戦場の女神

ニタマゴ

文字の大きさ
上 下
10 / 51

第十話 赤の十字架

しおりを挟む
「アメリアはヘレニムのために参戦したじゃないの!?」
「私は人を助けるために参戦したの・・・」
「じゃあ、国のプライドは?どうするの!国民は!?」
「私にとって、国よりも大事なものがある」
エマが少し怒って、アメリアの胸ぐらを掴んだ。
「そんなものない!」
「いやある。」
「アメリアが売国奴だとは思わなかったよ!」
「人命!人道!私にとってそれはどんなものよりも価値が高い!」
アメリアが大声を上げた。その言葉にエマがハッとした。
そして、エマはゆっくりとアメリアの胸ぐらから手を離した。
「確かに・・・そうだね・・・ごめん。」
アメリアが首を振った。
「エマは自分の考えでいいよ、私は私、あなたはあなた、自分が正義だと思うことをすればいい。こっちこそ急に大声出してごめん・・・」
アメリアがバックから弁当を取り出した。そして、蓋を開ける。
「これ、私のお母さんが作ったんだ・・・一緒に食べよ・・・」
「いいの?」
「もちろん、だって・・・友達でしょ?」
二人で仲良く弁当を食べていた。3時間はあっという間に過ぎて、列車が到着した。中には一際目立つ列車があった。白色に赤い十字架が描かれてある。負傷者用の車両で、国際条約で赤い十字架が描かれた列車や車を意図的に攻撃してはいけない。(衛生兵は除く)そして、もしある国が赤の十字架を意図的に攻撃したり、戦術として使ったと判断された場合、その国の赤い十字架を攻撃してもよくなる。(賠償金も払わないといけない)
この国際条約はほとんどの国が参加しており、ヘレニムとスラタナもその一つだった。
アメリアは列車の中にいた医者たちと一緒にエマをベッドの上に運んだ。
「アメリア、戦争が終わったら、一緒にショッピング行こ?」
「うん!」
列車が出発した。アメリアは視線から消える最後まで列車を見守った。そして、塹壕の中に戻った。
援護射撃は終わり、兵士たちのランチタイムだった。アメリアの姿を見たほとんどの兵士が心の中で可愛いなどやいろんな妄想をしていた。アメリアはそれらの目線を無視し、牢獄の中に入った。
ジャックはアメリアの姿を見て、目がまるで救世主を見た目になった。
「おい!君助けてくれ!」
しかし、アメリアにスラタナ語がわからない。バックからパンを取り出して、ジャックに渡した。
「お腹減ったの?」
アメリアが試しに言った。
ジャックはとりあえずそのパンを食い尽くした。
「ありがとう・・・」
言葉は通じないが、相手が何を伝えようとしてるのがなんとなくわかった。
to be continued···
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

【完結】カワイイ子猫のつくり方

龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。 無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。

私の隣は、心が見えない男の子

舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。 隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。 二人はこの春から、同じクラスの高校生。 一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。 きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。

ハレとケ

101の水輪
青春
人は祭りや祝い事などの非日常のハレと、日常のケのそれぞれで見せる顔を使い分けている。ときにはハレの顔を探られたくない、見られたくないと思うことがある。家や学校に居場所がなく、繁華街の一角に巣づく子どもたちがいる。彼らにとってそこがケだとすると寂しい限りだ。ある日、大介は尊敬する先輩の真の姿を目にする。その後、大介の行動に大きな変化が。101の水輪、第40話。なおこの作品の他に何を読むかは、101の水輪トリセツ(第77話と78話の間に掲載)でお探しください。

夏の青さに

詩葉
青春
小学生のころからの夢だった漫画家を目指し上京した湯川渉は、ある日才能が無いことを痛感して、専門学校を辞めた。 その日暮らしのアルバイト生活を送っていたある時、渉の元に同窓会の連絡が届くが、自分の現状を友人や家族にすら知られたくなかった彼はその誘いを断ってしまう。 次の日、同窓会の誘いをしてきた同級生の泉日向が急に渉の家に今から来ると言い出して……。 思い通りにいかない毎日に悩んで泣いてしまった時。 全てが嫌になって壊してしまったあの時。 あなたならどうしますか。あなたならどうしましたか。 これはある夏に、忘れかけていた空の色を思い出すお話。

パラダイス・ロスト

真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。 ※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

榛名の園

ひかり企画
青春
荒れた14歳から17歳位までの、女子少年院経験記など、あたしの自伝小説を書いて見ました。

処理中です...