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名もなき者編

22. 裸足で逃げ出す

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「組魂刃だと?確かか?」
「はい。覇吐と流雨が申しておりました。確かに組魂刃を呼び出したと」
薔薇の花弁を摘み取っていた手が止まり、目の前に跪く男に目を向ける。瞬時にして辺りの空気が鋭いものへと変わり、張り詰めた。
「組魂刃の名は分かるか?」
「確か…かわせみ…と」
その言葉を聞いた瞬間、薔薇の花が手から滑り落ち、その手が微かに震えだした。
「な…に…?」
「かわせみです。我が王よ」
異形の王は震える手で顔を覆い「下がれ」と呟いた。
男がすぐさま姿を消し、その部屋にまた静寂が訪れる。
机の上には薔薇の花弁だけが集められ、器に入っていた。

『この薔薇のクッキーすげー旨い』
在りし日の想い出が駆け巡り、机に手をついて呻く。そのまま胸を押さえようと思ったが、自身の左手はとうに無いことを思い出す。
「…ドグラムスか…」
そう言うと、異形の王は口の端を吊り上げた。



____

『……手もこんなに冷たくなって。どこにいたの?』
彼女の細く痩せた手は、その日はとても温かかった。
『お願い。夜出歩いてもいいから、私のことを気にして外で夜を明かすのはやめて』
手を引かれて部屋に入ると、暖炉にはまだ火がついていた。暖かい空気に包まれると、冷たい頬がまるで音を立てるように解けていくのが分かる。
『ヴィテさん、大丈夫だから早く寝て。身体に悪いよ』
彼女は困ったように薄く微笑んで、いつもに様に優しく諭すように口を開く。
『少し暖まったら、お風呂に入るんだよ?私は大人しくベッドに行くから、髪はちゃんと乾かして、怪我は明日ちゃんと朱楽に見てもらうんだよ?』
髪を撫でる彼女に笑顔で返事をすると、安心したように別室へと向かう。彼女が何度も振り返るので、結局部屋まで送ることにした。すると彼女は幸せそうに微笑むと、少し悲しそうな顔になる。

『…どこにも…行かないでね』



薄く目を開けると、たつとらは自室のベッドに寝ていた。
修道院の端にある一室で、ナナシの時に過ごした部屋でもあったこの部屋には、上部に大きな窓があり空が見える。
もうすぐ夜明けのようで、空は灰色に染まっていた。
身を切るような寒さに毛布を首に巻き付けると「ほぅ」と息を吐いてみる。気温が低い時に出る白い息は出ず、予想と違うことに彼は眉根を寄せながらベッドを降りた。

上着を羽織ると部屋を出て、中庭に向かう。靴を履いてくるのを忘れたが、お構いなしに歩を進めた。
外は小雨が降っており、中庭の花たちは雨に濡れ少ない朝日を受けて輝いている。
「雨かぁ…」そう呟くと、たつとらは軒下の柱に寄り掛かった。

(俺、馬鹿だよな…)
たつとらは俯き、眉根を寄せて呻いた。
馬鹿だし、卑怯だと思う。優柔不断で、流されやすい。そんな自分の性格が本当に情けなかった。
(本当はこのまま、消えてしまうのが一番なんだ)

だけど、とたつとらは溜息をついた。今度の息は白くふわりと消えていく。
まるで悲しみに耐えているように顔を歪め、頭を柱に打ち付けるとそのままずるりと座り込んだ。
足の指先を軒下から落ちた雨が濡らし、湿った空気が身体を包み込む。
しばらく俯いて考えた後、ゆっくりと立ち上がった。
空は厚い雲で覆われ、所々から光が差している。たつとらは深く息を吸うと、フードを被り中庭に歩き出した。
目の前に中庭と外を隔てる高い外壁がある。高さは3メートル程あるが、過去に何度も飛び越えては異形狩りに行ったものだ。
足先が冷たさで感覚が無くなってきているが、土の感触だけは生々しく伝わってきた。

壁を見据えながら中庭の中程まで進み、もう一度壁を見上げた。
すぐだ。
膝を曲げて跳躍すれば、直ぐに壁の向こうへ行ける。
それで、終わりにしよう。

「たつ」

突然背後から響いた声に、彼はビクリと立ち止まる。まるで悪いことが見つかった子供のように、その場に立ち竦み振り向く事が出来ない。
声の主は分かっている。
フードからポタポタ落ちる雨水を見つめながら、たつとらは辛そうに眉根を寄せた。

