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第一章 目覚めた精霊。

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森の奥で小さな精霊が生まれた、とても小さな少女の形をした精霊だ。

森の動物や草木がわずかにざわついていた、森の中央にある花畑に一本だけある大樹、その根元に小さな精霊の少女が眠っていた。

大樹の枝に一羽の白い鳥が羽を休めていた、この鳥は空を見上げ、次ぎに根元を見つめ、いつの間にか大樹の根元まで降りると、精霊の少女を卵を守るかのように自身の羽で包み込んだ。


「………ん~。」

精霊の少女は目を覚ました、そして少し辺りを見つめて、自分が何か温かくて、ふわふわした、白い物に包まれているのだと理解したがまだ眠いのか再び眠りこけた。

これには白い鳥もビックリしたのか目を丸くしたが、しばらくすると少女の寝息が聞こえたので微笑ましく見つめ、自身も瞳を閉じた。


辺りではこの精霊の少女が生まれたこことで花や草木がわずかに喜んでいるようだ、白い鳥は少し草花たちを見つめ息を吹きかけた、たちまち辺り一面に草花が咲き誇り、花畑には小さな妖精達が歌い踊り楽しそうにしていた。


「………ふぁ~……………凄い?…………」
精霊の少女は、今度は本当に目を覚まし辺り一面の光景に見惚れていた。

『……新たな精霊よ、お目覚めかい?』

とても優しい女性のような声が少女の頭の上から聞こえてきた。

「…?………あるぇ?」

『こちらですよ。』

「る?………………。」

少女は上を見上げ、次ぎに固まった、自分よりも大きな生き物に、見下ろされているのだから。

「……………はじめまして?」

『はい、はじめまして。』

……あまりも混乱しすぎて普通に挨拶をしたら、ちゃんと挨拶をしてくれた。

「………えっと?…………ん?」

少女はここで自分が白い羽に包まれているのだと気がついた。

「………えっと?………」

『ふふ、はじめまして小さな精霊よ、私の羽は寝心地がよかったのかな?』

「ふぇ?……良かったのです~。」

大変満足したようだ。

『フム、精霊よ、自己紹介をしましょうか、私はこの森を縄張りとする……まあ、神獣ですね………』


「……えっと?………え?………私の名前?………名前……フィオーレ?」

コテっと首をかしげながら少女は答えた。

『ふふ、私はね、貴女のこれからを教えるためにここにいるんだよ、主様に直接頼まれてしまったからね?』


「んん?……えっと?……お願いします?」

どやらこの精霊の少女すでに話している相手が自分よりも大きな生き物でも特に気にしている様子はなかった。

『それじゃあ、後ろの大樹の枝にある私の巣に連れてってあげましょう。』

「…よろ?」

少女は白い鳥の背に乗り飛び立った。
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