身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式

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第2章

本殿での初夜 

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「あ~、夜風がきっもちぃ~♪」

  テリアは夜風に靡き揺らめく髪をサラリと手に通して弾いた。

 本殿から見える景色は、王宮の片隅にいた頃とはまるで違った。暖かみのある橙色の光が点在して道の先にある噴水を中心に灯されていた。夜空を反射して大きな噴水は音を立てずに水面を揺らめかせていた。

(オシャレだなぁ、贅沢な気分…)


「おっ…!!!」

 視界の端から、咎める様な声が聞こえてきたので視線を横にやると、若干の間隔を開けて設置されている隣室のバルコニーにカルロがいた。
 
 口をパクパクとさせながら此方を指差している。

「?」

 どうやら、私を見ながら驚愕している様子だったので、カルロが何に驚いているのか小首を傾げて見ると片眉をピクリと釣り上げてから深い溜息をつかれた。

「…何をしている?」

「何って、夜景を見ているわ。中々の絶景ね」

「そうじゃない、おまえは何処の上に立ってんだ?幽霊か?」


 ぁあ、なんだ。手摺の上に裸足で立っている事に驚いていたのね。

「靴履いたら、手摺汚れちゃうよ?
まぁ確かに、際どいわよね。
本来足では無くて、手を置くための所に靴で乗るべきか」
「足場じゃないってわかってるなら、降りろよ!」

 本当にカルロは怒りっぽい。次に会ったら、何で怒っていたのかちゃんと話を聞こうと思ったのに。新しい事で怒り出してしまったようだ。

 
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