクリ隊長!13人しかいません!」
「そうか・・・」
生き残った15番隊はもうとっくにアラスカを出て、そう遠くない駐屯地に向かっていた。
一人の若い兵士が喋った。
「アメリアちゃん・・・死んじゃったかな・・・」
「そりゃ死ぬさ、いつか死ぬ時が来るんだ。俺もお前も・・・テリー、お前まさか、アメ・・・」
中年の兵士が言い返した。言い終わる前にテリーが話を止めた。
「そうだよ!好きだよ、アメリアちゃんのこと・・・一目惚れだったんだ!戦闘機に襲われた時も一人で多くの人を助けた!かっこいいし、声も顔も行動も可愛すぎるだろ!」
「テリー・・・正直言ってキモいぞ、もう死人を侮辱するのはいい加減にするんだな、バチが当たるぞ・・・」
「うるせえ!このジジイが」
「何がジジイだ!これでもまだ45だぞ!」
to be continued...
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