乳牛女王に私はなる！

牛乳早飲みレース

　「いよいよ呼び物の牛乳早飲みレースね」
　「トレーニング通リゴールニオマルヲ置イテ待ッテマース」
　スタート。
　駆け出す女牛と選手たち。
　牛乳をごくごく。
　そして再度駆け出す。
　そしてまた牛乳をごくりごくり。
　それからもう一度走り出す。
　と、その時。
　「うっ！」
　ギュルッ！
　女牛のジャンパースカートに覆われた腹が唸りを挙げた。
　ギュルルルル。
　女牛は腹を押さえつつ駆ける。
　「女牛サン、ココマデ来レバ出セマスヨー！」
　留学生がゴールにおまるを置いて待っている。
　「ギャハハハハ」
　観客たちが笑い出した。
　「そ、そうだわ。あそこまで行けば・・・」
　一生懸命足を動かす女牛。
　グルルル。
　今度は手をお尻に持っていく。
　「う、うぐ・・・」
　女牛は立ち止まってしまった。
　「女牛サン、早ク来ナイト漏ラシチャイマスヨー！」
　死に物狂いで足を前に運ぶ女牛。
　お、次の瞬間。
　ブビイ、ビチャビチャ。
　会場に汚い滝が降った。
　「ギャハハハハハ」
　ますます客たちは笑った。
　くさい滝を尻から落としつつも女牛は必死でゴールを目指した。
　あまりの汚物滝の勢いにパンツがずり落ちた。
　ズボンをはいていれば股に引っかかって落ちなかったのに。
　その後ろに茶色い道ができる。
　「はじめの一歩」に出てくる山田直道（ハンマーナオ）はゲロ道という字（あざな）があったが女牛の場合は
　「ゲリ道ダ」
　むろんレースどころではなくなった。
　宮川はこの祭りで公衆の面前でゲロを吐いたが女牛はゲリだった。