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後半戦
心の蓋 4
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浅井の手が喉へ食い込み、聡一朗は唸り声を上げた。それが余程嬉しいのか、浅井は何度も舌なめずりをしつつ下賤な笑みを貼りつける。
「お前の苦しむ顔、結構そそるなぁ。俺があんたを犯せないとでも思ってんのか」
聡一朗の上衣の合わせに手を掛けると、浅井は乱雑にそれを引き剥がした。露わになった聡一朗の首筋に舌を這わせる。
「っ……!!」
「なぁ、泣いて懇願しろよ?助けてぇって。獄主様~たすけて~ってな」
浅井に触られる度に、腹の奥底から嫌悪感がぞわぞわと這い上がる。吐き気が襲い、喉が鳴った。
「獄主は来ねぇよ。天国に出向中なんだってよ。まぁ、こんなおっさんなんて、誰も助けに来ねぇけどな」
「……天国?ああ、そうか……」
聡一朗が呟き、強張っていた身体を弛緩させた。浅井は聡一朗が諦めたのだと思いクツクツと笑い始める。
次の瞬間、浅井は首元に感じる違和感に視線を落とした。
違和感を感じる首筋に、細い注射器が刺さっているのが見える。その注射器を持っているのは、拘束されている筈の聡一朗だった。
「え……」
未だ状況を飲み込めていない浅井の身体を、聡一朗が反転させて腕を捻り上げる。更にその腕に膝を乗せて、がっちりと拘束した。
完全に身体を動かせなくなった浅井は、短い呼吸を繰り返しながら視線を泳がせている。
「な、んで……?」
「何で?何から聞きたい?注射の中身か?」
聡一朗は自分を拘束していた縄で、てきぱきと浅井を縛り上げる。サンガクは離れたところで目を白黒させながら、事の成り行きを見守っていた。
浅井を完全に拘束すると、聡一朗は大きく溜息を吐きながら力なく座り込んだ。息を整え、聡一朗は呆れたように浅井を見つめる。
「鬼が使う薬箱にはな、鎮静剤が入った注射器が入ってんの。候補者が暴れて手がつけられなかったら使うらしい。……まぁ良く今まで使われなかったもんだよ。あんたの世話役の鬼のを盗った。すまんな」
聡一朗は浅井の身体を押し、ゴロリと反転させた。仰向けになった浅井の目は焦点が定まらず、聡一朗の事も捉えていない。
「あと、縄抜けは得意なんだ。小さいころから良く縛られてたもんでね。以上。聞こえてる?もう聞こえてないな。おやすみ」
一気に言うと、聡一朗はまた息を吐く。痛みを逃すように細く吐き出すが、あまり効果はなさそうだ。
「そ、聡一朗様……」
サンガクの声はひどく怯えていた。
浅井は鎮静剤で眠らされたが、起きたらどんな目に合わせられるか分からない。同時に、聡一朗も傷だらけだ。これで怯えない者はいないだろう。
「サンガク……鬼の外套を貸してくれ、寒い。浅井のは止めてくれよ?」
「は、はい!」
サンガクが走り去っていくのを見送って、聡一朗は乱れた服を直した。角が刺さった傷は幸いにも浅い。落ちていたガーゼを押し当てて、血糊を拭った。
「獄主様、助けて~か……言える訳ねぇだろアホ。これ以上与えられると、ますます返せなくなる……くっそ、いてぇ……」
散々愚痴っていたら、サンガクが外套を手に戻ってきた。
聡一朗は立ち上がって、それを受け取る。ふらつく身体を支えられながら、外套を身に着けた。前紐を縛りながら、サンガクを見据える。
「いいか、サンガク。俺の言う事を覚えろ。三居近くを散歩していた俺と、浅井がトラブルを起こした。候補者同士殴り合って、最後は俺が隠し持ってた鎮静剤で浅井が昏倒した。これを日の出とともに、コウトさんに報告しろ。報告したら、浅井が目覚めるより先に、十居に来い。三居の鬼全員だ。言っている意味は分かるな?」
サンガクが僅かに震えながら、聡一朗を見据える。「出来ない」と小さく呟くサンガクの角に残る血痕を、聡一朗は拭った。
「大丈夫。絶対サンガクや三居の鬼たちに累が及ばないようにする。俺を信じろ。いいな?」
「……はい……聡一朗様」
「よし。申し訳ないけど、桃鹿水もう少し飲んでいいか?浅井の奴、咎津やばいな」
「よく我慢してるよ」と言いながら、サンガクから竹筒を受け取り全部喉に流し込んだ。
