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前半戦
29.獄主、エンタメから学ぶ
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地獄の花々は、寒さに負けない。
雪が降り積もっても色とりどり咲く様は美しく、強さを感じる。
成長も早く、早急に咲いて、すぐ散る。そして新たな花をつける。生き急いでいる様が、自分と似ていると聡一朗は思った。
(でも俺は、新たな花はつけない)
ほうっと息を吐くと、白い湯気がふわりと立ち昇る。冬の到来だ。
「聡一朗、どこ?」
テキロが居の中から呼んでいる。縁側に立つ聡一朗から、テキロの位置は把握できない。
「縁側だ」
中に向かって声を掛けると、テキロの舌打ちが聞こえる。
「ったく、聡一朗は縁側が好きだな。寒いだろ?」
「ああ、寒いな」
ガラリと畳に続く障子を開けて、テキロが顔を出した。テキロの息も白い。
冬用の鬼たちの服はモコモコしていて、可愛らしい。やたらと綿が付いているので、鬼は案外寒がりなのかもしれない。
テキロはその手に、薬箱を携えていた。
「う~寒い。聡一朗、包帯を替えよう」
聡一朗は手首を見た。もう大分腫れは引いたのだが、テキロはこまめに包帯を替えに来る。
聡一朗としては、あまり触れられたくない怪我だ。
「もう替えなくても良いんじゃないか?痛みも良くなったし」
「何言ってんの。箸持つたびにしかめっ面するくせに。ほら、まずはそこからだ」
テキロが聡一朗の首筋に目を遣る。獄主が噛んだ所だ。思いのほか深かったらしく、今だにズキズキと痛む。
テキロが薬箱を開けながら、嘆息した。
「無事に十居へ戻れたのは良いけど、連れ去られた時は胆を冷やしたよ。あんた何したんだ?」
「……まぁ、俺のうっかりで怒らせたんだよ」
「うっかりで、こんな事になるのかよ」
「地獄の王様だからなぁ」と聡一朗がヘラリ笑うと、テキロの三白眼がギロリと聡一朗を見据えた。
テキロは不貞腐れた態度のまま、聡一朗の首筋に大きな絆創膏を貼る。
「獄主様は、絶対だ。俺が頭を垂れ服従するのも獄主様だ。だけど、聡一朗が傷つくのは嫌だ」
「あらま。俺は平気だよ」
聡一朗の返しに、テキロは鼻梁に皺を寄せながら包帯を取り出す。不貞腐れた態度のテキロに、聡一朗は眉を下げて宥めるように微笑んだ。
「あいつも色々大変なんだよ。今後は傷付けないように気を付ける」
「誰をだよ?」
「獄主をだろ?」
「傷つけられているのは、お前だろ!?」
憤りながら包帯を解くテキロが、上司に愚痴を零す部下に見える。どうやらテキロは、獄主から酷いことをされていると思っているようだ。
聡一朗がテキロの頭をガシガシと撫でると「なんだよ」と言いながら三白眼が細められた。
「テキロ、お前んとこのボスは優しい男だよ。心配すんな」
「………何でだよ?」
聡一朗はテキロに「あのなぁ」と言い、胡坐に肘を突いた。
出来れば言いたくない事ではあるが、仕方あるまい。
「俺さぁ、まだ最後までしてないんだぞ?獄主はあんだけ怒ってたのに、俺が拒むもんだから、引いてくれたんだ。獄主と候補者という立場上、引く必要なんてないのにな。まぁ実際、俺の魅力が足りなかったかもしれんが」
確か最中に「色気がないな」と言われた気がする。
そもそも34歳一般男性に色気などある筈がないのだ。随分無茶を言うものだ、と聡一朗は短くため息をついた。
テキロは黙って包帯を巻いてくれている。
