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後日談
3 その後のお話 〈黒王 ※編〉
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翡燕の唇を貪りながらも、黒王は歩を緩めない。
狩り小屋へ着くと体当たりで扉を開け、翡燕の身体を藁の上へと押し倒す。
尚も続く口付けは勢いを増し、翡燕の口端からだらりと涎が零れ流れた。
呼吸すらも奪われて、視界もはっきりと定まらない。僅かな唇の隙間から、黒王の懇願するような声が漏れる。
「好きだ。愛してる。あの時から、ずっとだ」
「んん……! まっ……」
「この藁の上で……!! どれだけあなたを抱きたかったか。この唇を、どれだけ……」
「っつふっ……んん」
唇を甘く噛まれ、舌がねじ込まれる。流れ込む唾液を飲み込もうと喉を鳴らすと、首筋に舌が這った。
翡燕が思わず上ずった声を上げると、服の合わせ目から黒王の大きな手が潜り込んでくる。
その大きさに、翡燕は思わず身を震わせた。思わずその手首を片手で掴んで、空いた手で黒王の顔を探る。
ぼんやりとした視界に手を伸ばし、黒王の頬に触れる。途端に安堵が身に溶けて、翡燕は震える息を吐き出した。
「……黒兎、わかったから、優しく……して」
「……翡燕……」
「まだあまり見えないから……怖い」
「……うん」
懇願するように言うと、黒王は応えるように翡燕の身体を抱きしめた。
唇を優しく頬に落とし、眦にも口付けながら帯紐を解いていく。合わせ目から覗いた鎖骨に舌を這わせると、翡燕の身体がぴくりと跳ねた。
身体が跳ねるたびに、翡燕の服が肌から滑り落ちていく。赤い尖りが見え隠れするのがもどかしくて、黒王は合わせ目を鼻先で除け、そのまま尖りに吸いついた。
「っあ!? んん、こく、と……! そこ、やだっ」
「翡燕のここ、綺麗」
片方の尖りを口に含み、片方は指の腹でくりくりと潰す。刺激を与えれば返ってくる反応を見て、黒王の中から抑えていた劣情が湧き上がってくる。
妄想の中で何度も裸にして、何度も抱き潰した相手が目の前にいる。感じられる色は、これ以上ないほどの甘い色だ。
下穿きに手を入れると、翡燕の緩く立ち上がったものが手に触れる。逃さないように手で包むと、翡燕が怯えるような表情を浮かべた。
「……痛いことしない」
「う、ん……わかっ……! つっつ、ひぃあ……」
ぐちゅぐちゅと上下に動かすと、翡燕のそこは直ぐに熱を持ち始めた。
人差し指と中指で挟んで擦り上げ、時折親指で先端を潰す。翡燕の背中が弓なりに反るのを良いことに、さらに深く尖りを口に含んだ。
「うあ!? あぁああッ! まって、ぃや……!」
「かわいい。翡燕のここ、ぱくぱくしてる」
そう呟きながら黒王が鈴口を擦ると、翡燕が息を詰めた。自身の人差し指を噛み締めて、必死に快感を押し殺している。
「噛まない」
「ううぅう~、う、ううむ……!?」
翡燕の指を引き剥がし、その唇を黒王は塞ぐ。舌で翡燕の上顎をごりごりと擦り、手は荒く上下に動かした。
翡燕の瞳が見開かれ、その瞳が快感に揺らぐ。嬌声を唇でふさがれ、がたがたと身を震わせるのを、黒王はうっとりと見つめた。
「ん、んんん~~!!!」
翡燕の瞳からボロボロと涙が零れ出し、それと共に鈴口からも蜜が散る。すべて出し切ってしまえと黒王が手を動かし続けると、翡燕が懇願するように首を横に振った。
唇を離すと、翡燕はひゅっと息を吸い込んだ。足りない酸素を乞うように、何度もか細く呼吸を繰り返す。
「も、手、とめてっ……! いった、からぁ……」
「うん。いっぱいイって?」
「何い……っっ!? ぅう!?」
翡燕の蜜を指に絡ませて、黒王は後孔に指を潜り込ませた。達したばかりでひくついたそこは、いつもよりきつく窄まっている。