それを見て、サンガクが眉を下げて笑う。今度こそ見せた安堵の笑みに、聡一朗もホッと息を付いた。
________
聡一朗がいなくなったと分かったのは夕餉の後だった。
体温を測りに来た侍女が気付いて、居の中を探し回った後にテキロの耳にも届いた。
いなくなってどれだけ時が経っていたのか、誰にも分からなかった。
(どこに行っちゃったんだ、聡一朗……)
聡一朗の外履きは居に置いたままだった。
獄主の侍女たちは、聡一朗が攫われたのだと狼狽える。だが、聡一朗は誰彼構わず外履きを履いて出かけるため、テキロにも判断が難しかった。
しかし散歩にしては長すぎる。夜も更けた頃にコウトに報告すると、烈火の如く怒ったコウトが十居へ訪れた。
すぐさま捜索が開始され、作業場や執務室、咎人の作業場まで捜索の手が伸びる。
皆が捜索に出る中、テキロは留守番として居に留まっていた。
居てもたってもいられないが、外套を引っ掛けて門前でウロウロとするしかない。
作業場にも居なかったと報告を受け、テキロはその場に蹲る。
コウトに聡一朗が今朝動けなかった理由を聞いて、合点がいった。
聡一朗は抱き潰された自分を見られるのが恥ずかしかったに違いない。テキロを突き放したつもりでは無かったのだ。
それなのにテキロは拗ねて、世話役として側にいなかった。後悔せずにはいられない。
じゃり、と地面を踏みしめる音が響き、テキロの視界に鬼の外套が見えた。
世話役の長が着る丁子茶色の外套だ。どこの居の世話役だ、とテキロが顔を上げようとした瞬間だった。
「テキロ、寒いだろ。中に入れ」
「は?」
聡一朗だった。
鬼の外套をフードまでかぶり、逆光で顔は見えない。しかし声は確実に聡一朗だった。
「聡一朗?」
「ああ。テキロ、すまないが歩きながら説明する……」
そう言いながら、聡一朗はふらりと十居の門をくぐった。テキロは慌てて立ち上がり、その背を追う。
テキロは聡一朗の姿を上から下まで確認する。背格好も歩き方も間違いなく聡一朗だ。
「テキロ、もうコウトさんは承知か?」
「知ってる。みんな、今も聡一朗を探してる!」
「……すまん」
すまんじゃ済まされない。
安堵したと共に怒りも湧いて来て、テキロは歩く聡一朗を掴もうとした。
しかし、その足元に気付いて足を止める。裸足だ。
「散歩をしていたら、三居の候補者と喧嘩になった。遅くなって、本当にごめん」
「そ、聡一朗……」
聡一朗は歩みを止めない。言葉も止めようとしない。急いているような様子に、嫌な予感がテキロの頭を過ぎった。
「三居の候補者を薬で昏倒させた。後でコウトさんに確認してもらってくれ。あと、三居の鬼たちが夜明けと共にここへ来る。迎えて、保護してやって欲しい」
「く、薬?……聡一朗……?」
(内容が処理できない。薬?なんで?)
候補者同志の諍いは、どう処理されるんだったか。以前聡一朗に手を上げた八居の候補者がどうなったかはテキロの記憶に新しい。
絶望のままテキロは立ち止まって、聡一朗の背を眺めた。
「っ!聡一朗……!」
突然テキロの後ろから、怒涛の勢いで人影が躍り出た。
銀の髪、獄主だ。
テキロがそう認識した瞬間にはもう、獄主は聡一朗の腕を掴んでいた。
獄主は腕を掴んで、強制的に聡一朗の身体を反転させる。突然の獄主の登場に、聡一朗の目は見開かれていた。
「……聡一朗、お前……」
「……」
聡一朗の顔に浮かぶのは、幾つもの打撲痕だ。特に骨が出ている部分は皮膚が裂け、血が滲んでいる。
「……何があった?」
「……三居の候補者と……喧嘩したんだ」
「喧嘩だと?」
獄主は掴んでいた聡一朗の腕を引っ張る。外套から出てきた聡一朗の手首には、くっきりと縄の跡が付いていた。
「これは何だ?」
「……エン、俺の話を……」
「この外套は何だ!他の者の服を身に着けるな!!」
獄主が怒りに任せて外套を剥ぎ取ると、着流し一枚の聡一朗が露わになる。
着流しから出ている部分には、いくつもの打撲痕があった。肩口には血も付いている。
喧嘩ではとても片付けられない。
獄主が聡一朗の首筋に手を伸ばす。震える指が、聡一朗の首筋の鬱血痕をなぞった。
その瞬間、聡一朗がビクリと身体を跳ねさせ、首筋を押さえて後ずさる。
「……未遂だ」
「未遂だと?」
テキロから見ても、獄主の怒りは相当なものだった。切り裂くような圧を放ちながら、聡一朗を横抱きにする。怒りとは裏腹に、その動作は限りなく優しかった。
