戦場の女神

ニタマゴ

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第四話 使命

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アメリアは地面に倒れて右足から血を流してるエマを見て急いでエマを森の中に引きずった。
「アメリア!もう逃げて、戦闘機また来るよ!」
エマの言う通り、戦闘機はまた高度を下げて銃弾を浴びせようとしていた。
「アメリア!速く森の奥へ逃げて!私はいいから!」
「私は医者!医者の使命はどんな状況でも、どんなに危険でも、救える人は救うんだ!」
そう言い、アメリアはエマを木のそばに横たわせた。そして、救急箱からゴムを取り出し、強くエマの膝につけた。エマの右足は膝から下が全くない状態であった。
一方戦闘機はまだ道路にいた死体や死にかけてる兵士たちにもう一度射撃をした。空中には砂と血が混ざった埃が、漂っていた。
「・・・」
エマは沈黙した。もし、自分がアメリアに運ばれなかったと思うと背筋が凍っていた。
アメリアはエマの右足の傷口にガーゼをつけて、さらにその上に包帯を巻いた。エマは叫ぶのが怖く、涙を流しながら、痛みに耐えていた。そいて、10分ほどでエマの傷口の応急処置は終わった。
エマは片手をアメリアの肩に立てて、ケンケンしながらも進んだ。
やっと二人は大部隊に戻れた。隊長は人数を確認するため呼名をしていた。
アメリアとエマも隊長に自分達が生きてることを伝えた。
そして、二人は木のそばに座って身を休め始めた。何時間も歩き続けて今の状態じゃ誰だって疲れる。
スラタナの戦闘機はまだ小さな森の周りを飛行していた。
第15部隊はこの小さな森の中に閉じ込められたのだ。もし、一歩でも踏み出れば戦闘機にやられるかも知らない。高スピードで進む飛行機を撃ち落とすこともできなかった。皆、ただただ戦闘機の燃料が切れるのを待っていた。
一人を除いては・・・
右足の痛みがだいぶ止んだエマは大きな石を基盤として、そこに腕と銃を乗せた。そして、エマがスコープを覗いた。木の葉や枝の間に素早く進む戦闘機の姿がある。
それを追ってエマが少しずつ手を動かす、これはゲームと違って飛行機の少しを前を撃つ目印がない、感覚と手でなんとかするしかなかった。
~~~
空の上にあるプロペラ戦闘機には二人のスラタナ兵が乗っていた。
「おい、ザラス。ヘレニムの豚どもがビビって森から出てこないぞ~」
「はは、そうだな~焼夷弾でも落とすか?」
「やめとけ、積んであるのは対戦車用だ。もったい・・・」
バン!1発の銃弾が凄まじいスピードで上がってきた。戦闘機のプロペラの付け根に直撃し、戦闘機は推進力を失った。
「ザラス!どういうことだ!?」
「知らねえよ!」
飛行機は推進力を失っても、ある程度の滑行はできる。だからすぐに墜落することはなかった。
地面にいるエマは薬莢を弾き出して、もう一度スコープを覗いた。
「ザラス!高度を下げろ!緊急着陸するぞ!」
「お前は馬鹿か!下にはヘレニム豚がいるんだぞ!」
もう1発の銃弾が戦闘機の燃料室にあった。そして、戦闘機は燃え始めた。
to be continued···
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