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消えたレシア
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『ツイ、どうしたの?あらたまっちゃって』
私が本を抱きしめていると、微笑まそうに笑うレシアの声が聞こえてきた。
『ほんとうに楽しくて。色んなものに感謝しているの。この本にもね』
『そう。それはいいことね』
レシアの顔は見えないけど、嬉しそうだなって感じた。
『ねぇ、ツイ。』
『なに?』
レシアは少し間をあけた。
『あなたには悪いんだけど。少し、わたしの世界を閉めようと思うの。』
えっ。
今なんていった。
『なんで?』
わたしはただ驚いていた。
だって元の世界に戻すんでしょ?
『わたしがわるいの。あなたのおかげでこの世界は変化している。でも、怖くなっちゃった。』
レシアの悲しそうな声が伝わってくる。
もしかして、虹のエクスメーカーのことを思い出しちゃったのかな。
『そんな、わたしレシアのおかげでもっとがんばろうって夢をもてたんだよ。なにも怖くないよ。わたしも手伝うから』
『この世界が変わって、たくさんの人が来たとき、わたしは前みたいに皆の背中を押せるのか。虹のエクスメーカーみたいに傷つけないのか』
『あまり自信があないの』
『そんなこといわないでよ。きっとレシアなら大丈夫だよ』
そう言っても、レシアはうなずいてくれなかった。ただ迷ってて悲しそうな声がする。
『すこしだけ。時間をくれないかしら』
『レシア……』
それから本から声が聞こえなくなってしまった。
どんだけ本をノックしても、声を出しても反応しなかった。
「どうしたの。レシア」
わたしが元に戻そうとしたからかな。
――学校
「ね、大変だよ。レシアが反応しないの」
「そうなの。なんか、怖いんだって、元に戻っちゃうのが」
「えっ」
そういうと、ヒカリちゃんは固まっていた。
「だってあのとき」
「うん。」
あんなに嬉しそうだった。
元に戻ってかがやきがたくさんあの世界に集まるのは悪いことではないはず。
「虹のエクスメーカー」
「なにそれ」
「あのね、虹のエクスメーカーっていうすごい人が昔いたらしいの。でも、そのかがやきを、夢が叶わなくなって、消えちゃったんだって」
わたしがそう話すと、ヒカリちゃんはそっかとレシアの気持ちを考えているように目をつぶった。
「今日はいけないけど、もし会えたらわたしも手伝いたいって言ってほしい」
そうだね。
今日、またできないかやってみよう。
わたしもヒカリちゃんもレシアに背中を押されて前をむくことができたんだよ。消えるなんて、もう会えないなんて嫌だ。
そして、放課後
わたしは本をひらいた。
「ひ、ひらけ夢のかけら!!」
……
…………
やっぱり反応しない。
本も元気がなさそうに飛んだりしないし、やっぱりあの世界にいけないのかな。
「ううん、諦めたらだめだ。少しでも前に、もっと上手くなってレシアに見せるんだ。」
わたしはそう決意をして、近所の公園にいった。
人が居ないのを、確認していきを吸う。
「~~♪」
ここでステップ、ジャンプ!!
絶対に諦めない。
きっとレシアは来てくれる。
虹のエクスメーカーも越えるような、夢を届ける人になりたい!
自分を表しておどるのが楽しいって教えてくれたレシアのために。
「はぁはぁ……」
気づいたら暗くなりそうだった。いつもは教えてくれるけど、この世界だから時間が分かっちゃうな。
「レシア、会いたいよ。寂しいよ」
わたしは本が喋ってくれることを祈って、ずっと傍においていた。
お風呂の時も、近くにおいて寝るときもベットのまくらの横に置いた。
――そして、次の日
わたしはヒカリちゃんと一緒に公園でおどっていた。
少し人の目に入るのは恥ずかしいけど、もっとうまくなりたいんだ。
そう思えたのは、レシアのおかげなんだよ。
ねぇ、レシア! 聞いてよ!
