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第1章
悲しき物語1
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結婚式の翌日、とうとう皇太子妃になってしまった私は、面会出来る事となったフェリミアとその執事アレン、そして私の侍女ユラで作戦会議がはじまった。
開口一番に口を開いたのは、まさかの執事のアレンだ。
「このままでは、まずいですね。処刑まっしぐらです。」
「な…何てこと言うのよ!話聞いてた?
私は確かに〝妃〟になりましたよ。
リーチ来てるかもしれない。
だけど、カルロ皇太子に穏便に離縁する話まで持って行ってんのよ。何処がまっしぐらよ!」
私はあの初夜で会話した内容、後になってから実はかなり手柄を立てていたのではないだろうかと思い至った。
なんせ向こうから皇妃になる前の離縁要請がきたからね。
「…皇太子が離縁を望んでも出来ない現状で、そんな約束した所で、今の所事態に変わりありません。
変わるなら現状既に離縁されて問題解決しておりますから。」
「…ぐっ。」
テリアが言葉に詰まったところで、フェリミアがおずおずと話に入ってきた。
「テリアお姉様、それと…伝えておかなくてはいけない事が…。」
「伝えたい事?何かしら。」
雰囲気的に良い話ではなさそうだ。
「お姉様のお話で出てくる、カルロ皇太子の妹君、アリスティナ姫様なんですが…私は会ったこと無いのです。
と言うか、前世で会えなかったのです。」
「ぁあ、じゃあ今度会えるか聞いてみるよ。凄く可愛いのよ!猫耳が白くて。
きっとフェリミアも友達になれるわ!」
テリアがニコニコして言うと、フェリミアは視線を下げて、言葉をつまらせた。
見かねたアレンが、その続きを言う。
「テリアお嬢様、アリスティナ姫はもう長くはありません。」
「え?」
「本来であれば、フェリミア様が結婚する前日にお亡くなりになられていたとか。」
「で…も、結婚する前日って…もう結婚式は終わってるよ?」
胸元にある、アリスティナに貰ったペンダントを握る。これを私に渡して、元気に笑っていた姿が目に浮かぶ。
「何が原因で寿命が伸びたのかは、わかりませんが…そうは言っても。
どうも病状の探りを入れたところ、誤差の範囲でしょう。
いつ何があっても可笑しくは無いそうです。」
開口一番に口を開いたのは、まさかの執事のアレンだ。
「このままでは、まずいですね。処刑まっしぐらです。」
「な…何てこと言うのよ!話聞いてた?
私は確かに〝妃〟になりましたよ。
リーチ来てるかもしれない。
だけど、カルロ皇太子に穏便に離縁する話まで持って行ってんのよ。何処がまっしぐらよ!」
私はあの初夜で会話した内容、後になってから実はかなり手柄を立てていたのではないだろうかと思い至った。
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「…皇太子が離縁を望んでも出来ない現状で、そんな約束した所で、今の所事態に変わりありません。
変わるなら現状既に離縁されて問題解決しておりますから。」
「…ぐっ。」
テリアが言葉に詰まったところで、フェリミアがおずおずと話に入ってきた。
「テリアお姉様、それと…伝えておかなくてはいけない事が…。」
「伝えたい事?何かしら。」
雰囲気的に良い話ではなさそうだ。
「お姉様のお話で出てくる、カルロ皇太子の妹君、アリスティナ姫様なんですが…私は会ったこと無いのです。
と言うか、前世で会えなかったのです。」
「ぁあ、じゃあ今度会えるか聞いてみるよ。凄く可愛いのよ!猫耳が白くて。
きっとフェリミアも友達になれるわ!」
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見かねたアレンが、その続きを言う。
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「え?」
「本来であれば、フェリミア様が結婚する前日にお亡くなりになられていたとか。」
「で…も、結婚する前日って…もう結婚式は終わってるよ?」
胸元にある、アリスティナに貰ったペンダントを握る。これを私に渡して、元気に笑っていた姿が目に浮かぶ。
「何が原因で寿命が伸びたのかは、わかりませんが…そうは言っても。
どうも病状の探りを入れたところ、誤差の範囲でしょう。
いつ何があっても可笑しくは無いそうです。」
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