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番外編 ヒロインはお茶会で命の危険を悟る
しおりを挟む※あまり深く考えず見てください。
ご都合設定あります。その後の関係性の雰囲気こんな感じ。というなんちゃて秘話です。
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お久しぶりです。ある小説の主人公に転生したユリシアです。
私の前世から大好きだったおねぇちゃんこと、マーガレット様と、暴漢事件後も交流が許されましたが、制約はつきました。
王宮内の決まった所で事前申告して許可を得た上での交流である事。
当然と言えば当然で、寧ろこれだけで済んだのはひとえにマーガレット様の気晴らし相手に役立っているからだとわかってる。
その価値を失った時、私の命は尽きるものと思われる。
何故なら執務室から見下ろしてくる、あの絶対零度の光を宿した目が、そう訴えかけている。
今も。
「……はうっ!」
ーカチャンッ。
目が合った。
思いもかけず、マーガレット様の背後、建物の上階からこちらを見下ろす王子と目が合った気がする。小さくて分からないけれど、ゾクリと背中に這う悪寒は間違いないと感じる。
何故か前より酷くなっている。
「どうしましたか?ユリシア様。」
「だ、大丈夫です。」
「ですが、顔色が……。」
「今の所大丈夫です。」
現在、妊娠されたマーガレット様の気晴らし相手に呼ばれている訳なんだけど。前にも増して王子が脅すような目で私を見ている。
目が語っている。
〝あの時処分しておきたかったなぁ。やっぱ近づけるの不安だな。〟って声が!
冷や汗がつたう中、王子の視線は未だビシバシ感じている。あの遠くに見える宮殿の1室からだと言うのに。目力だけで、此処まで相手を追い詰めるなんて…。
マーガレット様が妊娠してから危険対象と思しきものに万倍過敏になったのがわかった。
青い顔をして震えている私の頬に、マーガレット様がそっとハンカチで汗を拭いてくれた。
「今日は体調もよろしくなさそうですから、この辺りにしておきましょうか。」
「あ!は、はい!そうですね!」
残念そうに眉を寄せて笑むマーガレット様に心は痛むけど、私はホッと息を吐いた。
(妊娠中は妊婦が敏感になる物だと思ってたけど…ここの事情は他と違うのね…
よし、次来るのは出産後にしよう。)
「……。ユリシア様は、令嬢の中でお話ししていて1番気が楽なので…つい我儘を言ってしまいました。
体調の悪い中、私の我儘に付き合ってくださりありがとうございます。」
(マーガレット様……)
その時、先程までビシバシ感じていた冷気の圧力が弱まった。
(ま…まじなの?もしかして、王子、今の言葉が聞こえているというの?…一体何故、どうやって?こわっ。)
だかしかし、怖いとは思いつつ、先程までの落差を如実に感じたユリシアはこの時、名案を思いついた。
「わかりました。マーガレット様。私ちょっと身体鍛えて来ますので、暫く…いえ、3ヶ月程お待ち下さい。」
「え?」
突然のユリシアの宣言に、マーガレットは〝何がわかったんだろう…〟と不思議に思い、首を傾げた。
「この間の外出時の事件、私が剣豪とかなら何の問題もありませんでした。」
「いえ…それを言ったら歳上であるのに私の方が不甲斐なくて…」
「いえ、私が強くなる事によって得られるメリットが沢山あるんですよ。」
「そうなのですか?それは一体…」
「例えば舞踏会で、パートナーである男女が社交のためにそれぞれ行動しすよね?」
「はい、良くありますね。」
「でもですよ、マーガレット様がパートナーと離れた隙をついて、良からぬことを考えた不届きな輩が狙って来たら、私の出番です。」
「????」
「つまり、私は貴族令嬢という、身近な立場からマーガレット様の護衛になれる。いかがでしょう?」
「…そんな、ユリシア様にそんな事させられません。社交の場で何か困ったら自身で何とか出来る術は身につけていますので大丈夫です。それにそれでは私しか得をしてませんし…ー」
マーガレット様は止める言葉を言っているが、明らかに王子の冷気が軽くなった。悪くないと思われたのかもしれない。
もしかしたら、この身も凍るような眼差しから脱出する日が来るかもしれない。そうなると胸が熱くなって涙が出そうだった。
「では、身体を鍛えて来ますので、待っててくださいね!」
マーガレットがよく分からないままに、ユリシアは淑女の礼をして帰ってゆく。
後日、訓練はしてみたものの、運動が向いていなかったことをユリシアは痛感した。※結局鍛えるのはやめた。
更に何だかんだでマーガレットに呼ばれると王宮に遊びに行ってしまうユリシアの姿があった。※考える事をやめた。
こうしてユリシア12歳(もうすぐ13歳)は日々成長してゆくのであった。
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☆作者から一言☆
ご要望があったヒロインの番外編です!
求められているのが、これじゃ無い気もしましたが…。載せました。
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