「翡燕、緩めて? 慣らさなきゃ」
「はっ、あ、……できない……んんッ!?」
黒王が持ってきた香油を指に垂らすと、翡燕が信じられないといった顔を浮かべる。事前に用意していたそれを見て、翡燕はその顔を真っ赤に染めた。
「しっ! 信じられない! そんなもの、じゃ、最初から………!」
「翡燕? 目、見えてきた?」
「? あ、そう言えば、ふあっ!? あ、あああぁッ!?」
翡燕が気を逸らした隙に、黒王は突き入れた指をじゅぶじゅぶと動かした。香油と蜜が混ざりあって、淫らな水音が響く。
翡燕は内腿を震わせて、黒王の腕を縋るように鷲掴んだ。
こうして翡燕が縋るのは、黒王が自分の良いところを知っていると分かっているからだ。
今から与えられるであろう快感に、身構えている。
ぎゅっと唇を噛み締める翡燕を見ながら、黒王は笑いを零す。しかしこうして可愛い抵抗を示されるのは、黒王にとって褒美でしかない。
弱い部分を指先でカリっと掻くと、翡燕の身体全体がびくりと跳ねる。
「我慢してるの? 翡燕?」
「……ん……ちが……」
あえて弱い部分には触れないまま、黒王は指をもう一本突き入れた。ばらばらに動かしながら刺激すると、翡燕がもどかしそうに腰をくねらせる。
「ん、っつ、ふぅ……」
「もう一本増やすね」
「! っつやめ、~~~ッ!!」
指を三本に増やすと、翡燕の後孔の縁が赤く充血する。華奢な翡燕の身体は、黒王の指ですら受け入れ難い。それでも必死で呑み込もうとしているのが、たまらなく煽情的だった。
良いところを避けながら、黒王は指を荒々しく動かす。翡燕は時折物欲しそうな表情を浮かべながら、唇を噛み締めて視線を合わせようとしない。
「翡燕? どうして欲しいの? 言って」
「……んぁ、あ、い、やだ……!」
「お腹側、擦ってほしい?」
そう言いながら黒王が翡燕の下腹部に触れると、翡燕の身体が一層跳ねた。びゅくびゅくと蜜を吐き出し、翡燕は怯えた顔を浮かべて嬌声を上げる。
「ひぃあぁ……!!? な、なん、で、あぁああアッ!!」
「……翡燕……ああ、なんてかわいい。外側から達したの?」
「? ひぃあ、わかん、な……! ゆび、……ぬいてぇ……」
「いやだ」
今度は良いところを掠めるように、黒王は指を滅茶苦茶に動かした。動かすたびに、ぐぽぐぽと淫らな音が鳴り響く。
水色の髪を乱して、翡燕は黒王の手首を制止するように掴んだ。しかし力で敵うはずもなく、力の入らない身体はがくがくと痙攣を繰り返した。
自身の鈴口から蜜ともつかない液が吹き出るのを、翡燕は怯えたように見つめる。絶頂から降りられず、悲鳴にも似た嬌声を上げ続けるしかない。
「いいよ、いっぱい出して」
「いやぁあぁッ!! いってる、イって、からぁ!! っつぅう~~!!」
「……っ」
翡燕の後孔から指を抜きながら、黒王は前を寛げた。翡燕が息つく間も与えず、自身の昂りを容赦なく突き入れる。
ひゅっと息を吐きながら、翡燕が弓なりに反った。足先までがピンと伸びて、黒王の腰に内腿の翡燕の痙攣が伝わる。
「っつ、すごい締め付け……。入れただけで達したの?」
「……は、ああぁ……」
高みから降りられない翡燕は、瞳を揺らしながら顔を蕩けさせている。真っ赤に染まった頬は、涙で濡れそぼっていた。
しかし黒王が腰を引くと、その刺激で翡燕の瞳に光が戻る。与えられる快感に、いやいやと頭を降った。
「い、や、だめぇ! うごくな! う……ひぃあっ!!」
「あたたかい。……翡燕?」
「うぅ……あ?」
「好きって、言って?」
一瞬呆けた顔を浮かべる翡燕の腰を掴んで、黒王は一気に腰を突き入れた。
逃げようと身を捩る翡燕の髪を梳いて、黒王は少しずつ律動を始める。嬌声を上げながら縋りつく翡燕の耳元で、黒王はもう一度呟いた。
「翡燕、好き、は?」
「んんんんぁ! ああ! とまって……!」