俯いているためつむじしか見えないが、微かに耳が赤い。やっぱりこの手の話はまずかったかと思ったが、もう後に引けない。
「とにかくだ。俺が本気で嫌がった事は、獄主はしなかった。地獄の王様だぞ?優しすぎるくらいだ。だから獄主は酷い奴じゃない」
ずっと押し黙っていたテキロがふすりと笑い、聡一朗も胸を撫で下ろした。
包帯は巻き終わり、薬箱に物を戻しながらテキロがまた鼻で笑う。
「そもそも獄主様を拒む人間なんて、聡一朗ぐらいだ」
「馬鹿!テキロ。お前、獄主のちんこのデカさ見たことねぇだろ?あれを目の当たりにして怯まない人間なんていねぇよ……もしかして、鬼ってのはみんな規格外にデカいのか?」
言いながら、聡一朗は固まった。
もしやテキロも、巨大兵器を隠し持っているかもしれない。
聡一朗が目を見開いて仰け反っているのを見て、テキロが訝し気に睨み付ける。視線が股間に向いているのに気付き、黒目がキュッと狭まった。
「ばっ……!鬼は人間と同じくらいだよ!股間を見るな!」
「うそこけ!黒目が無くなってんぞ!」
慌てるテキロを目の前にして、聡一朗はおもむろに腕を天井へと伸ばした。
聡一朗は恐怖に歪んだ顔をテキロに向けながら、自らの肘から手首までをすうっと撫でる。
「獄主のアレな……こっから、こんくらいまでぐらいあった」
「……っ!流石に盛りすぎだろ!」
神妙にこくりと頷く聡一朗に、テキロは「まじかよ」と言いながら慄く。
その遣り取りを白い目で見ている人物がいた。ソイだ。
「縁側で、ちんこの話はやめてよ」
「……そ、ソイ?軽々しくちんこって言うな。テキロの黒目が……」
「失礼な!まだある!」
声を荒げるテキロを他所に、ソイはにっこりと無邪気に聡一朗に笑いかける。
「今まで、獄主のち……アレが規格外って聞いたことないですよ?それに今回の候補者の中で獄主と繋がってないのは聡一朗様だけでしょう?他の居の人が、デカすぎて大変だったなんて聞いていないもん」
「……な、なるほど……」
確かに候補者は皆元気そうだ。候補者がトウゴのお世話になったという話も聞いていない。
聡一朗が唸っていると、無垢な顔に微かな色を乗せて、ソイが微笑む。
「穏やかに身を委ねていれば、恐くないですよ。聡一朗様」
経験者のような彼女の物言いに、今度こそテキロの黒目が喪失した。
________
獄主が頁を捲る音が響く。
執務室のデスクに座り、髪はいつものように結っている。
いつもの光景に違和感があるのは、獄主が手にしているのが書類ではないからだ。
漫画本である。
フウトとライトが聡一朗に貸した漫画は、意外と直ぐに返ってきた。聡一朗は読むのが早いらしく「すごく良かった」と言い、続巻を希望すると帰って行った。
それを今、獄主が読んでいる。内容は、恋愛を織り交ぜたスポーツ漫画だ。
ライトがフウトに耳打ちをする。
『いま、どのあたりだ?』
『主人公がヒロインに突然キスして、ビンタされるあたりだ』
完璧にストーリーを把握しているフウトが、即座に答える。
フウトとライトは先ほどからこうして、気配を消しながら獄主の様子を窺っていた。
ページを捲る手が突然止まり、獄主の瞳が見開かれる。同じページを何回も見返しながら、獄主は「なぜだ」と小さく呟いた。
(なぜだ。漫画の中の女は、確かにこの男が好きなはずだ。なぜ口付けを拒否する?)
意中の相手に口付けされるのは、嬉しいことではないのか。女性の言動が理解不能だ。
人間とはこんなに不可解な生き物だったか?
