62 / 121
第1章
義弟の訪問
しおりを挟む
今日は勉強の休息日。羽を伸ばして忍んで街中にでも行こうと思っていたけれど、突然の来訪者がテリアの宮へ訪問して来たので急遽会う事になった。
相手はセリウム第2王子5歳で、義姉が出来て嬉しいのだとか。
「ずっと来ようと思ってたんだけど、ボクとお義姉様のいる宮は真反対でしょう?なかなかこれなくて……。」
そう可愛くしょんぼりしているのを見ていると、寧ろこちらから挨拶に行ってあげたらよかったかなぁと思う。
(それにしても…。)
ユラとアレンに目配せする。
2人とも〝余計な事言うんじゃない〟と視線が訴えかけてくる。
(やっぱり聞いてみたいけどダメか…でも気になる。)
目の前にいるセリウムの後ろには10人近くの若いメイドがいる。
侍女ではなくて、キャピキャピした感じの空間を感じる。
(…いやいや、変な邪推してはダメよね。相手はまだ5歳なんだよ、テリア。
きっと何か事情があるのよ。)
テリアの視線を受けて、セリウムは答えてくれた。
「ぁあ、この子達?皆ボクのお気に入りなんだ。老婆や男に居られるより居心地良いでしょ?」
(……。今時の子は色々進んでるのねぇ。)
感心しているテリアに、セリウムは笑顔で今度は自分の質問に答えてくれと言わんばかりに聞いて来た。
「ところで、義姉様は2人しか世話係がいないの?」
「ええ、そうよ。正直2人でも普段は手が余っちゃうくらい暇だわ。」
「そうなんだぁ、何でこの2人を選んだの?」
「2人とも、元いた子爵家から仕えてくれているの。優秀なのよ?」
「へぇ~」
感嘆の声を上げてくれる幼子相手に胸を張る。その様子を見てアレンもユラもやれやれと言った様子だ。
この後普通に会話して、最後にセリウム王子はこう言った。
「今度はボクの宮殿へ遊びに来てよ!
とっても広いんだよ。ここよりずぅっと!」
幼子の言う事だ。悪気は無いんだろうけれど少し引っかかる。
ここの宮は規模で言えば1番小さい奥まった位置にあると思う。気にした事がないのでそのままながした。
「そうなんですか、それは見てみたいですね。」
社交辞令を初めて述べたテリアに成長が垣間見えたその瞬間、セリウムは目をキラキラさせて嬉しそうに満面の笑みで言った。
「本当?じゃあさ、明日来てよ!」
「え?」
「…いや?」
潤んだ瞳に、悲しそうな顔をされ、コテンと首を傾げた子供に罪悪感がわいた。
「いえ、いやとかでは。じゃあ明日のこの時間に行きますね。」
「やったぁ!あ、そうだあのね、来る時は女の使用人だけしか連れて来たらダメだよ?」
「?何故ですか?」
「ボクの宮にはね、偉い人も出入りするから、兄上のお妃様が変な噂されたら困るでしょ?」
(なんか、カルロもそんな事言ってたなぁ…小さい子でも分かる程、王宮はそういう目が厳しいのね。
ここは助言に従っておくか。)
「わかりました。では明日。予定が終わり次第お伺いします。」
こうして、テリアは何故か義弟と交流を深める事になった。
相手はセリウム第2王子5歳で、義姉が出来て嬉しいのだとか。
「ずっと来ようと思ってたんだけど、ボクとお義姉様のいる宮は真反対でしょう?なかなかこれなくて……。」
そう可愛くしょんぼりしているのを見ていると、寧ろこちらから挨拶に行ってあげたらよかったかなぁと思う。
(それにしても…。)
ユラとアレンに目配せする。
2人とも〝余計な事言うんじゃない〟と視線が訴えかけてくる。
(やっぱり聞いてみたいけどダメか…でも気になる。)
目の前にいるセリウムの後ろには10人近くの若いメイドがいる。
侍女ではなくて、キャピキャピした感じの空間を感じる。
(…いやいや、変な邪推してはダメよね。相手はまだ5歳なんだよ、テリア。
きっと何か事情があるのよ。)
テリアの視線を受けて、セリウムは答えてくれた。
「ぁあ、この子達?皆ボクのお気に入りなんだ。老婆や男に居られるより居心地良いでしょ?」
(……。今時の子は色々進んでるのねぇ。)
感心しているテリアに、セリウムは笑顔で今度は自分の質問に答えてくれと言わんばかりに聞いて来た。
「ところで、義姉様は2人しか世話係がいないの?」
「ええ、そうよ。正直2人でも普段は手が余っちゃうくらい暇だわ。」
「そうなんだぁ、何でこの2人を選んだの?」
「2人とも、元いた子爵家から仕えてくれているの。優秀なのよ?」
「へぇ~」
感嘆の声を上げてくれる幼子相手に胸を張る。その様子を見てアレンもユラもやれやれと言った様子だ。
この後普通に会話して、最後にセリウム王子はこう言った。
「今度はボクの宮殿へ遊びに来てよ!
とっても広いんだよ。ここよりずぅっと!」
幼子の言う事だ。悪気は無いんだろうけれど少し引っかかる。
ここの宮は規模で言えば1番小さい奥まった位置にあると思う。気にした事がないのでそのままながした。
「そうなんですか、それは見てみたいですね。」
社交辞令を初めて述べたテリアに成長が垣間見えたその瞬間、セリウムは目をキラキラさせて嬉しそうに満面の笑みで言った。
「本当?じゃあさ、明日来てよ!」
「え?」
「…いや?」
潤んだ瞳に、悲しそうな顔をされ、コテンと首を傾げた子供に罪悪感がわいた。
「いえ、いやとかでは。じゃあ明日のこの時間に行きますね。」
「やったぁ!あ、そうだあのね、来る時は女の使用人だけしか連れて来たらダメだよ?」
「?何故ですか?」
「ボクの宮にはね、偉い人も出入りするから、兄上のお妃様が変な噂されたら困るでしょ?」
(なんか、カルロもそんな事言ってたなぁ…小さい子でも分かる程、王宮はそういう目が厳しいのね。
ここは助言に従っておくか。)
「わかりました。では明日。予定が終わり次第お伺いします。」
こうして、テリアは何故か義弟と交流を深める事になった。
0
お気に入りに追加
2,115
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。


初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる