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13、ヤシのせんべい
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「やい、子分」
「へい、親分」
「ヤシにいくから、ついてこい」
「ヤシ?椰子の実?南国にいくんですかい?」
「バアロウ、香具師といえば、祭りの出店のことだろうが」
「ははあ。でもこのご時世、自粛自粛で、祭りなんざあ、やってませんぜ」
「ところがどっこい、知る人ぞ知る、闇縁日があるんだよ。おい、付いてこい」
「へい。闇縁日…?」
「親分、こんな暗くて地下の薄気味悪い所で、縁日なんて本当にやってるんですかい」
「バアロウ、薄気味悪いからみんな来ねえ、つまり密にならねえんじゃねえか。それよりおめえ、せんべい屋を探せ」
「せんべい?そんなのはスーパーやコンビニで買えますぜ。なんなら、あられでもいいじゃねえですか」
「バアロウ。あられはもち米から出来てるから、うるち米から出来てるせんべいとは別物だ。俺が探してるのはただのせんべいじゃねえ。わらじくらいのでっけえせんべいに、シロップを付けた筆で絵を描いて、上から水色やピンクの砂糖をまぶすと、描いた絵が浮き出てくるやつだ」
「ああ、そりゃ、おえかきせんべいだ。あれはタコせんべいだから、うるち米じゃなくたぶん小麦粉ですぜ。まあ、あっしも好きでしたがね」
「だろう?俺は、もう一回おえかきがしたいんだ。やい、とっととせんべい屋を探せ」
「…。あっ、ありやした、せんべい屋です」
「らっしゃいらっしゃい、醤油せんべいはいかが」
「醤油せんべいか。おえかきせんべいはないか」
「ないけど、うちのせんべいは特別ですぜ。何を隠そう、人毛醤油を使ってます」
「ひええ、そんなせんべいはいらねえ。親分、別の店に行きやしょう」
「らっしゃいらっしゃい、ざらめせんべいはいかが」
ざらめせんべいか。おえかきせんべいはないか」
「ないけど、うちのせんべいは特別ですぜ。何を隠そう、黄変米を使ってます」
「ひええ、そんなせんべいはいらねえ。親分、別の店に行きやしょう」
「らっしゃいらっしゃい、塩せんべいはいかが」
「塩せんべいか。おえかきせんべいはないか」
「ないけど、うちのせんべいは特別ですぜ。何を隠そう、スペースシャトルの中で若田さんが食べ残したせんべいです」
「ひええ、そんなせんべいはいらねえ。親分、別の店に行きやしょう」
「らっしゃいらっしゃい、りんご飴はいかが」
「親分、おえかきせんべいはなさそうだし、りんご飴にしたらどうです?インスタ映えしやすぜ。でも入れ歯の親分に、りんご飴は酷か。いやでも、せんべいの方が…って、親分、人がせんべい探してる間に、何ういろう食ってるんですか。あっしにも分けて下せえよ」
「ういろうじゃねえ。これは、生せんべいだ」
………………………………
〈人毛醤油〉
人毛醤油(じんもうしょうゆ)とは、頭髪などの人毛を原料として製造した代用醤油の一種である。毛髪醤油とも言われる。実用化はされなかったものの、昭和初期に大門一夫により毛髪の研究の一環として、人間の毛髪を原料とした醤油の実験が行われたらしい。(Wikipediaより抜粋)
〈黄変米〉
黄変米(おうへんまい)とは、人体に有害な毒素を生成するカビが繁殖して黄色や橙色に変色した米のこと。(Wikipediaより抜粋)
〈黄変米事件〉
日本では戦後の食糧難の時代に外国から大量の米が輸入され、国民への配給が行われていた。ビルマより輸入された米を横浜検疫所が調査したところ、約1/3が黄変米である事が判明し、倉庫からの移動禁止処分が取られた。その後も輸入米から続々と黄変米が見つかり在庫が増え続けた。農林省は処分に困り、黄変米の危険性は科学的に解明されていないという詭弁を用いて、基準を緩和し配給に回す計画を立てた。が世論の強い反発のため黄変米の配給は継続できなくなり、同年の10月には黄変米の配給が断念された。(Wikipediaより抜粋)
〈宇宙食〉
宇宙食は、主に宇宙船の中で宇宙飛行士が食べる食物をさす。せんべいなどは粉が飛び散ってしまいそうだが、実際に若田光一が特別食として持ち込み、スペースシャトル内で食べている。(Wikipediaより抜粋)
〈生せんべい〉
知多半島を代表する銘菓。名称に「せんべい」とあるが生菓子(餅)の類で、もちもちした食感は「焼く前のせんべい」とも表現される。類似した生菓子にはういろうや生八つ橋が挙げられ、生せんべいはそれらのルーツであるとされる。生せんべいの起源は1560年まで遡る。徳川家康が桶狭間の戦いにおいて母親(伝通院)のいる知多半島へ逃れる途中、百姓の庭先に干してあるせんべいを生のままで献上させたところたいそう気に入り、岩滑城に滞在する間は生のまま献上することを申しつけたとされる。(Wikipediaより抜粋)