聡一朗も、不快だったのか?そもそも自分が好かれているのかも分からない。
そう考えると、冷たい塊が腹の底に落ちるような感覚になる。
一方のフウトとライトは表情を目まぐるしく変える獄主を、胸熱な想いで見守っていた。
その2人を非難するような瞳で見るコウトの事は、完全に無視だ。
その漫画は、主人公がプロになってプロポーズし、結婚式を挙げたところで終わる。
人間の情ならではのすれ違いや、初めてのエッチなども描かれていて、獄主の眉間には深いしわが刻まれたままだった。
読み終えると、獄主は片手で頭を支えて、深い溜息をついた。
「……なるほど、人間と言うのは、こんな風に手順を踏むわけだな」
思えば地獄の王族は、この手順をすっ飛ばして結婚しているのだ。古からの理に従っているだけだったが、聡一朗にも今まで通りで良いのだろうか。
「獄主様、九居の候補者が移動を完了しました」
コウトの声が届き、獄主は顔を上げた。
「ああ、ようやくか」
獄主はそう呟くと、ふっと頬を緩ませた。楽しみで仕方がないといった顔を浮かべ、デスクから立ち上がる。
「計画通り、開始せよ」
明日から始まる大規模改修に向け、地獄が動き始めた。
雪が降り積もっても色とりどり咲く様は美しく、強さを感じる。
成長も早く、早急に咲いて、すぐ散る。そして新たな花をつける。生き急いでいる様が、自分と似ていると聡一朗は思った。
(でも俺は、新たな花はつけない)
ほうっと息を吐くと、白い湯気がふわりと立ち昇る。冬の到来だ。
「聡一朗、どこ?」
テキロが居の中から呼んでいる。縁側に立つ聡一朗から、テキロの位置は把握できない。
「縁側だ」
中に向かって声を掛けると、テキロの舌打ちが聞こえる。
「ったく、聡一朗は縁側が好きだな。寒いだろ?」
「ああ、寒いな」
ガラリと畳に続く障子を開けて、テキロが顔を出した。テキロの息も白い。
冬用の鬼たちの服はモコモコしていて、可愛らしい。やたらと綿が付いているので、鬼は案外寒がりなのかもしれない。
テキロはその手に、薬箱を携えていた。
「う~寒い。聡一朗、包帯を替えよう」
聡一朗は手首を見た。もう大分腫れは引いたのだが、テキロはこまめに包帯を替えに来る。
聡一朗としては、あまり触れられたくない怪我だ。
「もう替えなくても良いんじゃないか?痛みも良くなったし」
「何言ってんの。箸持つたびにしかめっ面するくせに。ほら、まずはそこからだ」
テキロが聡一朗の首筋に目を遣る。獄主が噛んだ所だ。思いのほか深かったらしく、今だにズキズキと痛む。
テキロが薬箱を開けながら、嘆息した。
「無事に十居へ戻れたのは良いけど、連れ去られた時は胆を冷やしたよ。あんた何したんだ?」
「……まぁ、俺のうっかりで怒らせたんだよ」
「うっかりで、こんな事になるのかよ」
「地獄の王様だからなぁ」と聡一朗がヘラリ笑うと、テキロの三白眼がギロリと聡一朗を見据えた。
テキロは不貞腐れた態度のまま、聡一朗の首筋に大きな絆創膏を貼る。
「獄主様は、絶対だ。俺が頭を垂れ服従するのも獄主様だ。だけど、聡一朗が傷つくのは嫌だ」
「あらま。俺は平気だよ」
聡一朗の返しに、テキロは鼻梁に皺を寄せながら包帯を取り出す。不貞腐れた態度のテキロに、聡一朗は眉を下げて宥めるように微笑んだ。
「あいつも色々大変なんだよ。今後は傷付けないように気を付ける」
「誰をだよ?」
「獄主をだろ?」
「傷つけられているのは、お前だろ!?」
憤りながら包帯を解くテキロが、上司に愚痴を零す部下に見える。どうやらテキロは、獄主から酷いことをされていると思っているようだ。
聡一朗がテキロの頭をガシガシと撫でると「なんだよ」と言いながら三白眼が細められた。
「テキロ、お前んとこのボスは優しい男だよ。心配すんな」
「………何でだよ?」
聡一朗はテキロに「あのなぁ」と言い、胡坐に肘を突いた。
出来れば言いたくない事ではあるが、仕方あるまい。
「俺さぁ、まだ最後までしてないんだぞ?獄主はあんだけ怒ってたのに、俺が拒むもんだから、引いてくれたんだ。獄主と候補者という立場上、引く必要なんてないのにな。まぁ実際、俺の魅力が足りなかったかもしれんが」
確か最中に「色気がないな」と言われた気がする。
そもそも34歳一般男性に色気などある筈がないのだ。随分無茶を言うものだ、と聡一朗は短くため息をついた。
テキロは黙って包帯を巻いてくれている。
俯いているためつむじしか見えないが、微かに耳が赤い。やっぱりこの手の話はまずかったかと思ったが、もう後に引けない。
