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19、サンタ
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「お、親分!」
「なんでえ、子分」
「いったい全体、どうしちまったんすか、その格好は」
「何だ、なんか文句あるか」
「仏教徒って言ってやしたよね。なのに、サンタの格好なんかして」
「バアロウ!俺は、クリスマスを楽しんでるんじゃねえ。これは、ウイルス避けだ」
「はあ?」
「昔むかし、天然痘の大流行で大勢の人が命を落とした。そのころ、天然痘を引き起こすのは疫病神である“疱瘡神”のせいだと信じられてたんだよ」
「ははあ。サンタとは縁もゆかりもない話になりましたねえ」
「バアロウ、大ありだよ。その疱瘡神はな、赤色が苦手なんだ。福島県会津の“赤べこ”や岐阜県飛騨地方の“さるぼぼ”が赤いのは、子供の天然痘除けのためだ」
「へえ、そりゃあ知りませんでした。だから真っ赤なサンタの衣装ですかい。それはそうと、この可愛らしいクリスマスリースは、どういうこってすか」
「これはクリスマスリースじゃねえ、ナンテンだ。火災避けだよ」
「ははあ。じゃ、このシャンパンは」
「これはシャンパンじゃねえ、万病に効く、弘法大師の霊水だ」
「ふぅん。じゃ、このフライドチキンは」
「これはフライドチキンじゃねえ。昔の銀山の防毒マスクにも使われてた、梅肉入りの唐揚げだ」
「ほう。じゃ、このケーキは」
「これか?これはケーキじゃねえ、厄病除けのうけら餅だ。あっ、何しやがる」
(手に付いた生クリームを舐めながら)
「こりゃあ、ずいぶん柔らかくて甘くて、伸びない餅ですねえ。イチゴまで入ってらあ。親分はいっつも嘘ついて、言い訳ばかりだ。何かあっしに言うことはねえんですかい」
「……、メリークリスマス」
・・・・・・・・・・
〈天然痘〉
天然痘(てんねんとう)は、天然痘ウイルスを病原体とする感染症の一つである。疱瘡(ほうそう)、痘瘡(とうそう)ともいう。
天然痘を擬神化した疱瘡神は悪神の一つとして恐れられ、日本各地には疱瘡神除けの神事や行事が今も数多く残っている。疱瘡神は犬や猿、赤色を苦手とすると考えられたため、赤いものや犬の張子、猿の面などをお守りとして備える地域も存在した。(Wikipediaより抜粋)
〈ナンテン〉
ナンテン(南天)は、メギ科ナンテン属の常緑低木。音が「難転」即ち「難を転ずる」に通ずることから、縁起の良い木とされ、鬼門または裏鬼門に植えると良いなどという俗信がある。また、江戸期の百科事典『和漢三才図会』には「南天を庭に植えれば火災を避けられる」とあり、江戸時代はどの家も「火災除け」として玄関前に植えられた。
〈平等寺〉
平等寺(びょうどうじ)は、徳島県阿南市新野町にある高野山真言宗の寺院。寺伝によれば、空海がこの地で厄除け祈願をすると五色の雲がわき、錫杖でその場に井戸を掘ると乳白色の水が湧いた。白水の井戸は弘法の霊水とも開運鏡の井戸とも呼ばれ、この水は万病に効くとの言い伝えがある。(Wikipediaより抜粋)
〈梅干し〉
江戸時代の銀山では、坑内に立ちこめる鉱塵による粉塵公害「けだえ」が問題であった。備中国笠岡の医師・宮太柱は数々の「けだえ」防止の装置を発明したが、鉄の枠に梅肉を挟み薄絹を張った防毒マスク「福面(ふくめん)」は、酸の効果で鉱塵を寄せつけず効果が絶大だったという。(Wikipediaより抜粋)
〈おけら/うけらの神事/うけら餅〉
オケラ(朮)はキク科オケラ属の多年草。別名、ウケラ、カイブシとも呼ばれている。/刻んで焚くと、疫病よけになると信じられた。京都八坂神社では、除夜の鐘とともに正月に白朮(オケラの根茎)を焚く白朮祭(をけらさい)が行われており、この火を火縄に移して持ち帰り、これを火種に雑煮を煮て新年を祝う「おけら火」という行事がよく知られている。/「うけら」を焚きながらうけら餅を焼いて食べると、一年間無病健康に過ごすことができると伝えられている。(Wikipediaより抜粋)
