わたしとネコ

大井 芽茜

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友達

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 そして、しばらくの時間がすぎた。
「なんのサッカー選手?」
「日本のね。キーパーっていうポジションの人だよ」
 ひまりちゃんが図書館にいるときはしっかりと話すことができた。

 でも、何かが足りない気がする。


 放課後
「私、会話できるようになったけどもっと仲良くなりたいの。」
「友達か。」
 どうしたらいいんだろう。
 ユウはしばられるなっていうけど、やっぱりもっと一緒にいたいよ。

「話して楽しくて、でも足りなくて。もっと仲良くなるには何すればいいかな?」
「……その想いを伝えたらいいんじゃないか」

「無理!」
 そんな恥ずかしいことできるわけない。
 でも……


 悩んでいる間にどんどん時間が過ぎていく。
「それ前に言ってた人?」
「うん。」
 話しすぎて話す内容があまりない。
 それに本しか話してない。

「どうしたらいいんだろう」
「そうだな」

 その時だった。

「みさ!!」
 帰り道を歩いていると、ユウは飛び上がり手をどこかに向けた。

「なに!?」
 よく見ると男の子が倒れていた。

「行かなきゃ」
 私はとっさに走り、男の子を起き上がらせた。

「大丈夫!? 返事して!」
「なんだこれは」
 凄い汗。

「熱中症だと思う。日陰に移動して」
 私は頑張って連れていき横にした。

「えっと、なにをしたら」
 救急車を呼ぶにも時間がかかる。
 このままじゃ……

「やるしかないか。」
 ユウがそう呟き立ち上がった時、

「みさちゃん!」
「えっ……ひまりちゃん?」
 ひまりちゃんがすぐにタオルに水筒を流し彼の身体を冷やす。

「みさちゃんは大人の人を呼んで!!」
 そうか!

「うん!!」
 私は車に乗った人に合図を送ると大人の人がでてきた。
 男の子の様子をみるとすぐに救急車を呼んでくれて間に合うことができた。

「ありがとうみさちゃん」
「ううん。ひまりちゃんが指示してくれなかったら何もできなかったからありがとう」
 私はそう伝えるとひまりちゃんはバイバイと歩いて行った。

「ニャー」
「ん!!?」
 しかし、すぐに止まった。

「あっユウ!!」
 ユウはひまりちゃんの元でゴロゴロと音を出していた。

「その子、私のネコなんだ」
「あっこの子があの時助けたネコなの?」
 ひまりちゃんはユウを持ち上げるとヨシヨシと撫でていた。

「ニャー」
「みさ、今だ。」

「えっ」
 鳴いた後に、言葉が聞こえてきた。
 これって前に練習したっていう……

「あっあの!」
「なに?」

「私の家に来ない?そのユウと二人で寂しいから」
 そういうと、ひまりちゃんはパッと明るくなった。

「じゃあ次の日いくね!」
「ほんと?」

「うん!!約束ね」
 私は泣きそうになりながらうなづいた。

「なんで泣いてるの?」
「その、約束したの初めてで。ずっと一人だったから。」
 そういうと、みさはそうだったの?と驚いていた。

「じゃあ、これから約束いっぱいしよ。あとあと、私のことはひまりでいいよ」
「あっ私もみさでいいよ。」

「じゃあね、みさ!また明日!」
 ――!

「うん!!」
 私は泣きながらひまりを見送った。

「もう友達じゃないか?」
「うん!多分友達って人じゃなくてこの心の温かさが友達ってことだと思う。……ありがとうユウ」
 そういうと、ユウはフッと笑った。

「俺じゃない。みさが人のために動いたから上手くいっただけだ。きっとあの少年も感謝している。みさが頑張ったからの結果だ。」
「ありがとう!!」
 明日、楽しみだな。
 友達ってなんとなくだけどわかった気がする

 ユウのおかげでこれから沢山色んなことが楽しみになってくる。

「帰ろう?」
「あぁ」
ネコと私。
前を向けたのは誰かを助けたいって気持ちとユウや友達のおかげ。
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