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後日談
7 その後のお話 獅子王 ※編
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一瞬飛んでいた意識を引き戻して、翡燕は重い瞼を押し開いた。背中に獅子王の重みと熱さを感じるものの、その身体は動きを止めている。
しかし翡燕の体内には、まだ獅子王のものが入り込んだままだ。肩に感じる獅子王の頬の感触から、彼も一瞬だけ眠りこけてしまった事が分かる。
指先一つも動かせないながら、翡燕の身体は猛烈に水分を欲している。しかし喘ぎ叫んだ喉はがらがらで、水を飲み込めるかどうかも分からない。
「み、ず」
翡燕が絞り出した声に反応した獅子王が、低い唸り声を上げた。思い出したかのように腰を振り始め、翡燕の肩甲骨へ歯を突き立てる。
「いっつうッ! あ、ぁああ……」
「ひ、え、ん……」
この部屋に足を踏み入れて直ぐの時は、獅子王は正に獣だった。翡燕の服を剥ぎ取り、碌に慣らしもせず突き入れられた。
覚悟はしていたし準備もしていたが、半獣化した獅子王との体格差は翡燕を苦しめた。そして止まることのない行為に、ただただ翻弄されるしかなかった。
しかし時間が経つにつれ、獅子王に変化が起こる。入れて腰を振るという行為しかしなかった彼が、翡燕の身体に触れ始めたのだ。
肌を撫でて、歯を立て、時折舐める。そして譫言のように翡燕の名を呼び始めたのも、つい先ほどからだった。
(もう少し、なのか? もう僕が、持たない)
自我が戻ってきているのか潜在意識からなのか、先ほどから獅子王は翡燕の良いところを突いてくる。
乱暴に扱われるのならまだ良かったが、獅子王の片鱗が見えてしまうと途端に、翡燕を快感が襲うようになった。
名を呼ばれながら良いところを穿つかれると、甘い想いが湧き出して溢れてくる。
「しし、まるッ! そこ、やめて……!」
奥の行き止まりをぐりぐりと抉られ、翡燕の身体ががくがくと震える。先ほどから何度も注がれている精液も、ぐぼぐぼと卑猥な音を立てて翡燕の羞恥を煽った。
身体を密着させながら後ろから突かれ、翡燕は成すがまま身体を揺らす。
「っぅう~~、も、いけ、ないッ……あ、あ」
「……翡燕ッ……」
音がするほど大量に注がれ、翡燕はぶるりと小さく震える。限界を迎えた身体は、小さな反応しか返すことが出来ない。
獅子王のそれは、達しても治まることが無かった。硬さも大きさも変わらないまま、翡燕の体内で熱を発し続ける。
肩を掴まれ上体を起こされると、獅子王の膝の上に翡燕は乗せられた。自分の重さで獅子王の昂りが深々と刺さり、翡燕は低く唸ったまま痙攣する。
するとその震えを押さえ込むように、獅子王が翡燕を抱きしめてきた。震える身体が煩わしくて、力で押さえ込もうとするかのような抱きしめ方だ。
普段の彼なら優しく抱きしめて、髪を撫でてくれただろう。普段の獅子王を思い出すほど、翡燕の心は引き攣って痛んだ。
獅子王の大きな体格にがっちりと抑え込まれ、逃げ場をなくした状態で腰を突き上げられる。物思いに耽っていた翡燕は、小さく悲鳴を上げた。
「ひぃッ!? んん、あぁ……おね、がい……ししッ、まる……」
獅子王は翡燕の髪を引っ張り首筋を露出させると、そこにも歯を立てる。びくりと跳ねる翡燕の身体を抑え込み、無慈悲に腰を打ち付けた。首筋にまで流れて来た翡燕の涙を舐めとり、獅子王はその華奢な身体を抱き込む。
翡燕の最奥に腰を押し付け、抱き込んだまま精液を叩きこむ。また寝台に押さえ込み、中をこねくり回すように動かすと、翡燕からか弱い喘ぎ声が漏れた。
はひゅはひゅと浅い呼吸を繰り返す翡燕を見下ろして、獅子王は自身の口元へ手を伸ばす。濡れた自身の口元を指で拭って、指の腹を見た。そこに付いていたのは、翡燕の血と涙だ。
身体をひっくり返され、翡燕は四肢をだらりと投げ出した。浅い息を繰り返していると、目の前の獅子王の瞳からぼろりと涙が零れ落ちる。
赤くなっていた瞳が徐々に戻り始めると同時に、獅子王は自身の顔を手で覆った。
「し、し、ま、る?」
「……翡燕、オレは、なんて、事を……」
「あ……」
翡燕は鉛のように重い腕を、必死に伸ばした。
(今、言わなきゃ……。意識が、あるうちに……)
そう願いながら伸ばした手は、獅子王の頬へと届いた。半獣の彼の毛並みを、指に絡ませる。
「あいしてる。ししまる……あい、してる」
「翡燕……」
「……ふふ、ぼくの、やさしい……あいするけもの……」
薄れていく意識の中、翡燕は獅子王に愛の言葉を紡いだ。
獅子王の為じゃない。翡燕自身のために。
