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第1章
義妹とお出掛けする事にしました8
しおりを挟む暫くの沈黙の後に、若干震える声でカルロは再び口を開いた。
「こ…、皇太子妃の執事にこんな若い男を雇って良いのか?」
「え。若いとダメなんですか?」
キョトン顔をしているテリアをよそに、アレンは皇太子の言いたい事を分かりつつも、しれっとした顔で答えた。
「…恐れながら、申し上げます。
わたしは皇太子殿下の承認印を賜り宮殿の皇太子妃殿下付きの執事になったと聞き及んでおりますが…。」
「ぁ…。」
何か心当たりがあるのか、カルロの額から汗が吹き出して、目が泳いでいる。
聞いてる分には何が何だかわからないがテリアは主人としてアレンを庇うようにカルロとの間に立つ。
「皇太子殿下。アレンは歳こそ若いですが、長年私に仕えてくれているとても優秀な忠臣です。」
「…っ。そ、そんな事、別に興味はない!
もういい、さっさと行け!!」
そう吐き捨てるように声を上げて言うと、今度こそ踵を返して勢い良く歩いてゆく。
カルロを見送りながらも、テリアの頭の中はクエスチョンマークで一杯だった。
(…何なんだろう。親切に色々手配してくれたと思ったら、よく分からない所に突っかかろうとして来たり。
まぁ、兎に角これで外出許可が降りたから良いか。)
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