「すき、は?」
「んんぁあ!!」
荒々しく腰を突き上げて、黒王は翡燕に問いかける。翡燕は恨めしそうに顔を歪め、力なく黒王の胸板を叩いた。
「すき、に、きまってるだろ!! そんな不安そうな顔、するな!」
「……」
荒々しく息をつきながら、翡燕が黒王の頭を抱きしめる。中に入っている黒王の熱さを感じながら、翡燕はほっと息をついた。
「まったく……。繋がった嬉しさも、少しは味あわせてくれよ」
「……」
「好きどころか、愛してるよ。お前もそうだろ?」
ふふ、と翡燕が笑いを漏らすと、黒王が泣きそうな顔を浮かべた。宥める様に髪を梳くと、その手に黒王が頬を擦り寄せる。
「黒兎、ほら、続き。今度は優しくして?」
「……」
「……? どうした? ん? 何か、大きく……ひぃぁあ!」
翡燕が目を見開くと、黒王の瞳が怪しく光る。ぺろりと舌なめずりすると、汗だくの髪を掻き上げた。一見するとセクシーな仕草だが、嫌な予感でいっぱいの翡燕は、それどころではない。
「……こ、黒兎?」
「今のは、翡燕がわるいね?」
「うっそ……、つぁ……!」
ぐり、と奥に突き付けられたモノは、先ほどよりも硬さも大きさも増している。恐れ戦くものの、もう遅い。
何かのスイッチを押したらしい。
そう気付いたのは、激しい律動の後だった。
思考すらも霞んで消えるほどの快感に、翡燕の目の前がちかちかと点滅を繰り返す。
「……っつあッ! あ、あ、こわ、れるっっ!」
「こわ、れろっ!」
「!? っつ! あ、ああぁ……!」
黒王の身がぶるりと震え、最奥に潜り込んだ塊から熱いものが注がれた。腰を打ち付けながら吐き出され、翡燕は快感に打ち震える。
何もかもが塗り替えられるような感覚だった。翡燕がぼろぼろと涙を流すと、顔中に唇が降ってくる。
くすぐったくて弱く笑う翡燕に、黒王も幸せそうに笑顔を向けた。
もう身体のどこも動かせない。そんな翡燕に、黒王は呟く。
「翡燕、あと3回」
「………? !!?」
黒王に抱きしめられ、唇を塞がれる。翡燕の悲鳴は飲み込まれ、後は彼の成すがままだった。
狩り小屋へ着くと体当たりで扉を開け、翡燕の身体を藁の上へと押し倒す。
尚も続く口付けは勢いを増し、翡燕の口端からだらりと涎が零れ流れた。
呼吸すらも奪われて、視界もはっきりと定まらない。僅かな唇の隙間から、黒王の懇願するような声が漏れる。
「好きだ。愛してる。あの時から、ずっとだ」
「んん……! まっ……」
「この藁の上で……!! どれだけあなたを抱きたかったか。この唇を、どれだけ……」
「っつふっ……んん」
唇を甘く噛まれ、舌がねじ込まれる。流れ込む唾液を飲み込もうと喉を鳴らすと、首筋に舌が這った。
翡燕が思わず上ずった声を上げると、服の合わせ目から黒王の大きな手が潜り込んでくる。
その大きさに、翡燕は思わず身を震わせた。思わずその手首を片手で掴んで、空いた手で黒王の顔を探る。
ぼんやりとした視界に手を伸ばし、黒王の頬に触れる。途端に安堵が身に溶けて、翡燕は震える息を吐き出した。
「……黒兎、わかったから、優しく……して」
「……翡燕……」
「まだあまり見えないから……怖い」
「……うん」
懇願するように言うと、黒王は応えるように翡燕の身体を抱きしめた。
唇を優しく頬に落とし、眦にも口付けながら帯紐を解いていく。合わせ目から覗いた鎖骨に舌を這わせると、翡燕の身体がぴくりと跳ねた。
身体が跳ねるたびに、翡燕の服が肌から滑り落ちていく。赤い尖りが見え隠れするのがもどかしくて、黒王は合わせ目を鼻先で除け、そのまま尖りに吸いついた。
「っあ!? んん、こく、と……! そこ、やだっ」
「翡燕のここ、綺麗」
片方の尖りを口に含み、片方は指の腹でくりくりと潰す。刺激を与えれば返ってくる反応を見て、黒王の中から抑えていた劣情が湧き上がってくる。