彼がいないともう生きていけないと、翡燕はもうとっくに分かっていたのだから。
言葉で、身体で、獅子王を縛り付けて、離したくなかったのだ。
しかし翡燕の体内には、まだ獅子王のものが入り込んだままだ。肩に感じる獅子王の頬の感触から、彼も一瞬だけ眠りこけてしまった事が分かる。
指先一つも動かせないながら、翡燕の身体は猛烈に水分を欲している。しかし喘ぎ叫んだ喉はがらがらで、水を飲み込めるかどうかも分からない。
「み、ず」
翡燕が絞り出した声に反応した獅子王が、低い唸り声を上げた。思い出したかのように腰を振り始め、翡燕の肩甲骨へ歯を突き立てる。
「いっつうッ! あ、ぁああ……」
「ひ、え、ん……」
この部屋に足を踏み入れて直ぐの時は、獅子王は正に獣だった。翡燕の服を剥ぎ取り、碌に慣らしもせず突き入れられた。
覚悟はしていたし準備もしていたが、半獣化した獅子王との体格差は翡燕を苦しめた。そして止まることのない行為に、ただただ翻弄されるしかなかった。
しかし時間が経つにつれ、獅子王に変化が起こる。入れて腰を振るという行為しかしなかった彼が、翡燕の身体に触れ始めたのだ。
肌を撫でて、歯を立て、時折舐める。そして譫言のように翡燕の名を呼び始めたのも、つい先ほどからだった。
(もう少し、なのか? もう僕が、持たない)
自我が戻ってきているのか潜在意識からなのか、先ほどから獅子王は翡燕の良いところを突いてくる。
乱暴に扱われるのならまだ良かったが、獅子王の片鱗が見えてしまうと途端に、翡燕を快感が襲うようになった。
名を呼ばれながら良いところを穿つかれると、甘い想いが湧き出して溢れてくる。
「しし、まるッ! そこ、やめて……!」
奥の行き止まりをぐりぐりと抉られ、翡燕の身体ががくがくと震える。先ほどから何度も注がれている精液も、ぐぼぐぼと卑猥な音を立てて翡燕の羞恥を煽った。
身体を密着させながら後ろから突かれ、翡燕は成すがまま身体を揺らす。
「っぅう~~、も、いけ、ないッ……あ、あ」
「……翡燕ッ……」
音がするほど大量に注がれ、翡燕はぶるりと小さく震える。限界を迎えた身体は、小さな反応しか返すことが出来ない。
獅子王のそれは、達しても治まることが無かった。硬さも大きさも変わらないまま、翡燕の体内で熱を発し続ける。
肩を掴まれ上体を起こされると、獅子王の膝の上に翡燕は乗せられた。自分の重さで獅子王の昂りが深々と刺さり、翡燕は低く唸ったまま痙攣する。
するとその震えを押さえ込むように、獅子王が翡燕を抱きしめてきた。震える身体が煩わしくて、力で押さえ込もうとするかのような抱きしめ方だ。
普段の彼なら優しく抱きしめて、髪を撫でてくれただろう。普段の獅子王を思い出すほど、翡燕の心は引き攣って痛んだ。
獅子王の大きな体格にがっちりと抑え込まれ、逃げ場をなくした状態で腰を突き上げられる。物思いに耽っていた翡燕は、小さく悲鳴を上げた。
「ひぃッ!? んん、あぁ……おね、がい……ししッ、まる……」
獅子王は翡燕の髪を引っ張り首筋を露出させると、そこにも歯を立てる。びくりと跳ねる翡燕の身体を抑え込み、無慈悲に腰を打ち付けた。首筋にまで流れて来た翡燕の涙を舐めとり、獅子王はその華奢な身体を抱き込む。
翡燕の最奥に腰を押し付け、抱き込んだまま精液を叩きこむ。また寝台に押さえ込み、中をこねくり回すように動かすと、翡燕からか弱い喘ぎ声が漏れた。
はひゅはひゅと浅い呼吸を繰り返す翡燕を見下ろして、獅子王は自身の口元へ手を伸ばす。濡れた自身の口元を指で拭って、指の腹を見た。そこに付いていたのは、翡燕の血と涙だ。
身体をひっくり返され、翡燕は四肢をだらりと投げ出した。浅い息を繰り返していると、目の前の獅子王の瞳からぼろりと涙が零れ落ちる。
赤くなっていた瞳が徐々に戻り始めると同時に、獅子王は自身の顔を手で覆った。
「し、し、ま、る?」
「……翡燕、オレは、なんて、事を……」
「あ……」
翡燕は鉛のように重い腕を、必死に伸ばした。
(今、言わなきゃ……。意識が、あるうちに……)
そう願いながら伸ばした手は、獅子王の頬へと届いた。半獣の彼の毛並みを、指に絡ませる。
「あいしてる。ししまる……あい、してる」
「翡燕……」
「……ふふ、ぼくの、やさしい……あいするけもの……」
薄れていく意識の中、翡燕は獅子王に愛の言葉を紡いだ。
獅子王の為じゃない。翡燕自身のために。
彼がいないともう生きていけないと、翡燕はもうとっくに分かっていたのだから。
言葉で、身体で、獅子王を縛り付けて、離したくなかったのだ。
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