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第2章
黒鳥
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侍女に案内されるままに部屋へ戻ったリディアは、ドアを開ける前に侍女に「ここまでで大丈夫です」と告げ、お礼を言う。
部屋の中に入ると部屋の隅に備え付けられていたポールハンガーに、脱いだローブと取り外した仮面をつるして、一息つき、辺りをぐるりと見渡してモルトの姿を探した。
バンリと一緒に居なかったので、てっきり部屋に1人で戻っているとものだと考えていたが、そこにモルトの姿は無い。
(まさか、好奇心で王宮内を彷徨い歩いてる訳じゃないわよね?)
・・可能性は高い。今まで魔塔にしか居たことが無いモルトにとっては、王宮は好奇心がそそられるものばかりだ。机の引き出しを開くと、元々この部屋に備え付けられていた地図を取り出した。
これは客人が観光がてら入ることが可能な場所が記されている。
(王宮内で、モルトが一番興味を示しそうなところは・・)
指でなぞりながら、各宮殿の特徴へ目を通していると、〝コツン、コツン〟と、窓をノックしているような音がして、視線を斜め横にあるガラス窓へとやる。
カーテンはタッセルに纏められており、日当たりの良い部屋なので日の光がガラス窓から差し込んでおり、特に人影は見当たら無い。けれど、未だに〝コツン、コツン〟と音をさせ、その度窓が小さく振動していた。
恐る恐る窓に近寄ると、窓の外に小さな鳥がいて、何度も旋回しては窓をコツコツと叩いていた。
「あの黒色の鳥ーー室長がたまに魔法で作る黒鳥?」
魔塔の室長が魔法で作った鳥だ。魔力の塊が鳥の姿をしているだけなので生きている訳では無いらしいが、意志はあるのだとか。
リディアには理解の及ばない分野ではあるけれど、人が生き物を作れるのか否かを考えた時に、偶然つくり出せたものらしい。室長が黒鳥を呼び出すと、モルトがいたく喜ぶので、たまに手を付けられないほどモルトの好奇心が我慢できない時、黒鳥に御守りをさせている節がある。
(この部屋に、入りたがってるのかな?)
窓を開け放つと、黒鳥はスイっと部屋に入って来て、今度はリディアの顔周りをクルクルと回ると、部屋のドアが勝手に開いて廊下へと飛んでいく。
(・・窓は開けられないけど、ドアは自分で開けられるのね・・)
黒鳥への謎は益々深まるばかりである。
「何だろう、私について来いってことかな・・」
(もしかして、モルトの居る場所に連れて行ってくれるのかな)
♢♢♢
思ったより、元居た部屋から離れてしまった。
それどころか、別の宮殿の中にまで入って行く。
仮面をつけて無いので、黒鳥を追い掛けるか躊躇したけれど、その度に戻って来てはリディアの周りを回るので、ここまでついて来てしまった。
(誰にも遭遇しませんように)
そう心の中で祈る。
幸い、歩いてきた廊下には人が居なかったし、鳥を見失わないように慌ててローブだけ持ってきたけれど、ここまで誰ともすれ違わなかったのが奇跡だ。
どうやら、トラビア王の居る本城には沢山の使用人がいるようだが、リディアの滞在している宮殿には基本的に清掃する人や、警備の人しか居ないようだ。それも最小限の人数しか配置していないようだった。
(ここ、何処だろう)
とある部屋の戸が薄っすらと開いており、黒鳥はその中へするりと入ってゆくので、リディアは思わず「えっ・・」と声がでた。
入って良い部屋なのか分からないので、躊躇していると、戸の上にある金の板に、〝勝利の間〟と刻まれていた。
こうした名前が付いた部屋は客人様が楽しめるよう、絵画等が飾られていると聞いたことを思い出し、中を確認しながら、ゆっくりと開ける。
カーテンが閉め切られているせいで、薄っすらとだけ日の光が入り込んでいる。そのせいか、ややうす暗い。
沢山の骨とう品、彫刻・絵画等均整のとれた品々が、静的で理知的な構成の美しさを損なわずに並べられているのが見える。
この中にモルトがいるのかと、近に聳え立っている彫刻の後ろなどを、身を低くして確認していると、不意に声をかけられた。
「ここが、何の部屋か分かるか?」
聞き覚えるのある声に、リディアはばっと立ち上がり、辺りを見渡す。
(今の声ーー室長?)
キョロキョロと視線を彷徨わせながら、部屋の奥へと歩みを進めた。
大きな骨とう品が並ぶ先に、大きな絵画の前にいる人影が、壁を背もたれにして寄りかかている。
どう見ても高級な品々ばかりだと言うのに、その人影はタバコに火をつけて口にくわえ始めた瞬間、リディアをここへ連れてきた黒鳥がカーテンをサァ・・と開けて、部屋の中に日が差す。
「・・・何でこんな所にいるんですか、室長」
***************************************************************
《作者からコメント》
消滅した悪役令嬢は、ひぐらしのなく頃にの「You」と言う曲をイメージして作ってたりします。
作成する時はいつも聞いてます。
良い曲なので、是非皆さまも聞いてみてください。
部屋の中に入ると部屋の隅に備え付けられていたポールハンガーに、脱いだローブと取り外した仮面をつるして、一息つき、辺りをぐるりと見渡してモルトの姿を探した。
バンリと一緒に居なかったので、てっきり部屋に1人で戻っているとものだと考えていたが、そこにモルトの姿は無い。
(まさか、好奇心で王宮内を彷徨い歩いてる訳じゃないわよね?)
