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初詣

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神社が忙しくなる正月。
 「巫女を雇う?」
 「ええ、だってどこの神社でもお正月の忙しい時期は巫女さんを雇うでしょ?私みたいな」
 「男を雇え、男を」
 「男を雇うのなんて大きい神社だけよ、うちみたいな小さい神社は巫女さんでしょ?」
 弓の友達がたくさん巫女として雇われた。
 初詣。
 わいわいがやがや。
 主兄妹とアルバイトの巫女たちはおみくじやお守り、お札や破魔矢を売っていた。
 「お、来たか!」
 巣飛李戸が来た。
 「おお、来たぞ」
 「どれにする?どれでも半額、いやただにしちゃうよ!」
 「いや、そんなの悪いよ」
 「うちのお守りやお札はよく効くよ!まあもう合格済みだから合格祈願はいらないだろうけど」
 午後。
 昼休みの昼食を終え、帰ってきた弓。
 「あれ、バイトたちは?」
 バイトで雇った友達の巫女たちがどこにもいなかった。
 「これじゃあ手が足りん、手伝ってくれるか?」
 亜呂宇が巣飛李戸に手伝いを頼んだ。
 「おお、いいぜ。一緒に働けるなんて願ってもないことだ」
 そこからは三人で販売した。
 ぎゅるっ!
 「うっ……!」
 このごろ弓は腹の調子が悪い(主神社第5話)。
 「兄さん、私ちょっとトイレ」
 トイレに向かうとそこには、
 「も、もれるう~」
 「は、早く~」
 「ねえ、順番変わってくれない?」
 「何言ってんのよ、私だってちびりそうなんだからねっ!」
 いなかったバイト巫女たちが殺到していた。
 「あの~切羽詰っているのはわかるけど神社のほうちゃんと手伝っていただかないと……」
 バイト巫女たちはしぶしぶ売り場に戻った。
 彼女たちは下し腹と噴火寸前の活火山を抱えたまま商品を販売する羽目に陥った。
 「ねえ、今誰が入ってるの?」
 「確か久美よ」
 「早くしてって言って」
 「言っとくけど次あたしだからねっ!」
 「何言ってんのよ、あたしよ!」
 しばらく腹をギュルギュルゴロゴロ鳴らしつつがんばっていたが、
 「もうだめ、あいつトイレから引っ張り出してやるっ!」
 と叫んで一人の巫女がトイレに駆けていった。
 今にも朱色の袴を茶色く染め上げてしまいそうだ。
 「ちょっと、さっさと出てきなさいよ。私にもブリブリさせなさい!」
 トイレの戸の取っ手をガチャガチャ回転させつつぐいぐいと引っ張る。
 「うるさいわね、もうちょっと待ってて!」
 内側からも引っ張っている。
 バカーン!
 トイレの戸が外れた。
 「降りなさい!今すぐ!!」
 ガチャガチャ引っ張っていた巫女が便器に座っている巫女をつかんで引っ張り下ろそうとする。
 「何すんのよ!やめなさい!!」
 便器の上のほうは必死で便器の上に残ろうとする。
 人は生理的欲求の前ではこんなにも凶暴化できるものなのか。

 初詣終了後。
 「お前たちはトイレに行ってばかりで仕事をしなかったからバイト代は出さん」
 「え~そんなあ~~」
 「仕方ないでしょ、私たち集団下痢だったのよ!」
 結果的にバイト料は支払われず、彼女たちはただ働きになった。
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