「とにかくだ。俺が本気で嫌がった事は、獄主はしなかった。地獄の王様だぞ?優しすぎるくらいだ。だから獄主は酷い奴じゃない」
ずっと押し黙っていたテキロがふすりと笑い、聡一朗も胸を撫で下ろした。
包帯は巻き終わり、薬箱に物を戻しながらテキロがまた鼻で笑う。
「そもそも獄主様を拒む人間なんて、聡一朗ぐらいだ」
「馬鹿!テキロ。お前、獄主のちんこのデカさ見たことねぇだろ?あれを目の当たりにして怯まない人間なんていねぇよ……もしかして、鬼ってのはみんな規格外にデカいのか?」
言いながら、聡一朗は固まった。
もしやテキロも、巨大兵器を隠し持っているかもしれない。
聡一朗が目を見開いて仰け反っているのを見て、テキロが訝し気に睨み付ける。視線が股間に向いているのに気付き、黒目がキュッと狭まった。
「ばっ……!鬼は人間と同じくらいだよ!股間を見るな!」
「うそこけ!黒目が無くなってんぞ!」
慌てるテキロを目の前にして、聡一朗はおもむろに腕を天井へと伸ばした。
聡一朗は恐怖に歪んだ顔をテキロに向けながら、自らの肘から手首までをすうっと撫でる。
「獄主のアレな……こっから、こんくらいまでぐらいあった」
「……っ!流石に盛りすぎだろ!」
神妙にこくりと頷く聡一朗に、テキロは「まじかよ」と言いながら慄く。
その遣り取りを白い目で見ている人物がいた。ソイだ。
「縁側で、ちんこの話はやめてよ」
「……そ、ソイ?軽々しくちんこって言うな。テキロの黒目が……」
「失礼な!まだある!」
声を荒げるテキロを他所に、ソイはにっこりと無邪気に聡一朗に笑いかける。
「今まで、獄主のち……アレが規格外って聞いたことないですよ?それに今回の候補者の中で獄主と繋がってないのは聡一朗様だけでしょう?他の居の人が、デカすぎて大変だったなんて聞いていないもん」
「……な、なるほど……」
確かに候補者は皆元気そうだ。候補者がトウゴのお世話になったという話も聞いていない。
聡一朗が唸っていると、無垢な顔に微かな色を乗せて、ソイが微笑む。
「穏やかに身を委ねていれば、恐くないですよ。聡一朗様」
経験者のような彼女の物言いに、今度こそテキロの黒目が喪失した。
________
獄主が頁を捲る音が響く。
執務室のデスクに座り、髪はいつものように結っている。
いつもの光景に違和感があるのは、獄主が手にしているのが書類ではないからだ。
漫画本である。
フウトとライトが聡一朗に貸した漫画は、意外と直ぐに返ってきた。聡一朗は読むのが早いらしく「すごく良かった」と言い、続巻を希望すると帰って行った。
それを今、獄主が読んでいる。内容は、恋愛を織り交ぜたスポーツ漫画だ。
ライトがフウトに耳打ちをする。
『いま、どのあたりだ?』
『主人公がヒロインに突然キスして、ビンタされるあたりだ』
完璧にストーリーを把握しているフウトが、即座に答える。
フウトとライトは先ほどからこうして、気配を消しながら獄主の様子を窺っていた。
ページを捲る手が突然止まり、獄主の瞳が見開かれる。同じページを何回も見返しながら、獄主は「なぜだ」と小さく呟いた。
(なぜだ。漫画の中の女は、確かにこの男が好きなはずだ。なぜ口付けを拒否する?)
意中の相手に口付けされるのは、嬉しいことではないのか。女性の言動が理解不能だ。
人間とはこんなに不可解な生き物だったか?
聡一朗も、不快だったのか?そもそも自分が好かれているのかも分からない。
そう考えると、冷たい塊が腹の底に落ちるような感覚になる。
一方のフウトとライトは表情を目まぐるしく変える獄主を、胸熱な想いで見守っていた。
その2人を非難するような瞳で見るコウトの事は、完全に無視だ。
その漫画は、主人公がプロになってプロポーズし、結婚式を挙げたところで終わる。
人間の情ならではのすれ違いや、初めてのエッチなども描かれていて、獄主の眉間には深いしわが刻まれたままだった。
読み終えると、獄主は片手で頭を支えて、深い溜息をついた。
「……なるほど、人間と言うのは、こんな風に手順を踏むわけだな」
思えば地獄の王族は、この手順をすっ飛ばして結婚しているのだ。古からの理に従っているだけだったが、聡一朗にも今まで通りで良いのだろうか。
「獄主様、九居の候補者が移動を完了しました」
コウトの声が届き、獄主は顔を上げた。
「ああ、ようやくか」
獄主はそう呟くと、ふっと頬を緩ませた。楽しみで仕方がないといった顔を浮かべ、デスクから立ち上がる。
「計画通り、開始せよ」
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