・・可能性は高い。今まで魔塔にしか居たことが無いモルトにとっては、王宮は好奇心がそそられるものばかりだ。机の引き出しを開くと、元々この部屋に備え付けられていた地図を取り出した。
これは客人が観光がてら入ることが可能な場所が記されている。
(王宮内で、モルトが一番興味を示しそうなところは・・)
指でなぞりながら、各宮殿の特徴へ目を通していると、〝コツン、コツン〟と、窓をノックしているような音がして、視線を斜め横にあるガラス窓へとやる。
カーテンはタッセルに纏められており、日当たりの良い部屋なので日の光がガラス窓から差し込んでおり、特に人影は見当たら無い。けれど、未だに〝コツン、コツン〟と音をさせ、その度窓が小さく振動していた。
恐る恐る窓に近寄ると、窓の外に小さな鳥がいて、何度も旋回しては窓をコツコツと叩いていた。
「あの黒色の鳥ーー室長がたまに魔法で作る黒鳥?」
魔塔の室長が魔法で作った鳥だ。魔力の塊が鳥の姿をしているだけなので生きている訳では無いらしいが、意志はあるのだとか。
リディアには理解の及ばない分野ではあるけれど、人が生き物を作れるのか否かを考えた時に、偶然つくり出せたものらしい。室長が黒鳥を呼び出すと、モルトがいたく喜ぶので、たまに手を付けられないほどモルトの好奇心が我慢できない時、黒鳥に御守りをさせている節がある。
(この部屋に、入りたがってるのかな?)
窓を開け放つと、黒鳥はスイっと部屋に入って来て、今度はリディアの顔周りをクルクルと回ると、部屋のドアが勝手に開いて廊下へと飛んでいく。
(・・窓は開けられないけど、ドアは自分で開けられるのね・・)
黒鳥への謎は益々深まるばかりである。
「何だろう、私について来いってことかな・・」
(もしかして、モルトの居る場所に連れて行ってくれるのかな)
♢♢♢
思ったより、元居た部屋から離れてしまった。
それどころか、別の宮殿の中にまで入って行く。
仮面をつけて無いので、黒鳥を追い掛けるか躊躇したけれど、その度に戻って来てはリディアの周りを回るので、ここまでついて来てしまった。
(誰にも遭遇しませんように)
そう心の中で祈る。
幸い、歩いてきた廊下には人が居なかったし、鳥を見失わないように慌ててローブだけ持ってきたけれど、ここまで誰ともすれ違わなかったのが奇跡だ。
どうやら、トラビア王の居る本城には沢山の使用人がいるようだが、リディアの滞在している宮殿には基本的に清掃する人や、警備の人しか居ないようだ。それも最小限の人数しか配置していないようだった。
(ここ、何処だろう)
とある部屋の戸が薄っすらと開いており、黒鳥はその中へするりと入ってゆくので、リディアは思わず「えっ・・」と声がでた。
入って良い部屋なのか分からないので、躊躇していると、戸の上にある金の板に、〝勝利の間〟と刻まれていた。
こうした名前が付いた部屋は客人様が楽しめるよう、絵画等が飾られていると聞いたことを思い出し、中を確認しながら、ゆっくりと開ける。
カーテンが閉め切られているせいで、薄っすらとだけ日の光が入り込んでいる。そのせいか、ややうす暗い。
沢山の骨とう品、彫刻・絵画等均整のとれた品々が、静的で理知的な構成の美しさを損なわずに並べられているのが見える。
この中にモルトがいるのかと、近に聳え立っている彫刻の後ろなどを、身を低くして確認していると、不意に声をかけられた。
「ここが、何の部屋か分かるか?」
聞き覚えるのある声に、リディアはばっと立ち上がり、辺りを見渡す。
(今の声ーー室長?)
キョロキョロと視線を彷徨わせながら、部屋の奥へと歩みを進めた。
大きな骨とう品が並ぶ先に、大きな絵画の前にいる人影が、壁を背もたれにして寄りかかている。
どう見ても高級な品々ばかりだと言うのに、その人影はタバコに火をつけて口にくわえ始めた瞬間、リディアをここへ連れてきた黒鳥がカーテンをサァ・・と開けて、部屋の中に日が差す。
「・・・何でこんな所にいるんですか、室長」
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《作者からコメント》
消滅した悪役令嬢は、ひぐらしのなく頃にの「You」と言う曲をイメージして作ってたりします。
作成する時はいつも聞いてます。
良い曲なので、是非皆さまも聞いてみてください。
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