身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式

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第2章

答えを待つ使用人達の会話 アレンside

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「自覚、させようとしなくても良かったんじゃないの?」

 ユラの問いかけにアレンは首を横に振った。

「無意味な努力をするつもりは、わたしにはない。伝えて置かなければ的外れな計画を立て続けるだけですから。」

「…そうだけど。」

「テリア様には、時間が無い。
迷っている時間も、丁寧な恋愛をする時間も。」

「……。来るのかしら、異世界の聖女。」

「……。分からないけど、来るだろう。」

「…、皇妃の離縁となると、様々な根回しと手続きがいるだろうし、確かに。

ゆっくり経過を見ている時間は無いわよね。」

「ぁあ。」

「でも、アレン。
テリア様がもし、此処に残りたいって言ったらどうするの?」

「それは…。わからない。
それを今からはっきりさせたかったと言うのもあるけど今回は…。」

「うん、〝それはあり得ないと思うわ〟って、言ってたわね、テリア様。」


「…。」
「本気でわからなくて、言ってると思う?」

「…さぁ…もしかすると、分かりたく無い・・・・・・・のかもしれない。どちらにしろ。

近々、事態は動かざるを得ないだろう。」

「……。そうね。」


 話をしている2人の後ろで、壁に備え付けられた、時計の針の動く音が、静かな空間で小気味良く響いていた。
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