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第一章
第一話 転校生
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電車がガタンガタンと速度を緩め、駅に着く。
制服を着た少女が母と共に電車から降り、学校へと向かった。
母はずっと不安そうな表情をしていたが、少女はずっと笑顔だった。
そして、学校に着くと二人はまず校長室に連れて行かれた。
校長先生との面談が始まると母親は少し焦った声でこういった。
「校長先生、手紙はもう見ましたか?」
「はい、娘…いや息子さんの方がよろしいでしょうか?」
二人の大人が気まずくなっている中、少女は高い声を発した。
「娘で結構です。」
「あっ、はい。で、娘さんの状況は先にクラスメートたちへ伝えた方がよろしいかと思われますね。じゃなけば、クラスメートたちも驚くでしょうし…」
母が口を開ける前に少女が先に答える。
「伝えないでください。無理だとわかってますが、私は普通のように接して欲しいのです。」
「わかりました。」
校長は少し深刻そうな顔で少女を体育館へと連れて行こうとした。
「澪!」
母親が大きめな声で娘の名前を口にした。
「どうしたの?」
「頑張ってきて…」
「そんな心配しなくてもいいよ~」
母は心配しながらも、後から入ってきた副校長と入学の手続きを始めた。
一方のその頃、体育館では全校朝会が開かれていた。
『次は校長先生の言葉です。校長先生、お願いします。』
舞台上で校長先生がゆっくりとマイクに近づく。
『皆さんおはようございます。いつもなら、色々としゃべりたいんですが、今日は転校生が来ているので、はぶきます。』
600近くいる生徒たちが一斉にざわつく。
生徒会の会長がマイクを取り、強い声で注意した。
『静かに!』
体育館が静まり、舞台裏から制服を着た少女が笑顔で現れる。校長先生は少し心配そうに見つめながら、彼女にマイクを渡す。
『みんな?おはよう!私の名前は福田澪(ふくだ みお)だよ~』
高く透き通った声が体育館を包み込んだ。その後、彼女はスピーディーに自分の自己紹介を終えた。長い長い校長の話が消えただけで全校朝会は少し早く終わり、生徒たちは列に並んでクラスへと戻った。
2年B組に福田さんが入った。
ほとんどの男子は彼女の容姿に釘付けになったが、彼女は気にしなかった。
「こんにちは、担任の佐藤です。」
「佐藤先生、よろしくお願いします。」
「はい、君の席はあそこだね。」
佐藤先生は2号車の最後尾を指した。
「はい~」
彼女は早歩きで席に着く。
「まあ、自己紹介は終わってるから特に歓迎もなくてごめんね。」
「大丈夫です~」
「では、学級員。朝の会を始めるぞ!」
学級員が黒板の前へと行き、朝の会の司会を始めた。
「今日の時間割は、国語、英語、社会、体育、音楽、理科です。」
福田さんは体育と聞いて少し表情が歪んだが、誰も気づかなかった。
制服を着た少女が母と共に電車から降り、学校へと向かった。
母はずっと不安そうな表情をしていたが、少女はずっと笑顔だった。
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「はい、娘…いや息子さんの方がよろしいでしょうか?」
二人の大人が気まずくなっている中、少女は高い声を発した。
「娘で結構です。」
「あっ、はい。で、娘さんの状況は先にクラスメートたちへ伝えた方がよろしいかと思われますね。じゃなけば、クラスメートたちも驚くでしょうし…」
母が口を開ける前に少女が先に答える。
「伝えないでください。無理だとわかってますが、私は普通のように接して欲しいのです。」
「わかりました。」
校長は少し深刻そうな顔で少女を体育館へと連れて行こうとした。
「澪!」
母親が大きめな声で娘の名前を口にした。
「どうしたの?」
「頑張ってきて…」
「そんな心配しなくてもいいよ~」
母は心配しながらも、後から入ってきた副校長と入学の手続きを始めた。
一方のその頃、体育館では全校朝会が開かれていた。
『次は校長先生の言葉です。校長先生、お願いします。』
舞台上で校長先生がゆっくりとマイクに近づく。
『皆さんおはようございます。いつもなら、色々としゃべりたいんですが、今日は転校生が来ているので、はぶきます。』
600近くいる生徒たちが一斉にざわつく。
生徒会の会長がマイクを取り、強い声で注意した。
『静かに!』
体育館が静まり、舞台裏から制服を着た少女が笑顔で現れる。校長先生は少し心配そうに見つめながら、彼女にマイクを渡す。
『みんな?おはよう!私の名前は福田澪(ふくだ みお)だよ~』
高く透き通った声が体育館を包み込んだ。その後、彼女はスピーディーに自分の自己紹介を終えた。長い長い校長の話が消えただけで全校朝会は少し早く終わり、生徒たちは列に並んでクラスへと戻った。
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ほとんどの男子は彼女の容姿に釘付けになったが、彼女は気にしなかった。
「こんにちは、担任の佐藤です。」
「佐藤先生、よろしくお願いします。」
「はい、君の席はあそこだね。」
佐藤先生は2号車の最後尾を指した。
「はい~」
彼女は早歩きで席に着く。
「まあ、自己紹介は終わってるから特に歓迎もなくてごめんね。」
「大丈夫です~」
「では、学級員。朝の会を始めるぞ!」
学級員が黒板の前へと行き、朝の会の司会を始めた。
「今日の時間割は、国語、英語、社会、体育、音楽、理科です。」
福田さんは体育と聞いて少し表情が歪んだが、誰も気づかなかった。
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