十居に向かって歩き出した獄主の後を、テキロは必死で追いかけた。
「お前の苦しむ顔、結構そそるなぁ。俺があんたを犯せないとでも思ってんのか」
聡一朗の上衣の合わせに手を掛けると、浅井は乱雑にそれを引き剥がした。露わになった聡一朗の首筋に舌を這わせる。
「っ……!!」
「なぁ、泣いて懇願しろよ?助けてぇって。獄主様~たすけて~ってな」
浅井に触られる度に、腹の奥底から嫌悪感がぞわぞわと這い上がる。吐き気が襲い、喉が鳴った。
「獄主は来ねぇよ。天国に出向中なんだってよ。まぁ、こんなおっさんなんて、誰も助けに来ねぇけどな」
「……天国?ああ、そうか……」
聡一朗が呟き、強張っていた身体を弛緩させた。浅井は聡一朗が諦めたのだと思いクツクツと笑い始める。
次の瞬間、浅井は首元に感じる違和感に視線を落とした。
違和感を感じる首筋に、細い注射器が刺さっているのが見える。その注射器を持っているのは、拘束されている筈の聡一朗だった。
「え……」
未だ状況を飲み込めていない浅井の身体を、聡一朗が反転させて腕を捻り上げる。更にその腕に膝を乗せて、がっちりと拘束した。
完全に身体を動かせなくなった浅井は、短い呼吸を繰り返しながら視線を泳がせている。
「な、んで……?」
「何で?何から聞きたい?注射の中身か?」
聡一朗は自分を拘束していた縄で、てきぱきと浅井を縛り上げる。サンガクは離れたところで目を白黒させながら、事の成り行きを見守っていた。
浅井を完全に拘束すると、聡一朗は大きく溜息を吐きながら力なく座り込んだ。息を整え、聡一朗は呆れたように浅井を見つめる。
「鬼が使う薬箱にはな、鎮静剤が入った注射器が入ってんの。候補者が暴れて手がつけられなかったら使うらしい。……まぁ良く今まで使われなかったもんだよ。あんたの世話役の鬼のを盗った。すまんな」
聡一朗は浅井の身体を押し、ゴロリと反転させた。仰向けになった浅井の目は焦点が定まらず、聡一朗の事も捉えていない。
「あと、縄抜けは得意なんだ。小さいころから良く縛られてたもんでね。以上。聞こえてる?もう聞こえてないな。おやすみ」
一気に言うと、聡一朗はまた息を吐く。痛みを逃すように細く吐き出すが、あまり効果はなさそうだ。
「そ、聡一朗様……」
サンガクの声はひどく怯えていた。
浅井は鎮静剤で眠らされたが、起きたらどんな目に合わせられるか分からない。同時に、聡一朗も傷だらけだ。これで怯えない者はいないだろう。
「サンガク……鬼の外套を貸してくれ、寒い。浅井のは止めてくれよ?」
「は、はい!」
サンガクが走り去っていくのを見送って、聡一朗は乱れた服を直した。角が刺さった傷は幸いにも浅い。落ちていたガーゼを押し当てて、血糊を拭った。
「獄主様、助けて~か……言える訳ねぇだろアホ。これ以上与えられると、ますます返せなくなる……くっそ、いてぇ……」
散々愚痴っていたら、サンガクが外套を手に戻ってきた。
聡一朗は立ち上がって、それを受け取る。ふらつく身体を支えられながら、外套を身に着けた。前紐を縛りながら、サンガクを見据える。
「いいか、サンガク。俺の言う事を覚えろ。三居近くを散歩していた俺と、浅井がトラブルを起こした。候補者同士殴り合って、最後は俺が隠し持ってた鎮静剤で浅井が昏倒した。これを日の出とともに、コウトさんに報告しろ。報告したら、浅井が目覚めるより先に、十居に来い。三居の鬼全員だ。言っている意味は分かるな?」
サンガクが僅かに震えながら、聡一朗を見据える。「出来ない」と小さく呟くサンガクの角に残る血痕を、聡一朗は拭った。
「大丈夫。絶対サンガクや三居の鬼たちに累が及ばないようにする。俺を信じろ。いいな?」
「……はい……聡一朗様」
「よし。申し訳ないけど、桃鹿水もう少し飲んでいいか?浅井の奴、咎津やばいな」
「よく我慢してるよ」と言いながら、サンガクから竹筒を受け取り全部喉に流し込んだ。
それを見て、サンガクが眉を下げて笑う。今度こそ見せた安堵の笑みに、聡一朗もホッと息を付いた。
________
聡一朗がいなくなったと分かったのは夕餉の後だった。
体温を測りに来た侍女が気付いて、居の中を探し回った後にテキロの耳にも届いた。
