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戦乱の常葉国

68. 常葉のおうち

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天火あめのほ、照らせ」
 たつとらの声は、静かながら敵地に良く響いた。

 瞬間、白い球体が3つ、北の兵の頭上に現れて弾ける。
 眩い光が天に満ちて、その強烈な光に北の兵たちは呑まれた。かつて経験したことのない程の光が押し寄せ、兵士たちは声を失い、呆然と立ち竦む。
 
 少しの後、また声が響いた。

「天火、かげらせ」

 その声を合図に、まるで最初からいなかったかのように、球体は姿を消した。

 一瞬にして暗闇が支配する。まるで視力が奪われたかのような暗闇に、兵士たちは視線を泳がせた。
 手に持っていた筈のかがり火も、多くが消えて、煙がゆらゆらと揺れる。


「今!!」

 チャンは叫びながら、敵陣に突っ込んだ。仲間たちも同時に走り出すのが分かる。
 北の兵たちは急襲に狼狽えるも、応戦することが出来ない。その目は、暗闇しか映せていなかった。

 人間の瞳は、明るい環境から急激に暗い環境に変化すると、対応が追いつかず何も見えなくなる。

 一方チャン達のように目を保護し、光を見なかった者たちは、暗闇に囚われることは無い。
 強烈な光を感じたら、まずは片目を瞑る。一部の軍では当たり前の様に教えられることだった。


「翡翠」
 たつとらは呼び出した翡翠を逆手に握ると、藥王と哄笑を振り返りながら走った。

「ついて来いよ。手際よくやれ」
 緑の瞳が細められ、いつもの穏やかな顔はそこにはない。
 薬王はゾクゾクしながら、犬歯を剥き出しにした。

(やっば、兄ぃ、かっちょえぇぇ)
 久方ぶりの戦闘モードのたつとらに、藥王は腹の底から歓喜が湧いてくるのを感じる。ニヤニヤが止められないのは、哄笑も一緒のようだ。

 たつとらは閃光のように敵陣に突っ込み、敵兵が異変を察知する前に昏倒させていく。並んでいた敵兵の一部が、まるで陥没したかのようだった。

 藥王が両手を上げ、犬歯を剥き出しにしたまま笑った。両手の指をわしわしと曲げたり伸ばしたりしている。

 昏倒した兵士の下から、蔓が伸びてきて身体に巻き付いていく。近くの木からも伸びて、昏倒した兵士をまるで攫うかのように木に巻き付けた。


「うっわ、チームたつとら、えっぐい!」
 ルメリアの声に、タールマはたつとら達の方を見遣った。
 敵兵がバタバタと倒れていく。藥王や哄笑の姿は見えるが、たつとらの姿は見えない。

「ドミノ倒しみたいだな」
 そう言いながらも、タールマは目の前の敵兵の腹に一撃を加える。

 泡を拭いて昏倒した敵兵は、蔓に巻き取られていった。タールマはぎょっとすると、倒してきた敵兵を振り返る。
 もう既に蔓に巻き取られているそれを見ながら「やるな、藥王」とつい口に出した。

 チームたつとらが約半数の兵士をあっと言う間に拘束した頃、敵兵にも反撃の兆しが見えてきた。
 見えないながらも魔法を放ったり、剣を振るったりしている。

 目が見えない状況で攻撃されるのは、相当な恐怖なのだろう。振るった剣が仲間の兵士に当たろうとも、恐怖に支配された兵士たちは、闇雲に武器を振り回す。

 見かねた秋人が声を張り上げた。
「投降する者は、地面に伏せろ!拘束はするが、攻撃はしない!」

 その言葉を合図に、次々と伏せる兵士が現れた。伏せた兵士たちも、蔓が絡めとっていく。
 そして数十分もしない内に、あらかた片付いてしまった。

 秋人が伝達していたのか、常葉の兵士がやってきて敵兵を拘束していく。敵の前基地はあっと言う間に制圧されることとなった。


 周囲を見渡し、もう立っている者はいない事をたつとらは確認する。

 息を付き、翡翠を消した。
 何もなくなった自分の手は、微かに震えている。

「兄ぃ」
 藥王から声を掛けられ、たつとらは振り返った。たつとらの額には血が滲んでおり、赤く腫れあがっている。

「どうしたんや、それ」
 たつとらは視線を自分の額に向けると、少し照れくさそうに笑う。その笑顔が酷く心細く見えて、藥王はたつとらを抱き寄せた。

「……はは、大丈夫だよ朱楽。鉢金している人に頭突きしたら、こうなっただけ」
 たつとらは藥王の背中を擦り、笑い声を漏らしている。明らかに弱々しい笑い声は、掠れて小さい。

