18 / 48
市井で油断は禁物
あやしい裏通り
しおりを挟む
木蓮と姫棋は化粧道具屋を後にし、今から宮城に戻るところであった。
木蓮は表の目抜き通りではなく裏道を選んですすむ。
なぜかというと、ある者たちに姫棋を連れているところを見られたくなかったのだ。
それは姫棋を妃候補に選んだ、神官たちである。
基本的に神官というのは宮城内の廟《びょう》に閉じこもっているものなのだが、祭日などは宮城から出て街の廟を訪れることがある。その際、神官は必ず馬車に乗って表通りを通るので、彼らに見つからないための道選びだった。
彼らが姫棋の顔を知っているのかは定かではなかったが、用心するに越したことはないのである。それに今回は官吏であることを伏せて来ていたので自分たちが馬車に乗ることもできなかった。馬車は官吏か王族しか、市場や宮城を含めた城郭内での通行を許可されていない。
(ここは相変わらずだな)
裏道には両側に小さな店が所狭しと並んでおり、人とすれ違うのもやっとだった。
朝通った時はまだどの店も閉まっていたが、裏通りは夜にその本領を発揮するのだ。明かりのつき始めた店頭には、出所を聞いてはいけないような怪しい物がうずたかく積み上げられており、頭上に張り渡された天幕も裏通りの陰気な雰囲気をよりいっそう澱ませていた。
(はたして彼らは、商品を売る気があるのか)
店員というものは本来客を呼び込むのが仕事のはずだが、どうやらこの裏通りにはそんな常識は当てはまらないらしい。ここの店員たちは、道行く者に売り込みをかけるどころか、煙をふかしながら睨みをきかせてくる次第である。
表からたった一本道を入っただけというのに、煌びやかな楼閣立ち並ぶ表通りとは雲泥の様相だった。
「おおっ! 何これ!?」
姫棋は睨みをきかせてくる店員におくびれることもなく、店先に並ぶ珍妙な売り物に興味深々であった。
そんな姫棋の隣で、木蓮は頭上に広がる天幕の隙間から空を覗く。
陽が沈みきるには早い時刻だったが、分厚い雲が垂れ込めた空はすでに暗くなっていた。
(じきに降ってくるか)
木蓮は空模様をうかがいながら、店の前で一々立ち止まる姫棋を引きずり先を急いだ。
ぽつり。
城壁が見えてきたところで、とうとう雨が降り始めてしまった。しかも雨足は瞬く間に強くなり、あっという間に土砂降りになる。これはもう天幕ごときではしのげない雨量だ。
仕方なく二人は、近くにある木蓮の馴染みの店に入ることにした。
丹丹《タンタン》。
その看板を掲げる店は、裏通りからさらに脇へそれた所にあった。
木蓮は店の裏口から店内に声をかける。
姫棋に付いてくるよう促し、従業員用の急な階段を登って三階にある個室に入った。
部屋には簡素な卓と椅子が置かれ、その向こうには大きな丸窓が取り付けてあった。そこから賑やかな市場の様子が見渡せるようになっている。
姫棋は部屋に入るなり、その丸窓に張り付いて外の様子を眺めていた。
「昼はあんなに晴れてたのにね」
窓の外では、徐々に点き出した市場の赤い灯が、雨の降りしきる闇夜にぼんやりと浮かび上がっていた。
降り出してすぐこの店に入れたのは幸いだったな、と思いながら木蓮が椅子に腰かけると、いつの間にか卓の横に腰の曲がった爺さんが立っていた。
木蓮は不覚にも体がびくりと震える。
向かいに座った姫棋も驚いたようで目を丸くしていた。
ほぼ直角に曲がった腰に手を当て微笑んでいるこの爺さん。「丹丹」で昔から働いている店員なのだが、登場の仕方が神出鬼没というか気づいたらそこにいるような爺さんで、彼の登場にいつも驚かされてしまうのだ。
たぶん向こうも狙ってわざとやっているようだ。
証拠に、彼が一本残った歯をニカァと見せ笑う顔は、ひどく嬉しそうに見えた。
「ご注文は?」
「じゃあ適当に何品か持ってきてくれるかな。あと、香嘉も」
爺さんはまたニカァと微笑むと、けむに巻かれるように消えた。
爺さんがいなくなると、姫棋は懐から袋を取り出す。先ほど描いてきた絵の代金が入った袋である。
それを卓上に広げながら、へっへ、と不気味にほくそ笑んだ。
(なんか、絵を描いている時と雰囲気が……)
絵を描いているときの姫棋は、時に神々しくさえ感じることもあった。
先ほど化粧道具屋で貼り紙を描いていたときもそうだ。描き始めた瞬間、芸術の神が天から舞い降りてきたのではないかと思えた。
が、今目の前にいる彼女は……。
「うひひ。今日も頑張った」
そう言いながらやはり不気味に微笑んでいるその様子は、まるで賊《ぞく》がかっぱらってきた金子を舌なめずりしながら眺めているがごとしである。
