戦場の女神

ニタマゴ

文字の大きさ
上 下
5 / 51

第五話 救いの手

しおりを挟む
戦闘機が遠くへと落ちていった。
「よし!」
エマが喜びの声を上げた。でも、隣でアメリアが不安そうな顔をしていた。
「(あの人達は大丈夫なのかな・・・)」
そして、アメリアは立ち上がった。
「エマ、ここで安静にしてね・・・私行ってくる!」
「は?どこに行くの?」

そう言って、アメリアは飛行機が墜落した方へと走って行った。
「もう!」
エマが隣に落ちていた大きな木の枝を支えにして、アメリアを追いかけた。
アメリアはスポーツなどはできないが、身体能力はそこそこあった。走るという、人間であればほとんどの人はできること、アメリアは常人より少しだけ長けていた。
「(墜落地点はそれほど遠くない!今ならまだ助けられる!爆発音もないから、死んでないはず・・・)」
アメリアは心の中で祈った。そして、火が燃える音と悲鳴が聞こえた。
「おい!ザラス!助けくれ!火がもうすぐ俺のところまで来る!」
「うるせえ!ヘレニム兵が来たらどうする!・・・」
ザラスが周りを見渡した。
「ジャック・・・すまないが、俺のために死んでくれ~」
「は!?何言ってんおめえ!俺をここから引き摺り出してくれ、安全ベルトが壊れて開かないんだ!」
ザラスが森の奥へと逃げ出した。
「ごめん!俺は死にたくね!(あいつが囮になる!俺はやっぱり天才だ!)」
墜落した戦闘機から出てる火が、あと少しでジャックの服まで燃え広がろうとしていた。
「クソが!」
そこに水が降ってきた。火が消えた。
「え?」
ジャックは振り返ると、アメリアの可愛い笑顔があった。
「天使?俺は死んだのか?」
アメリアにスラタナ語はわからない、彼女はナイフを取り出した。そこで初めてジャックが相手はヘレニム兵だと気づいた。
「なんだよ!敵かよ!」
ジャックは急いで、席の下に落ちた銃を取ろうとしたが、安全ベルトが引っかかってるせいで取れない。
ナイフが振り落とされた。
「(ああ、俺は死ぬんだ・・・あの笑顔はなんだったんだろう?獲物を見つけた動物の喜びか?)」
安全ベルトが切れた。ジャックの手が銃に届いた。そして、ジャックが急いで銃をアメリアに向けた。アメリアは不安そうな顔で両手をあげていた。
その姿を見たジャックは困惑した。
「俺を殺しに来たんじゃないのか?」
アメリアは首を傾げていた。
「スラタナ語がわからないのか・・・」
ジャックは銃をゆっくりと腰のベルトに入れた。そして、体を起こして戦闘機から出た。
アメリアの手を握って走りたした。
「こっちに来い!あの戦闘機はいずれ爆発する!(命の恩人だ!死なせるわけにはいけない!)」
アメリアもジャックについて行った。何歩か走ると、ボカンという大きな音共に戦闘機が爆発した。
to be continued···
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

【完結】カワイイ子猫のつくり方

龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。 無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。

私の隣は、心が見えない男の子

舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。 隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。 二人はこの春から、同じクラスの高校生。 一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。 きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。

ジャグラック デリュージョン!

Life up+α
青春
陽気で自由奔放な咲凪(さなぎ)は唯一無二の幼馴染、親友マリアから長年の片想い気付かず、咲凪はあくまで彼女を男友達として扱っていた。 いつも通り縮まらない関係を続けていた二人だが、ある日突然マリアが行方不明になってしまう。 マリアを探しに向かったその先で、咲凪が手に入れたのは誰も持っていないような不思議な能力だった。 停滞していた咲凪の青春は、急速に動き出す。 「二人が死を分かっても、天国だろうが地獄だろうが、どこまでも一緒に行くぜマイハニー!」 自分勝手で楽しく生きていたいだけの少年は、常識も後悔もかなぐり捨てて、何度でも親友の背中を追いかける! もしよろしければ、とりあえず4~6話までお付き合い頂けたら嬉しいです…! ※ラブコメ要素が強いですが、シリアス展開もあります!※

制服の胸のここには

戸影絵麻
青春
金田猛と氷室基子はともに曙高校の2年生。 ある日ふたりは”校長”から協力して極秘のミッションを遂行するよう、命令される。 その任務を達成するための条件は、搭乗者同士の緊密な心の結びつき。 ところがふたりはそれぞれ深刻な悩みを抱えており、特に基子は猛に全く関心を示そうとしないのだった。 猛はといえば、彼もまたある事件から己の性癖に疑問を抱くようになり…。

パラダイス・ロスト

真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。 ※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。

榛名の園

ひかり企画
青春
荒れた14歳から17歳位までの、女子少年院経験記など、あたしの自伝小説を書いて見ました。

夏の青さに

詩葉
青春
小学生のころからの夢だった漫画家を目指し上京した湯川渉は、ある日才能が無いことを痛感して、専門学校を辞めた。 その日暮らしのアルバイト生活を送っていたある時、渉の元に同窓会の連絡が届くが、自分の現状を友人や家族にすら知られたくなかった彼はその誘いを断ってしまう。 次の日、同窓会の誘いをしてきた同級生の泉日向が急に渉の家に今から来ると言い出して……。 思い通りにいかない毎日に悩んで泣いてしまった時。 全てが嫌になって壊してしまったあの時。 あなたならどうしますか。あなたならどうしましたか。 これはある夏に、忘れかけていた空の色を思い出すお話。

処理中です...