 藥王は下唇を噛んで、微かに震えている身体を、もう一度ギュッと抱き込んだ。
「……兄ぃ、もう終わったで。恐かったな」

 藥王の腕の中で、たつとらが深く息を吐く。歪んだ笑顔を浮かべると、それを打ち消す様に頭を擦りつける。

「……ああ、恐かった」

 人を傷つけるという行為は、たつとらの予想以上に恐ろしいものだった。
 傷つければ、人間は苦悶の表情を浮かべる。攻撃してくる相手に、恐怖や絶望の顔を見せる。
 心に蓋をしなければ、到底やり遂げられなかった。

「大丈夫や、だぁれも死んでない。でこ見せや?」
 藥王はたつとらの髪を前髪を掻き上げると、いつも持っている軟膏を傷にトントンと乗せるように塗る。

「朱楽の傷薬は良く効くからな」
 たつとらがニコニコ笑いながら言うと、藥王が口を尖らせた。

「俺のかわいいおでこが台無しや」
「何がお前のおでこだよ」
「お?かわいいは否定せぇへんのな?」

 ニヤニヤ笑う藥王の顎に、たつとらは頭突きを打ち込んだ。

 藥王は衝撃でよろけ、顎に手を当て泣きそうな顔でたつとらを見る。
「痛!!何すんの!?」
「調子に乗るからだ」

 続けざまに反論しようとしていた藥王の顔が、突如として凶悪に歪む。

 既に状況を理解していたたつとらは、振り返って口を開いた。

「全員、動くな」

 たつとらの後ろから、今にも斬り掛かろうとしていた秋人が、その身体をピタリと止める。
 驚愕の顔を浮かべる秋人に、たつとらは勘弁してくれと言わんばかりの呆れ顔を浮かべた。

「秋人さん、手合わせですか?不意打ちは、危ないですよ?」

 そう言うと、固まっている秋人の身体を右側へ引っ張る。そしてそのままグリンと方向転換させた。

 固まった姿勢のままの秋人が見たのは、今にも秋人に斬りかからんとする、タールマとルメリアの姿だった。2人とも秋人と同じく固まっている。
 地面からは、秋人を絡めとる寸前の蔓が這い出て固まっていた。

 たつとらは秋人の身体を押し付けるように低くさせると「動け」と良く通る声で言う。
 瞬間、秋人の頭上を複数の何かが横切った。

 近くの木に小気味のいい音を立てて刺さったのは、2本の細身ナイフだった。別の木には弾痕が煙を立てている。

 秋人は目を丸くして、口を引き結んだ。額にぶわりと汗が滲む。

 振り返るとナイフを投げたであろうチャンとミンユエが、驚愕の顔を浮かべている。ボルエスタは別の場所で、銃を構えていた。顔は険しいままだ。

 チャンが気まずそうな表情にシフトすると、今しがたナイフを投げていた手で頭を掻き回す。
「すまん、秋人さん。たつが攻撃されると思って、つい……」

 タールマが咳払いをしながら、剣を鞘に戻した。
「それにしても不意打ちは、軍人としてどうかと思う」
 うんうん頷きながら、ルメリアも大鎌を下ろした。

 秋人は胡坐を掻くと、持っていた剣を放り投げる。

「ぷ……くくく、ははははは!」
 腹を押さえて身を捩りながら、秋人は笑う。哄笑が走り寄って来て、秋人の頭をぐいっと押さえた。

「申し訳ありません!秋人は小さい頃から、強い者を見ると腕試ししたくなる性分で……」
 頭を押さえられながら、秋人は視線だけをたつとらに投げた。そのまま眉を下げると、目を伏せる。

