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第3章学園入学

ルイスが風邪引いた

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 結局、あれから教室に戻った私はルイスの方を向けなかった。

 皇太子が離れた所から深い溜息をついて私を見ているのは分かっていたけど、授業終了と共に令嬢にあるまじき速さで教室から出て行くを休み時間のたび繰り返し、昨日を終えた。

 幾らなんでもこれは無いと思いつつもどうにもならないまま

 次の日を迎えた。今日こそ何事も無かった様に振る舞おうと気合いを入れてヴェルネ公爵邸の扉を開いた瞬間。





 気まずいやらなんやら言ってる訳にもいかない事態が起きた。

 朝学校に行こうと馬車に乗ろうとしたところ、アウステル公爵家の馬車が家の前にいたのだ。

 何事か分からないうちに、促されるままに馬車に乗せられてそのままアウステル公爵邸まで運ばれて現在に至る。

 どうやら、ルイスが風邪引いたらしいのだけれど、私にその看病をして欲しいと爺やに泣き疲れた。

「いや何で?爺や以外にも使用人いるでしょう?私は元気だから学校行くよ。」

 ライザがそう突っ込みを入れると、ハンカチで目元を拭いながら爺やが言った。
「そ、そうおっしゃらず、お礼は致しますからこの通り、お願いします。
お願いしますライザ様、今頼れるのは貴女様だけなんです。」

 ホロホロと涙を流して頼み込んでくる爺やに、ライザはたじろいだ。

(…火事の時も思ったけど、もしかして私が爺やの頼みに弱い事を分かってやってるんじゃないでしょうね。)

「……だから、それは何故なの?こんなに使用人が、メイドから執事まで居るじゃない。」

 私が帰らないよう、出入り口にズラリと並んでいる使用人を示すと、爺やと使用人達は首を横に振った。

「ダメなんです。あの悪夢の日以来、ルイス様は眠る時誰も近付けないよう精霊の力で結界を張るのです。
それは自ら解いてくださらねば、部屋に入れない代物でして…わたくしだけは入れるのですが、先日再発したぎっくり腰が治らず…」

「それじゃあ、私も入れないんじゃ…。」

「いえ、それが。何度か〝他の者を入れる許可を〟とお声掛けしても、熱で意識が朦朧としておりまして返事がなく。

そこで思い出したのです。」

 嫌な予感しかしないけれど、一応聞いておく事にした。

「何を?」

「〝結界は爺やとライザが入れるようにしてある〟と申されていたのを思い出したのです。」

 何でだ。

 絶対いらないでしょ私とか。貴女が寝てる時間は来ないって言うのに。

 とにかく、意識が朦朧とする程具合の悪い状態を今ほぼ放置状態という事はわかったので、これ以上抵抗するのはやめて一先ずはルイスの部屋に行ってみた。

「お医者様も通せないってことよね。」

「そうなんです…。」

「まぁ、変わった病気でもなければ口頭で症状を言えば大丈夫なはずよ。事情を話せば処方箋を出してもらえるはず。
一応確認だけど、熱くらいは測ってるのよね?」

「それがですね、わたくしも中までは入れるのですが、触る事までは許して貰えず。
もしやライザ様なら大丈夫なのではとも思いまして。」

(触れられない?…と言う事は?)

「……じゃあ何?本当に何もしていないの?」


  ライザをじっと見つめていた使用人一同はその問いかけにコクリと頷いた。
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