「――!」
「~~♪」
「ふぅ、疲れたあ。」
今日の練習も終わってしまった。
でも……やっぱりレシアの声が聞きたいな。
だってすごく元気出るもん。
私が本を抱きしめていると、微笑まそうに笑うレシアの声が聞こえてきた。
『ほんとうに楽しくて。色んなものに感謝しているの。この本にもね』
『そう。それはいいことね』
レシアの顔は見えないけど、嬉しそうだなって感じた。
『ねぇ、ツイ。』
『なに?』
レシアは少し間をあけた。
『あなたには悪いんだけど。少し、わたしの世界を閉めようと思うの。』
えっ。
今なんていった。
『なんで?』
わたしはただ驚いていた。
だって元の世界に戻すんでしょ?
『わたしがわるいの。あなたのおかげでこの世界は変化している。でも、怖くなっちゃった。』
レシアの悲しそうな声が伝わってくる。
もしかして、虹のエクスメーカーのことを思い出しちゃったのかな。
『そんな、わたしレシアのおかげでもっとがんばろうって夢をもてたんだよ。なにも怖くないよ。わたしも手伝うから』
『この世界が変わって、たくさんの人が来たとき、わたしは前みたいに皆の背中を押せるのか。虹のエクスメーカーみたいに傷つけないのか』
『あまり自信があないの』
『そんなこといわないでよ。きっとレシアなら大丈夫だよ』
そう言っても、レシアはうなずいてくれなかった。ただ迷ってて悲しそうな声がする。
『すこしだけ。時間をくれないかしら』
『レシア……』
それから本から声が聞こえなくなってしまった。
どんだけ本をノックしても、声を出しても反応しなかった。
「どうしたの。レシア」
わたしが元に戻そうとしたからかな。
――学校
「ね、大変だよ。レシアが反応しないの」
「そうなの。なんか、怖いんだって、元に戻っちゃうのが」
「えっ」
そういうと、ヒカリちゃんは固まっていた。
「だってあのとき」
「うん。」
あんなに嬉しそうだった。
元に戻ってかがやきがたくさんあの世界に集まるのは悪いことではないはず。
「虹のエクスメーカー」
「なにそれ」
「あのね、虹のエクスメーカーっていうすごい人が昔いたらしいの。でも、そのかがやきを、夢が叶わなくなって、消えちゃったんだって」
わたしがそう話すと、ヒカリちゃんはそっかとレシアの気持ちを考えているように目をつぶった。
「今日はいけないけど、もし会えたらわたしも手伝いたいって言ってほしい」
そうだね。
今日、またできないかやってみよう。
わたしもヒカリちゃんもレシアに背中を押されて前をむくことができたんだよ。消えるなんて、もう会えないなんて嫌だ。
そして、放課後
わたしは本をひらいた。
「ひ、ひらけ夢のかけら!!」
……
…………
やっぱり反応しない。
本も元気がなさそうに飛んだりしないし、やっぱりあの世界にいけないのかな。
「ううん、諦めたらだめだ。少しでも前に、もっと上手くなってレシアに見せるんだ。」
わたしはそう決意をして、近所の公園にいった。
人が居ないのを、確認していきを吸う。
「~~♪」
ここでステップ、ジャンプ!!
絶対に諦めない。
きっとレシアは来てくれる。
虹のエクスメーカーも越えるような、夢を届ける人になりたい!
自分を表しておどるのが楽しいって教えてくれたレシアのために。
「はぁはぁ……」
気づいたら暗くなりそうだった。いつもは教えてくれるけど、この世界だから時間が分かっちゃうな。
「レシア、会いたいよ。寂しいよ」
わたしは本が喋ってくれることを祈って、ずっと傍においていた。
お風呂の時も、近くにおいて寝るときもベットのまくらの横に置いた。
――そして、次の日
わたしはヒカリちゃんと一緒に公園でおどっていた。
少し人の目に入るのは恥ずかしいけど、もっとうまくなりたいんだ。
そう思えたのは、レシアのおかげなんだよ。
ねぇ、レシア! 聞いてよ!
「――!」
「~~♪」
「ふぅ、疲れたあ。」
今日の練習も終わってしまった。
でも……やっぱりレシアの声が聞きたいな。
だってすごく元気出るもん。
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