「……どこに行くつもりですか?」
「散歩を……」
「雨なのにですか?」
怒気を孕んでいる口調で問うボルエスタは、軒下から中庭へ踏み出した。彼から返事がない事に眉根を寄せ話を続ける。
「もう夜は明けたので、今から夜のお仕事は行かないはず…靴も履かずに何処へ?
……もしかして、僕らの前から去るつもりですか?」
問いただすような口調に、たつとらは息を吐いた。その息が震え、彼は目を瞑る。

「…俺は、皆に守られるような価値はない」
絞り出すようにして言った言葉だったが、確実にボルエスタの耳に届いた。
ボルエスタは足を止め「なにを…」と反論しようとしたが、言葉が見つからない。
「ボルちゃん、俺はね…この世で1番罪深い存在なんだよ。この罪は死んでも許されない」
たつとらの表情は見えない。笑いながら息を吐くと、彼は続ける。
「しかもクズ野郎なんだ。…人との関わりを避けられない、悪者になる勇気もない。皆の優しさにずっとあたっていたくなる…俺にそんな価値はないことが俺が1番分かっているはずなのに…」
「たつ、価値はあります。どうか…」
「価値はない!」

それは悲痛な声だった。声が震え、彼の背中も寂しさに揺れているようだった。
ボルエスタは言葉を選んでいたが、堪らず口を開く。
「たつ、生徒たちはどうなります?あなたをあんなに慕っているのに。彼らの想いも価値がないと思っているんですか?……私たちの想いも?」
その問いに彼は大きく息を吐いて、俯いた。
「本当にごめん……はじめから……関わらければ……」
その言葉を聞いたボルエスタは信じられないと目を見開き、止めていた歩を進める。怒りもあった。
でもそれよりも、本当に居なくなりそうな彼を止めたかった。

「……過去に何があったかは知りません。皆が愛してるのは今のあなただ!分からないんですか!?」
怒りに任せてたつとらの手を掴むと、その手は直ぐに振り払われた。
まるで火に触れたかのように手を引っ込めたたつとらは、ボルエスタの方を振り向く。フードで隠れた表情は少し怯えて見え、ボルエスタは驚愕の表情で彼を見た。

「…あなたという人は…っ!」
ボルエスタはたつとらのフードの中に手を突っ込み、首筋に触れた。その熱は、通常よりかなり高い。フードの中の彼は、動揺し瞳を揺らがせていた。
(やっぱりか…!)
掴んだ手があまりにも熱を持っていた。疑念が確信に変わり、ボルエスタは眉根を寄せ責めるような目を向ける。
「ち、違う。これは、発作じゃないよ……」
「そういう……問題じゃない…っ!」

ボルエスタはたつとらの手を引っ張り、中庭を突っ切る。よたよたと付いてくる彼に肩を貸して、廊下を急いだ。
途中、身の回りを世話してくれる修道女に出くわす。
「ナナシ様?どうなさいました?」
慌てたように聞く修道女に、肩を貸されたままのたつとらが笑顔で返す。
「シャナ、おはよう。何でもないよ」
「シャナ、部屋に湯桶とタオルをお願いします」
ヘラっと笑うたつとらと、珍しく慌てるボルエスタを見送りながらシャナは湯桶を取りに走った。

部屋に着くと、ボルエスタはすぐさまストーブを付けた。
炎に照らされるボルエスタを見ながら、たつとらは上着を脱いで引っ掛ける。上着の裾からポタポタと雫が落ち、床を濡らした。
沈黙が流れる部屋に炎の音と、床を叩く水の音のみが響く。堪らずたつとらが口を開こうとすると、シャナが湯桶を持って来た。

ボルエスタが礼を言うと、シャナは「何かあればまた呼んでください」と帰って行く。
ボルエスタの表情から空気を読んだようだ。また2人きりになり、たつとらが小さく息を吐いた。

