2 / 11
三年後
しおりを挟む
澄みきった青空が見える。学校の屋上で一人の青年・・・と呼ぶにはまだ幼い男の子が右手にある本を、顔半分にかぶせ仰向けに寝ころび、じっと空を見つめていた。
「おーい、一哉~!」
彼を呼ぶ声がするので、そちらに目を向けると、そこには彼の幼なじみである、伊藤 陽介がいた。
「また~、お前は妖しげな本を読みふけって~。」
一哉の右手にある世界の霊現象なる本を、陽介はさしながら言った。
「だって、しょうがないだろう?陽介~。」
持っていた本を持ち直し、上体を起こしながら一哉は言った。
「俺の好きな人は幽霊なんだもの・・・・。」
その言葉を聞いた陽介は、立ちくらみのような真似をした後
「あのな~、幽霊に初恋するなんて前代未聞だぞ。」
と、言い放った。
小学生の頃、コックリさんをしたメンバーの一人である陽介にとって、もうあんな怖い目に会いたくないと考えるのは、ごく自然な事だった。しかし、一哉は
「だってよ~、陽介、まだ助けてもらったお礼も言ってないんだぜ?」
と、言い出す始末だった。
「おれぇい?お礼なんて、ほら、こうすれば」
言いながら陽介は天に向かって拝むと
「思いが天に届くんでね?」
笑顔で一哉にそう言った。確かにそれでも届くかもしれないと、かすかに頭によぎった一哉だが、それを振り払うように
「うるさーい!とにかく会いたいんだーーーー!」
と、首を振りながら叫んだ。
「この分からずやめ~!!」
陽介はそう言いながら、一哉の首を軽く絞めた。
「うぐぐ・・・・、ぐるじい・・・・陽介~。」
苦しみながらも一哉も陽介の首を絞め始めた。そんな感じで二人がじゃれ合っていると
「ちょっとあんた達ーーーー!!なにしてんのよーーーーー!!!」
後ろからいきなり大声が聞こえてきたので、二人が振り向くと、屋上の入り口にポニーテールの気の強そうな女の子が仁王立ちしていた。片手に持っている竹箒を怒りでワナワナと震わせて・・・・。
「どうしたんだーーー!?亜希ーーーー!」
笑顔でそう聞いてくる一哉に対して、彼女の怒りは頂点に達した。
「あんた達がーーー!!図書室の掃除しないからーーー!!あたし達がしたんだからーーーーー!!!」
一哉と陽介はお互い顔を見合わせた、その事をすっかり忘れていたのだ。しかしその後一哉は笑顔でこう言った。
「ごめんよ、亜希ーーーー!好きだから許してくれーーーー!」
あっけらかんと言われたその言葉に対し、彼女の怒りは爆発した。
「バカーーーーーーー!!!!!」
そう叫ぶと、そのまま踵を返して行ってしまった。
「相変わらず亜希は気が強いな・・・・。」
ポツリつぶやく一哉、しかし近くにいた陽介は、
『いや、お前が火に油注いでんだけどな・・・・。』
と、心の中でつぶやいた・・・。
「おーい、一哉~!」
彼を呼ぶ声がするので、そちらに目を向けると、そこには彼の幼なじみである、伊藤 陽介がいた。
「また~、お前は妖しげな本を読みふけって~。」
一哉の右手にある世界の霊現象なる本を、陽介はさしながら言った。
「だって、しょうがないだろう?陽介~。」
持っていた本を持ち直し、上体を起こしながら一哉は言った。
「俺の好きな人は幽霊なんだもの・・・・。」
その言葉を聞いた陽介は、立ちくらみのような真似をした後
「あのな~、幽霊に初恋するなんて前代未聞だぞ。」
と、言い放った。
小学生の頃、コックリさんをしたメンバーの一人である陽介にとって、もうあんな怖い目に会いたくないと考えるのは、ごく自然な事だった。しかし、一哉は
「だってよ~、陽介、まだ助けてもらったお礼も言ってないんだぜ?」
と、言い出す始末だった。
「おれぇい?お礼なんて、ほら、こうすれば」
言いながら陽介は天に向かって拝むと
「思いが天に届くんでね?」
笑顔で一哉にそう言った。確かにそれでも届くかもしれないと、かすかに頭によぎった一哉だが、それを振り払うように
「うるさーい!とにかく会いたいんだーーーー!」
と、首を振りながら叫んだ。
「この分からずやめ~!!」
陽介はそう言いながら、一哉の首を軽く絞めた。
「うぐぐ・・・・、ぐるじい・・・・陽介~。」
苦しみながらも一哉も陽介の首を絞め始めた。そんな感じで二人がじゃれ合っていると
「ちょっとあんた達ーーーー!!なにしてんのよーーーーー!!!」
後ろからいきなり大声が聞こえてきたので、二人が振り向くと、屋上の入り口にポニーテールの気の強そうな女の子が仁王立ちしていた。片手に持っている竹箒を怒りでワナワナと震わせて・・・・。
「どうしたんだーーー!?亜希ーーーー!」
笑顔でそう聞いてくる一哉に対して、彼女の怒りは頂点に達した。
「あんた達がーーー!!図書室の掃除しないからーーー!!あたし達がしたんだからーーーーー!!!」
一哉と陽介はお互い顔を見合わせた、その事をすっかり忘れていたのだ。しかしその後一哉は笑顔でこう言った。
「ごめんよ、亜希ーーーー!好きだから許してくれーーーー!」
あっけらかんと言われたその言葉に対し、彼女の怒りは爆発した。
「バカーーーーーーー!!!!!」
そう叫ぶと、そのまま踵を返して行ってしまった。
「相変わらず亜希は気が強いな・・・・。」
ポツリつぶやく一哉、しかし近くにいた陽介は、
『いや、お前が火に油注いでんだけどな・・・・。』
と、心の中でつぶやいた・・・。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる