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第2章
理由
しおりを挟むとにかくカルロは理想が高いようで、何の杞憂もなく選びたい放題だと言うのにお見合い写真の釣書全て却下された。
「何でかしら?何が問題なの?どう言う理想かも教えてくれない。こっちは必死なのに、あの後ずっとむっつりした顔して教えてくれなかったし。」
折角アレンとユラが王宮内の内情を探って色々考えてくれたと言うのに。
テリアは同性であるアレンに問いかけた。
「…これは、あれしか有りませんね。」
難しい顔しているアレンに、ユラがハッと何か気付いた顔をしている。
「?何、何なの?気付いた事あるならいって!」
「しかし、これをテリア様に申し上げるのはどうも…。」
「いいから!命が!私の首が掛かってるのよ?」
「……しかし、いや、背に腹は変えられませんね。」
随分と遠回しに言い淀んでいるアレン。余程言うづらい事なのだろう。その様子を見ているユラの額からも汗がつたっていた。その様子に、テリアは色々と想像した。
「も、もしかして。…カルロはーー…」
「…はい、カルロ陛下は、童貞なんですよ。」
「へ?ど…?」
(同性が好きって言うことかと思った。違うのか…危ない変な恥をかくところだった。)
「つまり、女性経験が無く、年齢的にもそう言うお年頃なんです。恥ずかしくて女性と話せない。興味あってもないフリをしてしまう。」
「何それ?興味あるなら何で興味ないフリするの?」
「思春期童貞の中に良くいるあるあるな事なんです。この場合女性関係を前に進めるには方法は1つです。」※アレンの主観です
答えがあるのか!心強い!
「な、何!?」
「好みの女性から告白される事ですね。女性から積極的に行ってもらいましょう。」
「……と言う事は?」
「カルロ陛下の事を昔から好きな人を何人か見繕いましたので、まずはテリア様からお茶会を開いてお膳立てするのに適したご令嬢を選んでみてはどうでしょう。」
言うや否や、お見合い写真が速やかに数枚机に並べられた。
我ながら私の執事は優秀だったようだ。カルロへの打診が上手く行かなかった時の、次の手を考えてくれているとは。
「カルロこんな人気あったの?」
「あの見た目ですからね。
宮殿内の派閥争いが芳しく無かったので親が反対して居たようですが、これらの令嬢達は前々からカルロ陛下にアタックしたくても出来なかった方々。
最近は親も協力的になり、用事も無いのに王宮に来る事が多々あるとか。」
そんな訳で次の作戦が決まった。取り敢えずこの令嬢達を呼んでお茶会をしよう。
「ただ、お茶会をするとテリア様は少々厳しい目に合うかもしれませんね…。まぁ、テリア様に辛く当たる方には諦めて頂いて好意的な方を当てがいましょう。」
良い子を当てがえば、確かに我が家への変な干渉や、私を嵌めて断罪するって可能性はないだろう。王宮は怖いところ。私の妹は誰かに嵌められて断罪されたのだからそこを選べるなら慎重に選んだ方が良いだろう。
誰でもカルロの相手にして良いわけではない。
それは、私の為でもあるし、カルロのためにもなるはず。
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