「ベッドへ、座ってください」
ベッドの側にストーブを近づけたボルエスタが、ベッドをポンポンと叩く。たつとらが腰掛けると「湯桶に足を」と促した。
すぐ側に湯桶がある事に気付き「あぁ」と言いながら、たつとらは足を浸す。冷えきっていた足が温かい湯に包まれ、たつとらはほっと息を吐いた。足の感覚が戻っていくのを感じていると、ボルエスタが湯に手を入れて、たつとらの足を洗い始めた。
「ボルちゃん、自分で出来る」
たつとらの言葉は無視したまま、ボルエスタは手を動かし、桶の水が泥で濁っていく。水音が響く中、ボルエスタは口を開いた。

「……僕は元来、世話焼きでは無いんです。医師として患者にも公私の分別ははっきり付けますし、執着もしないタイプです。……こうやって世話を焼くのは、あなたを大切な友人と思っているからですよ」
タオルを手渡されたたつとらは足を拭き、ボルエスタの顔を伺う。湯桶を持って立ち上がった彼は、薬品棚へと向かったようだった。
「熱が高いので、解熱剤を飲みましょう。他に症状は?吐き気や頭痛は?」
「大丈夫」と笑って答えると、たつとらは毛布に包まる。
寒気で震える手をぎゅっと握って、呼吸を整えた。渡された錠剤を水で流し込むと、ベッドに横になった。
ボルエスタがたつとらの頭元にスツールを引っ張ってきて座ると、たつとらはやっと視線を合わせた。視線を合わせたボルエスタがため息をついて俯くと、彼は申し訳なさそうに口を開く。

「ボルちゃん、見て」
たつとらは自身の前髪を上げると、穏やかに微笑んだ。
「前、ボルちゃんに縫ってもらった傷、もう無くなってるでしょ?…俺さ、治癒能力が異常に高いんだ。本当はボルちゃんだって分かってるはずだろ?」
視線を合わせたボルエスタに、たつとらは更に微笑んだ。
「……俺はね、怪我をしても放っておいたら治るし、発作が起きても、熱が出ても、その辺に転がせとけばそのうち自然と治るんだよ」
寒いのか毛布を首元まで引き上げて、たつとらは困ったように笑う。ボルエスタはため息をついて、視線を合わせた。
「……たつ、放っておけるわけが無いでしょう?僕たちがあなたを大切に思う気持ちは、放ったらかしですか?」
眉根を寄せるボルエスタを見て、たつとらは悲しそうに笑顔を作ると、辛そうに手を伸ばす。
「……そんな顔を見たくないから、俺は……」
ボルエスタがその手を掴む前に、ポトリとまるで重みが無いようにたつとらの手が落ちる。
薬が効いて眠り込んでしまったようだ。
その姿を見て、もう一度大きくボルエスタはため息をつく。
青白い顔をして眠っている友人の頬を撫でると、予想より高い熱が伝わってくる。ザワザワと胸が騒ぎ、不安が体中を駆け巡る。

(出会わなければ、なんて……)
出会わなければ良かったなんて、思うはずがない。でも彼がそれを信じない。
自分の存在が絶対悪であると、関わった人は全て不幸になると、そしてそうなった場合、全部自分のせいだと、彼は思っているのだろう。
「いったい何を背負っているのですか?……たつ」
一緒に背負いたいとボルエスタは思う。でもそれすらも彼は気に病んでしまうのだろう。
「ほんとに……どうすれば……」
少し癖のある自分の髪をクシャリと掴み、肺の中の空気を出し切った。



昼も過ぎた頃ルメリア、ミンユエ、タールマは修道院に着くと、雨衣を脱いで出口に掛けた。
今日は雨なので訓練は無いと踏んだ3人は陸たちを置いたまま修道院に来ている。
修道院に来るのは習慣になっており、ドグラムスもそうしてくれたら嬉しいと答えてくれた。陸たち元生徒は、ドグラムス軍の訓練も受けているので、彼女らが毎日修道院に行くのを恨めし気に見ているが、彼女らは気にもかけないようだ。
毎日訪問するたびに出てくるお菓子を体型のために断った彼女たちは、中庭へと向かうことにした。

