身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式

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第3章

闇落ちにはさせない6

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 私が、全てに復讐を果たす?


 私が……ーー



 処刑台の上で、私に懺悔するフェリミアを見て、私はあの時。

 生まれて初めて、人への嫌悪と憎悪を覚えた。

 だから…ーー



『それ以上やったら、容赦しないんだから!!私が貴方達を殺してやるから!』



 自然と叫んだそれは、それ以上フェリミアを傷付けるなら、あの場に居た者全てに復讐してやると言う気持ちを、確かに孕んでいた。

 

 でも、まさか。
 あの時その言葉を聞いていた人が。


 私の他にあの言葉を覚えている人がーー…
 
 こんなにも、近くにいるなんて。


「いつから…」
「思い出したのは、つい昨日のことだ」
「昨日…は、だって。そんな、私に告白して…その時には何にも…何で…」

 そう言って見れば、困ったように眉根を寄せてカルロは視線を背けた。まるで、告白・・したことを恥じているように。

 その態度で気がついた。

 ーーカルロから告白されて、私がその告白から逃げたその後に思い出したと言うこと?


「悪かったな」

「え?」

「俺が告白あんなことしたから、おまえは相当不愉快な気持ちになったよな?我ながら…恥じているよ。どの面下げて物を言ってるんだってな」


 カルロは、目尻が赤くなっているのを隠したかったのか、片手で前髪をぐしゃりと握り、束の間沈黙してから小刻みに震える手をテリアの頬へと伸ばそうとした。

 しかし、その手は頬へ触れることもせず、次第にゆっくりとおろされた。

 今度は顔を上げて、視線を逸らさずテリアを真っ直ぐに捉える。

 何かを堪えるように、眉根を寄せ、しかし強がる口元は苦笑いを浮かべていた。


「長い間、苦しめた。きっとこれからも、その記憶はおまえを苦しめるんだろう。

なのに。
…ーーずっと…すまなかった」


 振り絞るみたいに出された声に、込み上げてくる気持ちが。抑えきれなくなった涙が、テリアの片目から、頬をつたい滑り落ちた。

 
 
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