妄想の中で何度も裸にして、何度も抱き潰した相手が目の前にいる。感じられる色は、これ以上ないほどの甘い色だ。
下穿きに手を入れると、翡燕の緩く立ち上がったものが手に触れる。逃さないように手で包むと、翡燕が怯えるような表情を浮かべた。
「……痛いことしない」
「う、ん……わかっ……! つっつ、ひぃあ……」
ぐちゅぐちゅと上下に動かすと、翡燕のそこは直ぐに熱を持ち始めた。
人差し指と中指で挟んで擦り上げ、時折親指で先端を潰す。翡燕の背中が弓なりに反るのを良いことに、さらに深く尖りを口に含んだ。
「うあ!? あぁああッ! まって、ぃや……!」
「かわいい。翡燕のここ、ぱくぱくしてる」
そう呟きながら黒王が鈴口を擦ると、翡燕が息を詰めた。自身の人差し指を噛み締めて、必死に快感を押し殺している。
「噛まない」
「ううぅう~、う、ううむ……!?」
翡燕の指を引き剥がし、その唇を黒王は塞ぐ。舌で翡燕の上顎をごりごりと擦り、手は荒く上下に動かした。
翡燕の瞳が見開かれ、その瞳が快感に揺らぐ。嬌声を唇でふさがれ、がたがたと身を震わせるのを、黒王はうっとりと見つめた。
「ん、んんん~~!!!」
翡燕の瞳からボロボロと涙が零れ出し、それと共に鈴口からも蜜が散る。すべて出し切ってしまえと黒王が手を動かし続けると、翡燕が懇願するように首を横に振った。
唇を離すと、翡燕はひゅっと息を吸い込んだ。足りない酸素を乞うように、何度もか細く呼吸を繰り返す。
「も、手、とめてっ……! いった、からぁ……」
「うん。いっぱいイって?」
「何い……っっ!? ぅう!?」
翡燕の蜜を指に絡ませて、黒王は後孔に指を潜り込ませた。達したばかりでひくついたそこは、いつもよりきつく窄まっている。
「翡燕、緩めて? 慣らさなきゃ」
「はっ、あ、……できない……んんッ!?」
黒王が持ってきた香油を指に垂らすと、翡燕が信じられないといった顔を浮かべる。事前に用意していたそれを見て、翡燕はその顔を真っ赤に染めた。
「しっ! 信じられない! そんなもの、じゃ、最初から………!」
「翡燕? 目、見えてきた?」
「? あ、そう言えば、ふあっ!? あ、あああぁッ!?」
翡燕が気を逸らした隙に、黒王は突き入れた指をじゅぶじゅぶと動かした。香油と蜜が混ざりあって、淫らな水音が響く。
翡燕は内腿を震わせて、黒王の腕を縋るように鷲掴んだ。
こうして翡燕が縋るのは、黒王が自分の良いところを知っていると分かっているからだ。
今から与えられるであろう快感に、身構えている。
ぎゅっと唇を噛み締める翡燕を見ながら、黒王は笑いを零す。しかしこうして可愛い抵抗を示されるのは、黒王にとって褒美でしかない。
弱い部分を指先でカリっと掻くと、翡燕の身体全体がびくりと跳ねる。
「我慢してるの? 翡燕?」
「……ん……ちが……」
あえて弱い部分には触れないまま、黒王は指をもう一本突き入れた。ばらばらに動かしながら刺激すると、翡燕がもどかしそうに腰をくねらせる。
「ん、っつ、ふぅ……」
「もう一本増やすね」
「! っつやめ、~~~ッ!!」
指を三本に増やすと、翡燕の後孔の縁が赤く充血する。華奢な翡燕の身体は、黒王の指ですら受け入れ難い。それでも必死で呑み込もうとしているのが、たまらなく煽情的だった。
良いところを避けながら、黒王は指を荒々しく動かす。翡燕は時折物欲しそうな表情を浮かべながら、唇を噛み締めて視線を合わせようとしない。
「翡燕? どうして欲しいの? 言って」
「……んぁ、あ、い、やだ……!」
「お腹側、擦ってほしい?」
そう言いながら黒王が翡燕の下腹部に触れると、翡燕の身体が一層跳ねた。びゅくびゅくと蜜を吐き出し、翡燕は怯えた顔を浮かべて嬌声を上げる。
「ひぃあぁ……!!? な、なん、で、あぁああアッ!!」
「……翡燕……ああ、なんてかわいい。外側から達したの?」
