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はじまりの章
第8話 ハニトラ先輩
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「起きてたのか? 可愛いゼロちゃん。……どういう状況か、分かるな?」
光太朗が身を捩ると、ゲイラスが羽織っていたマントを投げた。インナー1枚の姿になったゲイラスは、すぐさま光太朗に跨った。
奴隷兵士である光太朗は、襟のないバンドカラーシャツを身に付けている。そのボタンを、ゲイラスはゆっくりと外していく。
光太朗がゲイラスを睨み付けると、彼は喉を揺らして笑った。
「クク……その目。この場では煽ってるとしか思えねぇぞ?」
「ンン……!」
一回り以上も大きい身体に伸し掛かられ、身体はぴくりとも動かない。ゲイラスの膝が腰を固定するように押し付けられ、光太朗は鈍い痛みにうめいた。
「抱きたい、抱きたい。何回思ったことか。あのすまし顔が、俺の下でどんなに乱れるか……想像しただけで、おっ立ててたんだ」
シャツのボタンが下まで外され、合わせ目からゲイラスの武骨な手が滑り込んでくる。
嫌悪感に耐えながら、光太朗は猿轡を噛みしめた。その眦に涙が滲むのを、ゲイラスは見逃さない。
「ああ、最高だ……! 泣いてるのか? 最高にそそるぜ」
首筋に吸い付かれ、光太朗は脚をがむしゃらに動かした。その抵抗すら、ゲイラスを興奮させる火種にしかならない。
ゲイラスはにやりと笑うと、光太朗のズボンに手を掛けた。そしてそれを一気に下着ごと取り払う。
光太朗は驚愕に目を見開き、そこから涙がぼろりと落ちた。
脚をぎゅっと縮こませた光太朗の姿に、ゲイラスがまた愉悦を含んだ笑みを浮かべる。
「ああ、声を聞きてぇな。キスもしてぇ。ゼロ、叫ぶんじゃねぇぞ?」
光太朗の怯えた顔を見て、ゲイラスは満足した様に猿轡に手を伸ばした。
そして、光太朗は思う。
我ながら、完璧だと。
『ひとつ、嗜虐心を煽る』
『ふたつ、非力さを見せつける』
『みっつ、猿轡が外されたら、もう勝ったも同然』
元の世界で、光太朗はある組織に属していた。そこのハニトラ専門の先輩が、いつも光太朗へ何かと師事してくれたのだ。
「俺は男だけど」と光太朗が何度言っても、色んな事を教えてくれたものだ。
もうほとんど忘れているが、この『男に襲われた時の対処法』には、光太朗自身何度もお世話になった。
猿轡を外され、涎がつつと伸びる。「よだれすらも武器になる」と教わったのは、いつだったか。
顔を赤らめながら、光太朗はゲイラスへと言い放った。
「やめろ……! ど、どうして……こんな、……」
表面上は怯えながら、光太朗はタイミングを計った。
ゲイラスの太い指が、光太朗の顎を掴む。そしてゆっくりと顔が近付いてくる。
ゲイラスのキス顔など、本来なら見たくもない。しかし今は目を逸らせない。
『気色悪いだろうけど、食いちぎるつもりで!』ハニトラ先輩の声が脳内で響く。
唇が重なりそうになった瞬間、光太朗はゲイラスの鼻に思い切り噛みついた。驚きと痛みにゲイラスが仰け反った隙に、膝を自身の鼻先まで折り曲げる。
秘部が丸見えになっている体勢だが、恥ずかしがってもいられない。そのまま勢いよく、ゲイラスの鼻めがけて蹴りを放った。
「がぁあッ!!!」
噛まれた上に蹴りまで受け、ゲイラスは後方に倒れ込む。そして後ろにいた男2人も、ゲイラスに巻き込まれて尻もちを付いた。
その隙に、光太朗は手首を拘束している布を勢いよく引っ張る。布の破れる感覚が腕に伝わって来たところで、身体を捻りながら身を起こした。
(このまま天幕の外に……いや、出れねぇ!)
