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家に帰さない

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 「なー、頼むよ。うちに来てくれよ」
 「いやよ、誰がなんであなたなぞの家に」
 少年が少女を誘っている。
 二人は小学生で同輩。
 少年のほうは先がとがった襟のカッターシャツの制服姿だ。
 少女のほうは先が丸い襟と両肩から吊ったボックススカートの制服姿である。
 「頼む、ちょっとでいいから」
 「もー、仕方ないわね。ちょっとだけよ?」
 少年に誘われている彼女は学校でも知られたアイドルだった。

 少年の家に無理やり上げられた少女。
 「さ、どーぞどーぞ」
 お菓子を出す。
 それをぽりぽり食いつつ
 「食べたら帰るわよ」
 「そんなあ、もうちょっとここにいてよ」
 「うるさいわよ、ちょっとだけって言ったでしょ?」
 食い終わった彼女。
 「さ、帰らせてもらう・・・」
 ぎゅるるる。
 「うぐっ!」
 腹を押さえてうずくまる。
 「ト、トイレは・・・」
 「向こうの突き当たりだよ」
 ドドドドドド。
 彼女はトイレに猛突進。
 「ふふふ、さっき食わせたのは消費期限切れお菓子さ!」
 やがてげっそりとやつれた彼女が出てきた。
 「じ、じゃあ・・・さよなら・・・」
 「いいのかい?家までもつかい?」
 「そ、そうね。また波が来たら・・・・うっ!」
 彼女はトイレに逆戻り。
 「な、治るまでちょっとここにいさせてもらうわ・・・」
 と、いうわけで彼女は帰れないのだった・・・。
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