身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式

文字の大きさ
上 下
58 / 121
第1章

皇太子の婚活に励もうと思います

しおりを挟む

 あれから数日、あっという間に時が流れた。
 色々あったが、後回しにしていた未来の公開処刑回避の為、聖女出現前に離縁する活動再開しようと思う。

 まずは皇太子の後添い探しをそろそろ開催しようと思ったテリアは、皇太子に直接聴取する事にした。

「ねぇねぇ、カルロ皇太子。今暇でしょ?」

 執務室に顔を出したテリアを見て、手に持っていた書類を置く。

 「今から休憩だな。なんだよ?」
「じゃあさ、前にした約束、そろそろ私達で作戦決めようと思うの!」
「何か約束したか?」

  やだ、時が経ちすぎて忘れていらっしゃるわ。

「初夜に約束したじゃない!」

 おっきな声でテリアがそう言うと、近くに居たスピアが気を利かせて「お飲み物をお持ちしますね。」と言って退散した。

「全く覚えてない。」

「貴方の後ろ盾になる家柄の令嬢との再婚話よ!私探すのに協力すると言ったでしょ?」

「あー…。そんな話も、あったな。」
「あったなって、あんな必死に語っておいて。全く…そう言う訳で打ち合わせに来たのよ。」

 ノートを広げて意気込むテリアとは対照的に、カルロの覇気はない。

「…俺今そんな時間ないんだよな。」
「いや、時間割くべき重要案件でしょう。これ以上ない。」

 カルロとアリスティナの為にも、聖女が現れるまでの皇太子妃は、ある程度王宮で影響力を持つ地位のある者であるべきだ。
 そうしたら、妹のように理不尽な処刑もなかったと思うし。
 
「取り敢えず、良いと思う家柄のご令嬢をね、3人見繕ってみたの。
どう?」

  絵姿を3つ差し出して並べる。この3つは家柄だけで選ぶなら1番良いところだ。それぞれ王宮で影響力のある3代公爵家で未婚のご令嬢。

「…これ、おまえが選んだのか?」

「いーえ!私は王宮の難しい事わからないから、アレンとユラに調査してもらった結果よ!」

「…そういや、おまえのアレンって執事さ。」
「うん。」
「皇太子付の執事にしてやるって言ってんのに断ってんだけど。もしかして、おまえあいつと……でき…」
「…でき?」

  何かを言いかけて、もにょる皇太子にテリアが首を傾げた。
 そして事の大きさに気が付いた。

「いや、ていうか何、人の執事勝手に引き抜こうとしてるんですか!」
「あんな若いの執事につける皇太子妃なんかいるか!周りに何て言われるか…」
「どうせ離縁するんだから、周りなんかどーっだっていいですよね?今度そんな事したら怒りますよ!何も協力しませんからね!」

 あーもう!人が協力してやろうと思っているのにとんだ裏切りが発覚した!

 やっぱり油断ならないわ、この皇太子。先日は気を利かせてサンドイッチとかくれたから、ちょっと絆されちゃったけどね。

 スピアがコーヒーを持ってきてくれたけれど、入れ違いにテリアは怒って執務室を出て行った。

しおりを挟む
感想 109

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

苺のクリームケーキを食べるあなた

メカ喜楽直人
恋愛
その人は、高い所にある本を取りたくて本棚と格闘しているサリを助けてくれた人。 背が高くて、英雄と称えられる王族医師団の一員で、医療技術を認められて、爵位を得た素晴らしい人。 けれども、サリにだけは冷たい。 苺のクリームケーキが好きな教授と真面目すぎる女学生の恋のお話。 ムカつく偏屈ヒーローにぎりぎりしながら、初恋にゆれるヒロインを見守ってみませんか。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路

八代奏多
恋愛
 公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。  王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……  ……そんなこと、絶対にさせませんわよ?

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

処理中です...