「なんでえ、子分」
「いったい全体、どうしちまったんすか、その格好は」
「何だ、なんか文句あるか」
「仏教徒って言ってやしたよね。なのに、サンタの格好なんかして」
「バアロウ!俺は、クリスマスを楽しんでるんじゃねえ。これは、ウイルス避けだ」
「はあ?」
「昔むかし、天然痘の大流行で大勢の人が命を落とした。そのころ、天然痘を引き起こすのは疫病神である“疱瘡神”のせいだと信じられてたんだよ」
「ははあ。サンタとは縁もゆかりもない話になりましたねえ」
「バアロウ、大ありだよ。その疱瘡神はな、赤色が苦手なんだ。福島県会津の“赤べこ”や岐阜県飛騨地方の“さるぼぼ”が赤いのは、子供の天然痘除けのためだ」
「へえ、そりゃあ知りませんでした。だから真っ赤なサンタの衣装ですかい。それはそうと、この可愛らしいクリスマスリースは、どういうこってすか」
「これはクリスマスリースじゃねえ、ナンテンだ。火災避けだよ」
「ははあ。じゃ、このシャンパンは」
「これはシャンパンじゃねえ、万病に効く、弘法大師の霊水だ」
「ふぅん。じゃ、このフライドチキンは」
「これはフライドチキンじゃねえ。昔の銀山の防毒マスクにも使われてた、梅肉入りの唐揚げだ」
「ほう。じゃ、このケーキは」
「これか?これはケーキじゃねえ、厄病除けのうけら餅だ。あっ、何しやがる」
(手に付いた生クリームを舐めながら)
「こりゃあ、ずいぶん柔らかくて甘くて、伸びない餅ですねえ。イチゴまで入ってらあ。親分はいっつも嘘ついて、言い訳ばかりだ。何かあっしに言うことはねえんですかい」
「……、メリークリスマス」
・・・・・・・・・・
〈天然痘〉
天然痘(てんねんとう)は、天然痘ウイルスを病原体とする感染症の一つである。疱瘡(ほうそう)、痘瘡(とうそう)ともいう。
天然痘を擬神化した疱瘡神は悪神の一つとして恐れられ、日本各地には疱瘡神除けの神事や行事が今も数多く残っている。疱瘡神は犬や猿、赤色を苦手とすると考えられたため、赤いものや犬の張子、猿の面などをお守りとして備える地域も存在した。(Wikipediaより抜粋)
〈ナンテン〉
ナンテン(南天)は、メギ科ナンテン属の常緑低木。音が「難転」即ち「難を転ずる」に通ずることから、縁起の良い木とされ、鬼門または裏鬼門に植えると良いなどという俗信がある。また、江戸期の百科事典『和漢三才図会』には「南天を庭に植えれば火災を避けられる」とあり、江戸時代はどの家も「火災除け」として玄関前に植えられた。
〈平等寺〉
平等寺(びょうどうじ)は、徳島県阿南市新野町にある高野山真言宗の寺院。寺伝によれば、空海がこの地で厄除け祈願をすると五色の雲がわき、錫杖でその場に井戸を掘ると乳白色の水が湧いた。白水の井戸は弘法の霊水とも開運鏡の井戸とも呼ばれ、この水は万病に効くとの言い伝えがある。(Wikipediaより抜粋)
〈梅干し〉
江戸時代の銀山では、坑内に立ちこめる鉱塵による粉塵公害「けだえ」が問題であった。備中国笠岡の医師・宮太柱は数々の「けだえ」防止の装置を発明したが、鉄の枠に梅肉を挟み薄絹を張った防毒マスク「福面(ふくめん)」は、酸の効果で鉱塵を寄せつけず効果が絶大だったという。(Wikipediaより抜粋)
〈おけら/うけらの神事/うけら餅〉
オケラ(朮)はキク科オケラ属の多年草。別名、ウケラ、カイブシとも呼ばれている。/刻んで焚くと、疫病よけになると信じられた。京都八坂神社では、除夜の鐘とともに正月に白朮(オケラの根茎)を焚く白朮祭(をけらさい)が行われており、この火を火縄に移して持ち帰り、これを火種に雑煮を煮て新年を祝う「おけら火」という行事がよく知られている。/「うけら」を焚きながらうけら餅を焼いて食べると、一年間無病健康に過ごすことができると伝えられている。(Wikipediaより抜粋)
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