「申し訳ない、たつとら殿。本当に哄笑殿の主でありましたか。数々の無礼な振る舞いを……お許し願いたい」
「いいんですよ。哄笑、もういい」

 即答するたつとらに、秋人が呆けた顔を向けた。

 失礼なことを言い、不意打ちも掛け、彼の仲間からは未遂ながらも反撃を受けた。
 それなのに、随分軽い。秋人は小さく吹き出した。

「それより、手合わせしますか?」
 手を差し伸べて笑顔を向けるたつとらに、秋人はまるで見惚れたように見入った。

「……驚いたなぁ。たつとら殿への印象が変わりました。いやはや、人間とはいい加減なもんですね」
 たつとらが何とも言えない表情を浮かべた。
 秋人の自分に向けた第一印象はそんなに悪かったのか、そう思うと苦笑いが漏れる。秋人が周りを見渡しながら肩を竦めた。

「手合わせは止めときます。お仲間が恐いんでね」
 たつとらの手を掴んで、秋人はゆっくりと立ち上がる。

「さあ、今日は宴を開きましょう!勝利をもたらしてくれたウェリンクの勇者たちに、酒を振る舞わせて下さい!」

 つい今しがた制圧した敵陣で、秋人は宴を開くと宣う。
 北側に控える敵陣を刺激するだけの行為だが、常葉の兵は笑って準備を始める。

「兵は強くないのに、考え方だけは豪胆ですね」
 皮肉を吐くチャンを、秋人は嬉しそうに見つめた。

「ますます良い!的確に突いている!是非、あなたがたの意見を聞かせ願いたい!」
 そして秋人はたつとらにすり寄り、耳打ちした。

「たつとら殿、和食が好きなようだな?酒のつまみに、厚揚げの餡かけなどはどうだ?常葉秘伝の烏賊の塩辛もあるぞ?」
「食べます。ビールが良いです」
 即答するたつとらに、秋人は満面の笑みを向けた。



 _____

「うぅううう、旨ぁあい!」

 烏賊の塩辛は絶妙な塩加減だった。少しも生臭くなく、仄かに潮の香りが広がる。

 たつとらは小皿に塩辛を盛ると、隣のルメリアやタールマに配る。彼女たちは既に酔っていて、「うわぁい」と子供の様に喜んだ。

 たつとらもニコニコしながら、酒のつまみを皿によそい、他の兵士にも差し出している。
 男性兵士は恐縮し、女性兵士は顔を赤らめた。
 ボルエスタとチャンが秋人の横で、それを眉根を寄せて見つめている。

「あいつ、酔うと世話焼きキャラになるのか?」
「そのようですね……」

 秋人が盃を傾け、口の端を吊り上げた。瞳は笑っていないまま、チャンたちを見据える。
「して、たつとら殿は何者なんだ?人では無いのか?」

 的を得ている質問に、チャンが歪んだ笑みを向けた。チャンも少なからず酔っているのか、少しだけ攻撃的な態度を覗かせる。

「人では無いといったら、どうするんです?まさか、この期に及んで俺たちが常葉に害を成なそうとしているとお考えで?」
「おっと、心外だな。俺がそんなこと考えていると思うか?ただの好奇心だよ。彼がただ者では無いっていうのは分かるからな」

 秋人はたつとらを見た。
 彼は今日会ったばかりの兵士たちと、肩を組んで歌っている。
 その様子を、ウェリンクの女性陣が声を立てて笑いながら手拍子していた。

 秋人はぐぐっと眉を寄せると、悩まし気に顔を歪ませた。

「……っ!俺は、ただ……ウェリンクが、羨ましいんだ!!」

 秋人が盃を床に叩きつけるように置き、叫んだ。
 チャンは仰け反ると、ボルエスタに疑問符を浮かべた視線を送る。ボルエスタも眼鏡を押し上げながら、秋人の迷言に首を捻った。

「あんな美しくて強い女兵士がいて、おまけに馬鹿強い麗人もいる。……常葉には有望な人材が少ないのだ。前王が鎖国していたせいもあるが、頼もしい人物があまりにも少なすぎる!」
 一升瓶から雑に酒を注ぎ、秋人は苛立ち紛れに呷る。そしてもう一度酒を注いだ。
 注いでいる瓶から酒が零れ、だばだばと地面を濡らす。