胸は肌蹴て、下にいたっては何も履いていない。こんな状態で表へ出るのは、流石に恥ずかしい。
ゲイラスが血に濡れた鼻を押さえ、光太朗を睨み付ける。その顔には凶悪な笑みが浮かんでいた。
光太朗が身を捩ると、ゲイラスが羽織っていたマントを投げた。インナー1枚の姿になったゲイラスは、すぐさま光太朗に跨った。
奴隷兵士である光太朗は、襟のないバンドカラーシャツを身に付けている。そのボタンを、ゲイラスはゆっくりと外していく。
光太朗がゲイラスを睨み付けると、彼は喉を揺らして笑った。
「クク……その目。この場では煽ってるとしか思えねぇぞ?」
「ンン……!」
一回り以上も大きい身体に伸し掛かられ、身体はぴくりとも動かない。ゲイラスの膝が腰を固定するように押し付けられ、光太朗は鈍い痛みにうめいた。
「抱きたい、抱きたい。何回思ったことか。あのすまし顔が、俺の下でどんなに乱れるか……想像しただけで、おっ立ててたんだ」
シャツのボタンが下まで外され、合わせ目からゲイラスの武骨な手が滑り込んでくる。
嫌悪感に耐えながら、光太朗は猿轡を噛みしめた。その眦に涙が滲むのを、ゲイラスは見逃さない。
「ああ、最高だ……! 泣いてるのか? 最高にそそるぜ」
首筋に吸い付かれ、光太朗は脚をがむしゃらに動かした。その抵抗すら、ゲイラスを興奮させる火種にしかならない。
ゲイラスはにやりと笑うと、光太朗のズボンに手を掛けた。そしてそれを一気に下着ごと取り払う。
光太朗は驚愕に目を見開き、そこから涙がぼろりと落ちた。
脚をぎゅっと縮こませた光太朗の姿に、ゲイラスがまた愉悦を含んだ笑みを浮かべる。
「ああ、声を聞きてぇな。キスもしてぇ。ゼロ、叫ぶんじゃねぇぞ?」
光太朗の怯えた顔を見て、ゲイラスは満足した様に猿轡に手を伸ばした。
そして、光太朗は思う。
我ながら、完璧だと。
『ひとつ、嗜虐心を煽る』
『ふたつ、非力さを見せつける』
『みっつ、猿轡が外されたら、もう勝ったも同然』
元の世界で、光太朗はある組織に属していた。そこのハニトラ専門の先輩が、いつも光太朗へ何かと師事してくれたのだ。
「俺は男だけど」と光太朗が何度言っても、色んな事を教えてくれたものだ。
もうほとんど忘れているが、この『男に襲われた時の対処法』には、光太朗自身何度もお世話になった。
猿轡を外され、涎がつつと伸びる。「よだれすらも武器になる」と教わったのは、いつだったか。
顔を赤らめながら、光太朗はゲイラスへと言い放った。
「やめろ……! ど、どうして……こんな、……」
表面上は怯えながら、光太朗はタイミングを計った。
ゲイラスの太い指が、光太朗の顎を掴む。そしてゆっくりと顔が近付いてくる。
ゲイラスのキス顔など、本来なら見たくもない。しかし今は目を逸らせない。
『気色悪いだろうけど、食いちぎるつもりで!』ハニトラ先輩の声が脳内で響く。
唇が重なりそうになった瞬間、光太朗はゲイラスの鼻に思い切り噛みついた。驚きと痛みにゲイラスが仰け反った隙に、膝を自身の鼻先まで折り曲げる。
秘部が丸見えになっている体勢だが、恥ずかしがってもいられない。そのまま勢いよく、ゲイラスの鼻めがけて蹴りを放った。
「がぁあッ!!!」
噛まれた上に蹴りまで受け、ゲイラスは後方に倒れ込む。そして後ろにいた男2人も、ゲイラスに巻き込まれて尻もちを付いた。
その隙に、光太朗は手首を拘束している布を勢いよく引っ張る。布の破れる感覚が腕に伝わって来たところで、身体を捻りながら身を起こした。
(このまま天幕の外に……いや、出れねぇ!)
胸は肌蹴て、下にいたっては何も履いていない。こんな状態で表へ出るのは、流石に恥ずかしい。
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