(いやいや。ちゃんと仕事をしてもらってきた金子だしな……)
正当な報酬である。
でも、なぜか人に見られたらまずい気がした。
当の姫棋はというと、前に座る男がそんな失礼なことを考えているとは思ってもいないだろう。金子の一部をずいと木蓮の手元に差し出す。
「はい、これが今回の分け前ね」
「あ…うん、どうも」
(なんだろう)
賊の子分にでもなった気分である。
その時ふと、木蓮は姫棋の住んでいた屋敷を思いだした。ひどく荒れた様子で、あの時も最初、これは賊の住処かなのではと思ったのだった。
「君さあ、まさか匪賊《ゴロツキ》の頭領だった。なんてことないよな?」
思わず考えていたことが、そのまま口をついて出てしまった。
それを聞いた姫棋は、失礼しちゃうわ、とでも言いたげな顔をする。
「わたし、名家の小姐《おじょうさま》なんですけど」
予想外の返答に、木蓮は思わず笑ってしまった。
「小姐《おじょうさま》って君、あんなボロ屋敷に住んでたのに?」
「なっ、別に最初からボロ屋敷だったわけじゃない」
「でも……初めて会った時なんか、木に登ってたじゃないか。小姐《おじょうさま》が木なんて普通登らないだろう」
「あれは、絵の題材を探してたんだよ。絵師は題材探しだって命がけなんだから」
珍しく膨れ面の姫棋に、つい悪戯心が芽生えてしまったのがいけなかった。
ここでやめればいいものを木蓮は余計なことを口走る。
「へえ、絵の題材を。私はてっきり、賊が縄張りを偵察しているのかとおも――」
言い終わる前に、木蓮は卓に突っ伏していた。悶えながらつま先をおさえる。
姫棋が、木蓮の足をむぎゅうと踏んづけたのだ。
くぅ、と木蓮は目尻に涙をためる。
確かに、女士《じょせい》に向かって少々失礼だったかもしれないが……。
(人の足を踏んづける小姐がどこにいるよ!)
心の中で悪態をつく木蓮のすぐ横にはいつの間にか、ニカァと微笑む爺さんの顔があった。
「お待たせいたしました。お料理をお持ちしましたよ」
木蓮は表の目抜き通りではなく裏道を選んですすむ。
なぜかというと、ある者たちに姫棋を連れているところを見られたくなかったのだ。
それは姫棋を妃候補に選んだ、神官たちである。
基本的に神官というのは宮城内の廟《びょう》に閉じこもっているものなのだが、祭日などは宮城から出て街の廟を訪れることがある。その際、神官は必ず馬車に乗って表通りを通るので、彼らに見つからないための道選びだった。
彼らが姫棋の顔を知っているのかは定かではなかったが、用心するに越したことはないのである。それに今回は官吏であることを伏せて来ていたので自分たちが馬車に乗ることもできなかった。馬車は官吏か王族しか、市場や宮城を含めた城郭内での通行を許可されていない。
(ここは相変わらずだな)
裏道には両側に小さな店が所狭しと並んでおり、人とすれ違うのもやっとだった。
朝通った時はまだどの店も閉まっていたが、裏通りは夜にその本領を発揮するのだ。明かりのつき始めた店頭には、出所を聞いてはいけないような怪しい物がうずたかく積み上げられており、頭上に張り渡された天幕も裏通りの陰気な雰囲気をよりいっそう澱ませていた。
(はたして彼らは、商品を売る気があるのか)
店員というものは本来客を呼び込むのが仕事のはずだが、どうやらこの裏通りにはそんな常識は当てはまらないらしい。ここの店員たちは、道行く者に売り込みをかけるどころか、煙をふかしながら睨みをきかせてくる次第である。
表からたった一本道を入っただけというのに、煌びやかな楼閣立ち並ぶ表通りとは雲泥の様相だった。
「おおっ! 何これ!?」
姫棋は睨みをきかせてくる店員におくびれることもなく、店先に並ぶ珍妙な売り物に興味深々であった。
そんな姫棋の隣で、木蓮は頭上に広がる天幕の隙間から空を覗く。
陽が沈みきるには早い時刻だったが、分厚い雲が垂れ込めた空はすでに暗くなっていた。
(じきに降ってくるか)
木蓮は空模様をうかがいながら、店の前で一々立ち止まる姫棋を引きずり先を急いだ。
ぽつり。
城壁が見えてきたところで、とうとう雨が降り始めてしまった。しかも雨足は瞬く間に強くなり、あっという間に土砂降りになる。これはもう天幕ごときではしのげない雨量だ。
仕方なく二人は、近くにある木蓮の馴染みの店に入ることにした。
丹丹《タンタン》。
その看板を掲げる店は、裏通りからさらに脇へそれた所にあった。
木蓮は店の裏口から店内に声をかける。
姫棋に付いてくるよう促し、従業員用の急な階段を登って三階にある個室に入った。