 見かねたボルエスタは秋人の手を取って、一升瓶を奪い取った。
 秋人はボルエスタを見て、ふふと笑う。

「チャン殿も男前で、ボルエスタ殿も男前……うらやま……」

 秋人が伸し掛かって来たことに、ボルエスタは狼狽えた。飲み過ぎて意識を無くした秋人に、組み敷かれた形になっている。

 秋人の身体は鍛え抜かれているせいか、かなり重い。チャンが側で笑い転げているのが見えて、ボルエスタはギリリと奥歯を噛みしめた。



________

 自分の踏んだ草の香りが、鼻をくすぐる。空は仄かに明るくなってはいるが、太陽はまだ顔を出していない。
 たつとらは目の前に広がる光景に、震える息を吐いた。

 心が抉られるほどに想いを残したその場所は、荒れ果てていても当時の面影を残したままだった。

 聖女ヴィティと、短い期間であるが暮らした場所。藥王と、鹿子と、ヴィティで暮らした、幸せで溢れていた家が目の前にある。

 廃屋となったその家屋は、それでも崩れずに残っていた。驚くべきことに、庭にはまだバラが咲いている。

 扉を開くと、鼻がツンと痛んだ。幸せな記憶は、時に胸の傷を抉り倒す。

 入ってすぐ右側にキッチン。真っすぐ進むと小上がりになっていて、暖炉とソファがある。

 歩を進めるとすぐ異変に気付いた。

 異形の血の匂いだが、少しだけ違う。それが魔神の血の匂いだと、たつとらには分かっていた。

 キッチンの小さなテーブルの上に、バラの花びらだけが集められていた。
 テーブルに付属している椅子には、血痕がまるでコーティングされたようにこびり付いている。まだ完全に乾ききっていない。

「……ここに、居たのか?……鹿子」

 つい最近まで、鹿子はここにいたのだろう。
 シライシとの戦いで傷を負いながら、ここに滞在していたのだ。

 呼吸が乱れる。

 たつとらの脳裏に、鹿子と藥王の顔が浮かんだ。
 身体がふらりとよろめくと、後ろから腰を掴んで支えられる。

「戻るで、兄ぃ」
 たつとらは自分に回された手にそっと触れた。確かに温かいその手を、ギュッと握りしめる。

「……朱楽……俺は……」
「兄ぃ」

 たつとらの言葉を遮って、藥王の手の平がたつとらの両眼を覆う。視界を遮られたたつとらの頭に、藥王の額がコツンと当てられた。

「鹿子はもう、あん時の鹿子やない。鹿子は、ヴィテさんと死んだんや」

 たつとらの瞳を覆う藥王の手の下から、抑えきれなかった涙が零れ落ちる。

「……俺がいるやん、兄ぃ。……泣かんとって」

 藥王の胸に背を預けながら、たつとらは嗚咽を漏らした。肩が震えるのを抑えることが出来ない。

「守れなかった……」

 守れなかった。大事な人たちはいつも目の前で命を散らす。
 しかし自分にはいつまでたっても終わりが訪れず、清算出来ない罪に塗りつぶされそうになる。

「守ったやん。結果がどうあろうと、兄ぃはいつも誰かを守ってる」
 藥王はたつとらの前に回り込むと、その身体をヒョイと肩に担いだ。抵抗しないたつとらを抱えたまま、家を出る。

「もうすぐ起きんで、あいつら。はよ帰らんと」

 酒宴は夜更けまで続いたが、朝日が昇ると起きてしまう者もいるだろう。

「……朱楽、ありがとう」
「おう」
「……降ろしてくれ」
「いやや」

 薬王は肩に担いでいたたつとらを器用に横抱きに変えると、意地の悪い笑顔を浮かべる。
「そんな泣き顔、見せられへんやん。このまんま寝とき」
「……それも、そうかな」

 思えば昨夜も酔いつぶれた者たちを天幕へ運んだり、介抱したりと忙しかった。結局一睡もしないまま、たつとらはあの家へと足を運んでいたのだ。

「朱楽は、眠くないのか?」
「後で、兄ぃと寝る」
「……ほな、寝るで」

 自分の口調を真似た言葉に、藥王は頬をこれでもかと緩ませた。

「兄ぃ、もう一回言うて……ってもう寝とる!」
 腕の中で、たつとらは既に健やかな寝息を立てている。目元は僅かに赤くなっているが、それもそのうち治まるだろう。

(可愛すぎるやろ、俺の主)
 藥王はいつもは吊り上がっている目尻を、これでもかとばかりに下げる。
 このまま自分の洞に連れ帰りたいのを必死で我慢して、仲間のいる天幕へと足を運んだ。
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