「? ひぃあ、わかん、な……! ゆび、……ぬいてぇ……」
「いやだ」
今度は良いところを掠めるように、黒王は指を滅茶苦茶に動かした。動かすたびに、ぐぽぐぽと淫らな音が鳴り響く。
水色の髪を乱して、翡燕は黒王の手首を制止するように掴んだ。しかし力で敵うはずもなく、力の入らない身体はがくがくと痙攣を繰り返した。
自身の鈴口から蜜ともつかない液が吹き出るのを、翡燕は怯えたように見つめる。絶頂から降りられず、悲鳴にも似た嬌声を上げ続けるしかない。
「いいよ、いっぱい出して」
「いやぁあぁッ!! いってる、イって、からぁ!! っつぅう~~!!」
「……っ」
翡燕の後孔から指を抜きながら、黒王は前を寛げた。翡燕が息つく間も与えず、自身の昂りを容赦なく突き入れる。
ひゅっと息を吐きながら、翡燕が弓なりに反った。足先までがピンと伸びて、黒王の腰に内腿の翡燕の痙攣が伝わる。
「っつ、すごい締め付け……。入れただけで達したの?」
「……は、ああぁ……」
高みから降りられない翡燕は、瞳を揺らしながら顔を蕩けさせている。真っ赤に染まった頬は、涙で濡れそぼっていた。
しかし黒王が腰を引くと、その刺激で翡燕の瞳に光が戻る。与えられる快感に、いやいやと頭を降った。
「い、や、だめぇ! うごくな! う……ひぃあっ!!」
「あたたかい。……翡燕?」
「うぅ……あ?」
「好きって、言って?」
一瞬呆けた顔を浮かべる翡燕の腰を掴んで、黒王は一気に腰を突き入れた。
逃げようと身を捩る翡燕の髪を梳いて、黒王は少しずつ律動を始める。嬌声を上げながら縋りつく翡燕の耳元で、黒王はもう一度呟いた。
「翡燕、好き、は?」
「んんんんぁ! ああ! とまって……!」
「すき、は?」
「んんぁあ!!」
荒々しく腰を突き上げて、黒王は翡燕に問いかける。翡燕は恨めしそうに顔を歪め、力なく黒王の胸板を叩いた。
「すき、に、きまってるだろ!! そんな不安そうな顔、するな!」
「……」
荒々しく息をつきながら、翡燕が黒王の頭を抱きしめる。中に入っている黒王の熱さを感じながら、翡燕はほっと息をついた。
「まったく……。繋がった嬉しさも、少しは味あわせてくれよ」
「……」
「好きどころか、愛してるよ。お前もそうだろ?」
ふふ、と翡燕が笑いを漏らすと、黒王が泣きそうな顔を浮かべた。宥める様に髪を梳くと、その手に黒王が頬を擦り寄せる。
「黒兎、ほら、続き。今度は優しくして?」
「……」
「……? どうした? ん? 何か、大きく……ひぃぁあ!」
翡燕が目を見開くと、黒王の瞳が怪しく光る。ぺろりと舌なめずりすると、汗だくの髪を掻き上げた。一見するとセクシーな仕草だが、嫌な予感でいっぱいの翡燕は、それどころではない。
「……こ、黒兎?」
「今のは、翡燕がわるいね?」
「うっそ……、つぁ……!」
ぐり、と奥に突き付けられたモノは、先ほどよりも硬さも大きさも増している。恐れ戦くものの、もう遅い。
何かのスイッチを押したらしい。
そう気付いたのは、激しい律動の後だった。
思考すらも霞んで消えるほどの快感に、翡燕の目の前がちかちかと点滅を繰り返す。
「……っつあッ! あ、あ、こわ、れるっっ!」
「こわ、れろっ!」
「!? っつ! あ、ああぁ……!」
黒王の身がぶるりと震え、最奥に潜り込んだ塊から熱いものが注がれた。腰を打ち付けながら吐き出され、翡燕は快感に打ち震える。
何もかもが塗り替えられるような感覚だった。翡燕がぼろぼろと涙を流すと、顔中に唇が降ってくる。
くすぐったくて弱く笑う翡燕に、黒王も幸せそうに笑顔を向けた。
もう身体のどこも動かせない。そんな翡燕に、黒王は呟く。
「翡燕、あと3回」
「………? !!?」
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