いなくなってどれだけ時が経っていたのか、誰にも分からなかった。
(どこに行っちゃったんだ、聡一朗……)
聡一朗の外履きは居に置いたままだった。
獄主の侍女たちは、聡一朗が攫われたのだと狼狽える。だが、聡一朗は誰彼構わず外履きを履いて出かけるため、テキロにも判断が難しかった。
しかし散歩にしては長すぎる。夜も更けた頃にコウトに報告すると、烈火の如く怒ったコウトが十居へ訪れた。
すぐさま捜索が開始され、作業場や執務室、咎人の作業場まで捜索の手が伸びる。
皆が捜索に出る中、テキロは留守番として居に留まっていた。
居てもたってもいられないが、外套を引っ掛けて門前でウロウロとするしかない。
作業場にも居なかったと報告を受け、テキロはその場に蹲る。
コウトに聡一朗が今朝動けなかった理由を聞いて、合点がいった。
聡一朗は抱き潰された自分を見られるのが恥ずかしかったに違いない。テキロを突き放したつもりでは無かったのだ。
それなのにテキロは拗ねて、世話役として側にいなかった。後悔せずにはいられない。
じゃり、と地面を踏みしめる音が響き、テキロの視界に鬼の外套が見えた。
世話役の長が着る丁子茶色の外套だ。どこの居の世話役だ、とテキロが顔を上げようとした瞬間だった。
「テキロ、寒いだろ。中に入れ」
「は?」
聡一朗だった。
鬼の外套をフードまでかぶり、逆光で顔は見えない。しかし声は確実に聡一朗だった。
「聡一朗?」
「ああ。テキロ、すまないが歩きながら説明する……」
そう言いながら、聡一朗はふらりと十居の門をくぐった。テキロは慌てて立ち上がり、その背を追う。
テキロは聡一朗の姿を上から下まで確認する。背格好も歩き方も間違いなく聡一朗だ。
「テキロ、もうコウトさんは承知か?」
「知ってる。みんな、今も聡一朗を探してる!」
「……すまん」
すまんじゃ済まされない。
安堵したと共に怒りも湧いて来て、テキロは歩く聡一朗を掴もうとした。
しかし、その足元に気付いて足を止める。裸足だ。
「散歩をしていたら、三居の候補者と喧嘩になった。遅くなって、本当にごめん」
「そ、聡一朗……」
聡一朗は歩みを止めない。言葉も止めようとしない。急いているような様子に、嫌な予感がテキロの頭を過ぎった。
「三居の候補者を薬で昏倒させた。後でコウトさんに確認してもらってくれ。あと、三居の鬼たちが夜明けと共にここへ来る。迎えて、保護してやって欲しい」
「く、薬?……聡一朗……?」
(内容が処理できない。薬?なんで?)
候補者同志の諍いは、どう処理されるんだったか。以前聡一朗に手を上げた八居の候補者がどうなったかはテキロの記憶に新しい。
絶望のままテキロは立ち止まって、聡一朗の背を眺めた。
「っ!聡一朗……!」
突然テキロの後ろから、怒涛の勢いで人影が躍り出た。
銀の髪、獄主だ。
テキロがそう認識した瞬間にはもう、獄主は聡一朗の腕を掴んでいた。
獄主は腕を掴んで、強制的に聡一朗の身体を反転させる。突然の獄主の登場に、聡一朗の目は見開かれていた。
「……聡一朗、お前……」
「……」
聡一朗の顔に浮かぶのは、幾つもの打撲痕だ。特に骨が出ている部分は皮膚が裂け、血が滲んでいる。
「……何があった?」
「……三居の候補者と……喧嘩したんだ」
「喧嘩だと?」
獄主は掴んでいた聡一朗の腕を引っ張る。外套から出てきた聡一朗の手首には、くっきりと縄の跡が付いていた。
「これは何だ?」
「……エン、俺の話を……」
「この外套は何だ!他の者の服を身に着けるな!!」
獄主が怒りに任せて外套を剥ぎ取ると、着流し一枚の聡一朗が露わになる。
着流しから出ている部分には、いくつもの打撲痕があった。肩口には血も付いている。
喧嘩ではとても片付けられない。
獄主が聡一朗の首筋に手を伸ばす。震える指が、聡一朗の首筋の鬱血痕をなぞった。
その瞬間、聡一朗がビクリと身体を跳ねさせ、首筋を押さえて後ずさる。
「……未遂だ」
「未遂だと?」
テキロから見ても、獄主の怒りは相当なものだった。切り裂くような圧を放ちながら、聡一朗を横抱きにする。怒りとは裏腹に、その動作は限りなく優しかった。
十居に向かって歩き出した獄主の後を、テキロは必死で追いかけた。
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