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はじまりの章
第9話 奴隷兵士、本当の役割
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「……おい、ゼロ……。お前、何してるのか分かってんだろうな……?」
「……あん?」
「……奴隷兵士なんて、慰み者にされても文句は言えねぇ! フェンデだったら尚更な! てかそのための奴隷兵士だろうがッ!!」
「……え? そうなの?」
困惑の表情を浮かべながら、光太朗はゲイラスの後ろに立つ男たちを見た。彼らは血に濡れたゲイラスの顔を、怯えた表情で見ている。
「お前のやってることは、規律違反だ! 上官に手を出すなんざ、フェンデなら即処刑だろうな!」
「……はぁ? じゃあ何で今まで俺に手を出さなかったんだよ?」
「お前が馬鹿みたいに強いからだろうが!!」
なるほど、といった風に光太朗が頷くと、ゲイラスが立ち上がった。元の世界なら昏倒する程の打撃だったが、やはりこの世界の住人は頑丈らしい。
杭からは抜け出せたが、まだ両腕は繋がったままだ。光太朗は両手をぐいぐい動かしながら、ゲイラスから距離をとる。
すっかり獲物を狩る目になっているゲイラスが、また怪しく笑った。
「このまま俺に抱かれるんだったら、許してやってもいい。俺への暴行も不問にしてやる」
「お前に抱かれるなら、死んだ方がマシだ」
「ゼロ……。こんな状況でもそれか? ますます俺のもんにしたくなるな」
ゲイラスが男2人に目くばせし、その身を低くした。
ゲイラスもだが、残りの2人もかなり逞しい身体だ。3対1の上に、光太朗は手を使えない。しかも半裸だ。
絶望的とも言える状況で光太朗は考えた。
(この危機を脱しても、死が待ってる。でもゲイラスに抱かれるぐらいなら、舌噛み切って死んでやる)
いくら考えても、選択肢は死しか残っていない。
光太朗は笑みを浮かべると、自身も身を低く半身に構えた。
________
トトは第7騎士団の宿営地に走った。そしてそこで食事をとっていた騎士に、何度も頭を下げる。
「お願いします。うちの奴隷兵士が、団長に犯されそうなんです! 助けて下さい!」
トトの訴えに、騎士たちは怪訝な表情を浮かべる。次いで吹き出した。
「そりゃ奴隷兵士は、そんな役割だからな。どこでやってんの? 第10の奴隷、綺麗なのか?」
「戦も終わって、羽目も外すだろうよ。俺らも後から参加するか? こっちの奴隷兵士にはちょっと飽きたからな」
笑い合う騎士団を見て、トトは絶望した。
確かに奴隷兵士は、そういう役割を持つことが主だ。フェンデは身体も小さく、戦いには向かない。そんな彼らを戦場に連れて行くのは、慰み者にするためだった。
「うちの奴隷兵士は違うんです! 騎士の中でも一番強くて……!」
「はぁ? フェンデが強い訳ねぇだろ? 馬鹿かこいつ」
騎士は咥えていた肉の骨を吐き出し、トトに鋭い目を向けた。
寄せ集めの第10騎士団とは違う、本物の騎士の威圧感にトトは呑まれる。トトがごくりと喉を鳴らす中、騎士が言い放った。
「俺らが止めても良いけどな、その後は俺らが抱くぞ? そういう事だ、諦めな」
「……そんな……お願いです!」
「しつけぇな!」
しつこく縋るトトに、騎士は声を荒げた。トトの胸倉を掴んで、至近距離で睨み上げる。それでもトトは「お願いします」と叫び続けた。
トト自身、臆病な性格だ。戦闘になると光太朗に頼って、身を隠してばかりいた。しかし光太朗はそんなトトや他の騎士を、咎めることも蔑むこともなかったのだ。
光太朗は大事な仲間だ。あれだけ頑張った彼に、あんまりではないか。
「……あん?」
「……奴隷兵士なんて、慰み者にされても文句は言えねぇ! フェンデだったら尚更な! てかそのための奴隷兵士だろうがッ!!」
「……え? そうなの?」
困惑の表情を浮かべながら、光太朗はゲイラスの後ろに立つ男たちを見た。彼らは血に濡れたゲイラスの顔を、怯えた表情で見ている。
「お前のやってることは、規律違反だ! 上官に手を出すなんざ、フェンデなら即処刑だろうな!」
「……はぁ? じゃあ何で今まで俺に手を出さなかったんだよ?」
「お前が馬鹿みたいに強いからだろうが!!」
なるほど、といった風に光太朗が頷くと、ゲイラスが立ち上がった。元の世界なら昏倒する程の打撃だったが、やはりこの世界の住人は頑丈らしい。
杭からは抜け出せたが、まだ両腕は繋がったままだ。光太朗は両手をぐいぐい動かしながら、ゲイラスから距離をとる。
すっかり獲物を狩る目になっているゲイラスが、また怪しく笑った。
「このまま俺に抱かれるんだったら、許してやってもいい。俺への暴行も不問にしてやる」
「お前に抱かれるなら、死んだ方がマシだ」
「ゼロ……。こんな状況でもそれか? ますます俺のもんにしたくなるな」
ゲイラスが男2人に目くばせし、その身を低くした。
ゲイラスもだが、残りの2人もかなり逞しい身体だ。3対1の上に、光太朗は手を使えない。しかも半裸だ。
絶望的とも言える状況で光太朗は考えた。
(この危機を脱しても、死が待ってる。でもゲイラスに抱かれるぐらいなら、舌噛み切って死んでやる)
いくら考えても、選択肢は死しか残っていない。
光太朗は笑みを浮かべると、自身も身を低く半身に構えた。
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トトは第7騎士団の宿営地に走った。そしてそこで食事をとっていた騎士に、何度も頭を下げる。
「お願いします。うちの奴隷兵士が、団長に犯されそうなんです! 助けて下さい!」
トトの訴えに、騎士たちは怪訝な表情を浮かべる。次いで吹き出した。
「そりゃ奴隷兵士は、そんな役割だからな。どこでやってんの? 第10の奴隷、綺麗なのか?」
「戦も終わって、羽目も外すだろうよ。俺らも後から参加するか? こっちの奴隷兵士にはちょっと飽きたからな」
笑い合う騎士団を見て、トトは絶望した。
確かに奴隷兵士は、そういう役割を持つことが主だ。フェンデは身体も小さく、戦いには向かない。そんな彼らを戦場に連れて行くのは、慰み者にするためだった。
「うちの奴隷兵士は違うんです! 騎士の中でも一番強くて……!」
「はぁ? フェンデが強い訳ねぇだろ? 馬鹿かこいつ」
騎士は咥えていた肉の骨を吐き出し、トトに鋭い目を向けた。
寄せ集めの第10騎士団とは違う、本物の騎士の威圧感にトトは呑まれる。トトがごくりと喉を鳴らす中、騎士が言い放った。
「俺らが止めても良いけどな、その後は俺らが抱くぞ? そういう事だ、諦めな」
「……そんな……お願いです!」
「しつけぇな!」
しつこく縋るトトに、騎士は声を荒げた。トトの胸倉を掴んで、至近距離で睨み上げる。それでもトトは「お願いします」と叫び続けた。
トト自身、臆病な性格だ。戦闘になると光太朗に頼って、身を隠してばかりいた。しかし光太朗はそんなトトや他の騎士を、咎めることも蔑むこともなかったのだ。
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