明け方から降り続いている雨を横目に見ながら、屋根のある東屋で3人は並んで座った。
「今日は、たっちゃんから何か面白い話でも聞けるかな?」
「面白い話とは?」
タールマとルメリアが話す横で、ミンユエは持参してきた水筒をテーブルに出し、コップを複数取り出した。ミンユエが水筒のキャップを開けている間に、タールマがコップを次ぎやすい位置に並べ、ルメリアは話しながら紅茶のティーバックをそれぞれのコップへ入れていく。
「何って、変わった異形との戦い方とか、過去戦った面白い異形とか?」
「……それすごく面白そう」
でしょでしょ~といつものように笑いあう2人を見ながら、タールマも笑った。
水筒からお湯を注いでいると、湯気の向こうに人影が見える。タールマの視線に気づいたのか、ルメリアも視線の先を見つめ「ボルエスタさん?」と呟いた。

ボルエスタは普段から紳士的で、背筋を伸ばして歩き方も綺麗な人だが、今日の彼は見るからに憔悴し疲れているようだ。
普段なら遠慮なく声を掛ける3人も躊躇してしまうほど、彼の様子はおかしかった。ミンユエが立ち上がると、ボルエスタも気付いたようで東屋へと近づいてくる。

「おはよう…ございます」
そう呟くボルエスタをミンユエは椅子に座らせ、タールマとルメリアはもう一人分の紅茶を用意する。
「どしたどした?大丈夫?」とルメリアがコップを差し出しながら言うと、ボルエスタは眼鏡を外し目頭を押さえた。こうも憔悴する彼を見たことがない3人だったが、滅多に見られない眼鏡なしのボルエスタの顔を、不謹慎ながらまじまじと見ている。
その視線に気付かないまま、ボルエスタは今朝の出来事を3人に話した。


解熱剤を飲んだにも関わらず、たつとらの熱は下がらない。他に症状が無いため比較的元気にしていたたつとらも、40度近く熱が出るとさすがに意識は朦朧としている。
(もしかして、心因性発熱か?)
その疑念が生まれると、ボルエスタは頭を抱えた。心因性発熱に解熱剤は効かない。
(そうなると、私の発言は……)
ボルエスタは頭を抱え、フラッと中庭へ立ち寄ると3人が見えたのだ。

「待て。その話だと君に会う前にたつは熱を出している」
タールマが諭すように言い、ルメリアも口を開く。
「そうだよ、自分を責めないで。たっちゃんが熱なのはボルエスタさんのせいじゃない。そんな風に思ってしまうと、またたっちゃんが気にしちゃうよ」
ミンユエが頷き「紅茶飲んで」と進める。ボルエスタは礼を言い、口をつけた。
少し落ち着くと、ボルエスタは口を開く。

「心因性発熱はストレスが続いたり、なにか大きなストレスがかかった時に発熱します。……過去に彼が受けた心の傷を、抉るようなことがあったのかもしれません」
「ナナシ様になる以前の事よね?」
ルメリアの問いに「多分」と答え、ボルエスタは頭を抱えた。
「……彼は自分のことを”世界で一番罪深い”と言っていました。死んでも許されないと……」
「あんな柴犬の子犬みたいなやつが、そんな悪いやつのはずがないだろう!」
タールマがテーブルを叩き、堪らずルメリアが吹き出す。
「柴犬の子犬……例えが秀逸…!」
腹を抱えて笑うルメリアに、真っ赤な顔をしてタールマが「笑うところか!」と焦っている。

ミンユエが微笑みながら「まあまあ」とタールマを宥めていると、ボルエスタも微笑んだ。
「聞いてもらえて、ホッとしました。ありがとう」
外していた眼鏡をゆっくり掛け直すボルエスタに、ルメリアは話しかける。
「ひたすら甘やかして、愛を伝える作戦じゃ駄目なのかしら?」
「それはナナシ様時代に失敗しているんじゃないか?彼は姿を消した」
タールマが代わりに答えると「なるほど」とルメリアは頷き、今度はミンユエが話す。それぞれの意見をすり合わせる様に話は続いた。

ボルエスタが最後の紅茶を飲み干し、口を開く。
「彼の過去や全てを受け入れた上なら、甘やかしても文句はないでしょう。ただ、それだと彼の心の傷を露出させることになる。最善の策がどれなのか、僕にも分かりません」
溜息をついたボルエスタにタールマは「抱え込むな」と言い、2人も頷きあう。
「皆で解決しましょう。ボルエスタさんは少し休んでください。たっちゃんは交代で見守りましょう」
いつの間にか雨は止み、厚い雲から強い光があちこち差し込んでいる。4人は目を細めながら、太陽を見た。

まさかこの後、あんな事態になるなんて誰が想像しただろう。








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