「へい、親分」
「ヤシにいくから、ついてこい」
「ヤシ?椰子の実?南国にいくんですかい?」
「バアロウ、香具師といえば、祭りの出店のことだろうが」
「ははあ。でもこのご時世、自粛自粛で、祭りなんざあ、やってませんぜ」
「ところがどっこい、知る人ぞ知る、闇縁日があるんだよ。おい、付いてこい」
「へい。闇縁日…?」
「親分、こんな暗くて地下の薄気味悪い所で、縁日なんて本当にやってるんですかい」
「バアロウ、薄気味悪いからみんな来ねえ、つまり密にならねえんじゃねえか。それよりおめえ、せんべい屋を探せ」
「せんべい?そんなのはスーパーやコンビニで買えますぜ。なんなら、あられでもいいじゃねえですか」
「バアロウ。あられはもち米から出来てるから、うるち米から出来てるせんべいとは別物だ。俺が探してるのはただのせんべいじゃねえ。わらじくらいのでっけえせんべいに、シロップを付けた筆で絵を描いて、上から水色やピンクの砂糖をまぶすと、描いた絵が浮き出てくるやつだ」
「ああ、そりゃ、おえかきせんべいだ。あれはタコせんべいだから、うるち米じゃなくたぶん小麦粉ですぜ。まあ、あっしも好きでしたがね」
「だろう?俺は、もう一回おえかきがしたいんだ。やい、とっととせんべい屋を探せ」
「…。あっ、ありやした、せんべい屋です」
「らっしゃいらっしゃい、醤油せんべいはいかが」
「醤油せんべいか。おえかきせんべいはないか」
「ないけど、うちのせんべいは特別ですぜ。何を隠そう、人毛醤油を使ってます」
「ひええ、そんなせんべいはいらねえ。親分、別の店に行きやしょう」
「らっしゃいらっしゃい、ざらめせんべいはいかが」
ざらめせんべいか。おえかきせんべいはないか」
「ないけど、うちのせんべいは特別ですぜ。何を隠そう、黄変米を使ってます」
「ひええ、そんなせんべいはいらねえ。親分、別の店に行きやしょう」
「らっしゃいらっしゃい、塩せんべいはいかが」
「塩せんべいか。おえかきせんべいはないか」
「ないけど、うちのせんべいは特別ですぜ。何を隠そう、スペースシャトルの中で若田さんが食べ残したせんべいです」
「ひええ、そんなせんべいはいらねえ。親分、別の店に行きやしょう」
「らっしゃいらっしゃい、りんご飴はいかが」
「親分、おえかきせんべいはなさそうだし、りんご飴にしたらどうです?インスタ映えしやすぜ。でも入れ歯の親分に、りんご飴は酷か。いやでも、せんべいの方が…って、親分、人がせんべい探してる間に、何ういろう食ってるんですか。あっしにも分けて下せえよ」
「ういろうじゃねえ。これは、生せんべいだ」
………………………………
〈人毛醤油〉
人毛醤油(じんもうしょうゆ)とは、頭髪などの人毛を原料として製造した代用醤油の一種である。毛髪醤油とも言われる。実用化はされなかったものの、昭和初期に大門一夫により毛髪の研究の一環として、人間の毛髪を原料とした醤油の実験が行われたらしい。(Wikipediaより抜粋)
〈黄変米〉
黄変米(おうへんまい)とは、人体に有害な毒素を生成するカビが繁殖して黄色や橙色に変色した米のこと。(Wikipediaより抜粋)
〈黄変米事件〉
日本では戦後の食糧難の時代に外国から大量の米が輸入され、国民への配給が行われていた。ビルマより輸入された米を横浜検疫所が調査したところ、約1/3が黄変米である事が判明し、倉庫からの移動禁止処分が取られた。その後も輸入米から続々と黄変米が見つかり在庫が増え続けた。農林省は処分に困り、黄変米の危険性は科学的に解明されていないという詭弁を用いて、基準を緩和し配給に回す計画を立てた。が世論の強い反発のため黄変米の配給は継続できなくなり、同年の10月には黄変米の配給が断念された。(Wikipediaより抜粋)
〈宇宙食〉
宇宙食は、主に宇宙船の中で宇宙飛行士が食べる食物をさす。せんべいなどは粉が飛び散ってしまいそうだが、実際に若田光一が特別食として持ち込み、スペースシャトル内で食べている。(Wikipediaより抜粋)
〈生せんべい〉
知多半島を代表する銘菓。名称に「せんべい」とあるが生菓子(餅)の類で、もちもちした食感は「焼く前のせんべい」とも表現される。類似した生菓子にはういろうや生八つ橋が挙げられ、生せんべいはそれらのルーツであるとされる。生せんべいの起源は1560年まで遡る。徳川家康が桶狭間の戦いにおいて母親(伝通院)のいる知多半島へ逃れる途中、百姓の庭先に干してあるせんべいを生のままで献上させたところたいそう気に入り、岩滑城に滞在する間は生のまま献上することを申しつけたとされる。(Wikipediaより抜粋)
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