部屋には簡素な卓と椅子が置かれ、その向こうには大きな丸窓が取り付けてあった。そこから賑やかな市場の様子が見渡せるようになっている。
姫棋は部屋に入るなり、その丸窓に張り付いて外の様子を眺めていた。
「昼はあんなに晴れてたのにね」
窓の外では、徐々に点き出した市場の赤い灯が、雨の降りしきる闇夜にぼんやりと浮かび上がっていた。
降り出してすぐこの店に入れたのは幸いだったな、と思いながら木蓮が椅子に腰かけると、いつの間にか卓の横に腰の曲がった爺さんが立っていた。
木蓮は不覚にも体がびくりと震える。
向かいに座った姫棋も驚いたようで目を丸くしていた。
ほぼ直角に曲がった腰に手を当て微笑んでいるこの爺さん。「丹丹」で昔から働いている店員なのだが、登場の仕方が神出鬼没というか気づいたらそこにいるような爺さんで、彼の登場にいつも驚かされてしまうのだ。
たぶん向こうも狙ってわざとやっているようだ。
証拠に、彼が一本残った歯をニカァと見せ笑う顔は、ひどく嬉しそうに見えた。
「ご注文は?」
「じゃあ適当に何品か持ってきてくれるかな。あと、香嘉も」
爺さんはまたニカァと微笑むと、けむに巻かれるように消えた。
爺さんがいなくなると、姫棋は懐から袋を取り出す。先ほど描いてきた絵の代金が入った袋である。
それを卓上に広げながら、へっへ、と不気味にほくそ笑んだ。
(なんか、絵を描いている時と雰囲気が……)
絵を描いているときの姫棋は、時に神々しくさえ感じることもあった。
先ほど化粧道具屋で貼り紙を描いていたときもそうだ。描き始めた瞬間、芸術の神が天から舞い降りてきたのではないかと思えた。
が、今目の前にいる彼女は……。
「うひひ。今日も頑張った」
そう言いながらやはり不気味に微笑んでいるその様子は、まるで賊《ぞく》がかっぱらってきた金子を舌なめずりしながら眺めているがごとしである。
(いやいや。ちゃんと仕事をしてもらってきた金子だしな……)
正当な報酬である。
でも、なぜか人に見られたらまずい気がした。
当の姫棋はというと、前に座る男がそんな失礼なことを考えているとは思ってもいないだろう。金子の一部をずいと木蓮の手元に差し出す。
「はい、これが今回の分け前ね」
「あ…うん、どうも」
(なんだろう)
賊の子分にでもなった気分である。
その時ふと、木蓮は姫棋の住んでいた屋敷を思いだした。ひどく荒れた様子で、あの時も最初、これは賊の住処かなのではと思ったのだった。
「君さあ、まさか匪賊《ゴロツキ》の頭領だった。なんてことないよな?」
思わず考えていたことが、そのまま口をついて出てしまった。
それを聞いた姫棋は、失礼しちゃうわ、とでも言いたげな顔をする。
「わたし、名家の小姐《おじょうさま》なんですけど」
予想外の返答に、木蓮は思わず笑ってしまった。
「小姐《おじょうさま》って君、あんなボロ屋敷に住んでたのに?」
「なっ、別に最初からボロ屋敷だったわけじゃない」
「でも……初めて会った時なんか、木に登ってたじゃないか。小姐《おじょうさま》が木なんて普通登らないだろう」
「あれは、絵の題材を探してたんだよ。絵師は題材探しだって命がけなんだから」
珍しく膨れ面の姫棋に、つい悪戯心が芽生えてしまったのがいけなかった。
ここでやめればいいものを木蓮は余計なことを口走る。
「へえ、絵の題材を。私はてっきり、賊が縄張りを偵察しているのかとおも――」
言い終わる前に、木蓮は卓に突っ伏していた。悶えながらつま先をおさえる。
姫棋が、木蓮の足をむぎゅうと踏んづけたのだ。
くぅ、と木蓮は目尻に涙をためる。
確かに、女士《じょせい》に向かって少々失礼だったかもしれないが……。
(人の足を踏んづける小姐がどこにいるよ!)
心の中で悪態をつく木蓮のすぐ横にはいつの間にか、ニカァと微笑む爺さんの顔があった。
「お待たせいたしました。お料理をお持ちしましたよ」
11
あなたにおすすめの小説
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
悪役令嬢の役割は終えました(別視点)
月椿
恋愛
この作品は「悪役令嬢の役割は終えました」のヴォルフ視点のお話になります。
本編を読んでない方にはネタバレになりますので、ご注意下さい。
母親が亡くなった日、ヴォルフは一人の騎士に保護された。
そこから、ヴォルフの日常は変わっていく。
これは保護してくれた人の背に憧れて騎士となったヴォルフと、悪役令嬢の役割を終えた彼女とのお話。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる