32 / 121
第1章
義妹とお出掛けする事にしました3
しおりを挟む
ーーーーー
ーーーーーーー
次の日も、テリアは瑠璃宮を訪れた。
テリアの中で出した結論と共に。
「アリスティナ姫、王宮から出ましょう。」
「え?」
驚いてぱちぱち瞬きを繰り返しているアリスティナに、目の前に置かれた紅茶を一気に飲み干したテリアは、ティーカップをガチャンとおきそうになって、途中で我にかえってそっと置く。
「前に王宮から出たいって言ってたじゃないですか!
あれは、自由な外の景色を見て、こう…元気になりたかったんですよね!」
「いや…あ、あれは……。」
「確かに、感性が敏感である猫の獣人の姫様が、得体の知れないこと考えてる人達がウヨウヨいる所に閉じ込められたら、気が滅入るのもわかります。
病は気からと言いますし。
外に出るという方法も一理あります。」
「でも、もし外出先で私に万が一の事があったら…、テリア様が…ー」
「大丈夫、外の空気吸えば元気になりますよ。」
アリスティナは戸惑いながら、テリアの隣でげっそりしている執事と侍女を見つめる。
ユラは首を横に振って、アリスティナの耳元で小さい声で言った。
「止めるだけ無駄です。
私達も昨日からこれを聞いて散々止めました。」
呆然としているアリスティナに、風呂敷を広げてテリアは服を取り出した。
「はい!外に出るには身軽な格好ね、ユラ、アリスティナ姫の着替えを手伝ってあげて!」
「かしこまりました。」
テリアはアレンをつれて、一旦外に出て身支度を整えるのを待った。
その間、瑠璃宮殿の廊下にかかる写真を指差しながらはしゃいでいる。
「見てアレン、この人髭がへんだわ。でもかなり念入りにセットしないとこの形は無理よね…。」
「そんな事より、もう一度聞きますが本当に何をしようとしてるのか分かってますか?」
「わかってるわよ、でもこのまま何もしないなんて有り得ないわ。可能性があるなら試すべきよ。」
.
「貴方は、人の事に構ってるほど余裕は無いのも知っていますか?
ユラとわたしも危険なのですが。」
「あら、こんな私と共に宮殿に来ると、覚悟を決めたのではなかったの?
怖いなら、今からでも子爵家に戻すよう手配するわ。」
にやりと笑うテリアの顔に、アレンは目を細めて口角を上げた。
「ー…ご冗談を。
我儘をお申し付けくださりこの上なき誉です。テリアお嬢様。」
ーーーーーーー
次の日も、テリアは瑠璃宮を訪れた。
テリアの中で出した結論と共に。
「アリスティナ姫、王宮から出ましょう。」
「え?」
驚いてぱちぱち瞬きを繰り返しているアリスティナに、目の前に置かれた紅茶を一気に飲み干したテリアは、ティーカップをガチャンとおきそうになって、途中で我にかえってそっと置く。
「前に王宮から出たいって言ってたじゃないですか!
あれは、自由な外の景色を見て、こう…元気になりたかったんですよね!」
「いや…あ、あれは……。」
「確かに、感性が敏感である猫の獣人の姫様が、得体の知れないこと考えてる人達がウヨウヨいる所に閉じ込められたら、気が滅入るのもわかります。
病は気からと言いますし。
外に出るという方法も一理あります。」
「でも、もし外出先で私に万が一の事があったら…、テリア様が…ー」
「大丈夫、外の空気吸えば元気になりますよ。」
アリスティナは戸惑いながら、テリアの隣でげっそりしている執事と侍女を見つめる。
ユラは首を横に振って、アリスティナの耳元で小さい声で言った。
「止めるだけ無駄です。
私達も昨日からこれを聞いて散々止めました。」
呆然としているアリスティナに、風呂敷を広げてテリアは服を取り出した。
「はい!外に出るには身軽な格好ね、ユラ、アリスティナ姫の着替えを手伝ってあげて!」
「かしこまりました。」
テリアはアレンをつれて、一旦外に出て身支度を整えるのを待った。
その間、瑠璃宮殿の廊下にかかる写真を指差しながらはしゃいでいる。
「見てアレン、この人髭がへんだわ。でもかなり念入りにセットしないとこの形は無理よね…。」
「そんな事より、もう一度聞きますが本当に何をしようとしてるのか分かってますか?」
「わかってるわよ、でもこのまま何もしないなんて有り得ないわ。可能性があるなら試すべきよ。」
.
「貴方は、人の事に構ってるほど余裕は無いのも知っていますか?
ユラとわたしも危険なのですが。」
「あら、こんな私と共に宮殿に来ると、覚悟を決めたのではなかったの?
怖いなら、今からでも子爵家に戻すよう手配するわ。」
にやりと笑うテリアの顔に、アレンは目を細めて口角を上げた。
「ー…ご冗談を。
我儘をお申し付けくださりこの上なき誉です。テリアお嬢様。」
0
お気に入りに追加
2,115
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。


【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

転生令嬢はのんびりしたい!〜その愛はお断りします〜
咲宮
恋愛
私はオルティアナ公爵家に生まれた長女、アイシアと申します。
実は前世持ちでいわゆる転生令嬢なんです。前世でもかなりいいところのお嬢様でした。今回でもお嬢様、これまたいいところの!前世はなんだかんだ忙しかったので、今回はのんびりライフを楽しもう!…そう思っていたのに。
どうして貴方まで同じ世界に転生してるの?
しかも王子ってどういうこと!?
お願いだから私ののんびりライフを邪魔しないで!
その愛はお断りしますから!
※更新が不定期です。
※誤字脱字の指摘や感想、よろしければお願いします。
※完結から結構経ちましたが、番外編を始めます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる