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第2章
作戦の幕開け
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テリアは作戦決行日、気合いを入れて会場へと歩みを進めていた。
作戦に当たり、現在の状況を整理しておこう。
お見合い写真選定から始まり、カルロは素直なお年頃ではない事がわかった。
ついでに元々デリケートな部分もあるので、素直に女の子に興味があると言えないのだ。
そこで、私は考えた。自然な出会いを演出し、良い雰囲気に流せば良いのだ。
※考えたのはアレンとユラです。
題して〝トキメキ⭐︎メモリアル作戦〟
これは恋愛小説によく使われる手法で、今回ストーリーを綿密に練ってみた。
ステップ1.次期皇妃候補を私の友人としてカルロに紹介する。
効果→これは知り合いの友人と言うのがミソ。次回出会った時親しみやすい。
ステップ2.その後、偶然人気のない王宮のどっかで美男美女が遭遇。それは先程紹介された相手だった。
効果→既に顔見知りのため、少なくとも片方が乗り気なら会話が弾む。かもしれない。
舞踏会はまずこんな所で良いだろう。後はこれを繰り返してゆく。
取り敢えず、早めに済ませたいので計画遂行目標は1ヶ月もあれば相思相愛ハッピーエンドというシナリオだ。
(何でこんな面倒くさい事を私がしなくちゃいけないのかと、思わなくも無いけど。
あのカルロに任せてたら話進まないもんね。)
そんな訳で現在、皆さんが歓談タイムに入った頃、私は公爵令嬢ロザリーを連れてカルロに紹介した。
「カルロ陛下、ご紹介します。こちら私の友人で、テンペル公爵令嬢 ロザリー・テンペラント様です。」
ロザリーは礼儀正しく美しい淑女の礼をして、朗らかにカルロへ笑いかけた。
「どうぞお見知りおきください。」
内心ハラハラしながらも、チラリとカルロの様子を見ていると、丁寧では無いが、邪険にしている様子もなく挨拶してくれた。
「ぁあ。テリアをよろしく頼む。」
(よし、まず掴みは良い感じ!)
至って普通に会話しただけなのだが、自分との出会いや釣書の拒絶を考えるとカルロが元々女性にきつく接するタイプである事を懸念したが、そうではない。
とにかく、少なくともこのご令嬢は邪険にしないのだ。
ー・やはりアレンの考察した通り、写真で選ばせるより、直接会話させた方が話は早そうだ。・ー
そこまで考えて、テリアはふと虚しくなってきた。
(…ほんと、何で私だけがこんな苦労をしているんだろう。
元々はあんたの望みであり、あんたの為にもなる事なんだからもっと積極的に後任皇妃探しなさいよ。)
心に少し余裕が出来ると、カルロへの愚痴が込み上げてきた。
思い返すと、そもそもこの人が私にお願いした事で、後任皇妃探しを私は手助けのみをするつもりだった。
当初、言い出しっぺのカルロが自分で後任皇妃をちゃんと見つけて『そろそろ離縁の次期が来た。おまえは子爵家へ帰って良いぞ。』と言い出すだろうと想像していた私は、今回思いの外労力を割いた事により、心底疲れた。
(これで決めなかったら、…取り敢えず私はキレる。)
作戦に当たり、現在の状況を整理しておこう。
お見合い写真選定から始まり、カルロは素直なお年頃ではない事がわかった。
ついでに元々デリケートな部分もあるので、素直に女の子に興味があると言えないのだ。
そこで、私は考えた。自然な出会いを演出し、良い雰囲気に流せば良いのだ。
※考えたのはアレンとユラです。
題して〝トキメキ⭐︎メモリアル作戦〟
これは恋愛小説によく使われる手法で、今回ストーリーを綿密に練ってみた。
ステップ1.次期皇妃候補を私の友人としてカルロに紹介する。
効果→これは知り合いの友人と言うのがミソ。次回出会った時親しみやすい。
ステップ2.その後、偶然人気のない王宮のどっかで美男美女が遭遇。それは先程紹介された相手だった。
効果→既に顔見知りのため、少なくとも片方が乗り気なら会話が弾む。かもしれない。
舞踏会はまずこんな所で良いだろう。後はこれを繰り返してゆく。
取り敢えず、早めに済ませたいので計画遂行目標は1ヶ月もあれば相思相愛ハッピーエンドというシナリオだ。
(何でこんな面倒くさい事を私がしなくちゃいけないのかと、思わなくも無いけど。
あのカルロに任せてたら話進まないもんね。)
そんな訳で現在、皆さんが歓談タイムに入った頃、私は公爵令嬢ロザリーを連れてカルロに紹介した。
「カルロ陛下、ご紹介します。こちら私の友人で、テンペル公爵令嬢 ロザリー・テンペラント様です。」
ロザリーは礼儀正しく美しい淑女の礼をして、朗らかにカルロへ笑いかけた。
「どうぞお見知りおきください。」
内心ハラハラしながらも、チラリとカルロの様子を見ていると、丁寧では無いが、邪険にしている様子もなく挨拶してくれた。
「ぁあ。テリアをよろしく頼む。」
(よし、まず掴みは良い感じ!)
至って普通に会話しただけなのだが、自分との出会いや釣書の拒絶を考えるとカルロが元々女性にきつく接するタイプである事を懸念したが、そうではない。
とにかく、少なくともこのご令嬢は邪険にしないのだ。
ー・やはりアレンの考察した通り、写真で選ばせるより、直接会話させた方が話は早そうだ。・ー
そこまで考えて、テリアはふと虚しくなってきた。
(…ほんと、何で私だけがこんな苦労をしているんだろう。
元々はあんたの望みであり、あんたの為にもなる事なんだからもっと積極的に後任皇妃探しなさいよ。)
心に少し余裕が出来ると、カルロへの愚痴が込み上げてきた。
思い返すと、そもそもこの人が私にお願いした事で、後任皇妃探しを私は手助けのみをするつもりだった。
当初、言い出しっぺのカルロが自分で後任皇妃をちゃんと見つけて『そろそろ離縁の次期が来た。おまえは子爵家へ帰って良いぞ。』と言い出すだろうと想像していた私は、今回思いの外労力を割いた事により、心底疲れた。
(これで決めなかったら、…取り敢えず私はキレる。)
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