身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式

文字の大きさ
上 下
26 / 121
第1章

朝の目覚めカルロ視点

しおりを挟む


 チュンチュン…


 柔らかくてあったかい。フワフワしてるし良い匂いがする。俺は布団をぎゅうぎゅう抱きしめた。いつもの布団よりかなり心地よい

 何でか久々に昨夜は深く寝れたのか…俺は。

 目をうっすら開けると、そこには艶々の白磁のような肌をした綺麗な顔に、目を閉じてる事でピンクゴールドの長い睫毛がより強調されており、プルンとして仄かに赤い唇を薄く開いて、呑気に寝息をたてる無防備な寝顔が間近にあった。

 横になっているせいで、白いネグリジェの中身が見えそうだ。

「……っ!」
 
 さっき布団だと思ってぎゅうぎゅう抱きしめていたのはテリアだったことを認識すると、女性経験のないカルロは頭にカッと血が昇る。

 一気に目が覚めたカルロは慌てて腕を引っ込める。

(何でこいつ此処に…っ。そういや、昨日初夜だったっけ?)


「え?何??もう朝?」

 急に枕にしていたものが無くなって、テリアは目が覚めてしまった。

 ゆっくりとその身を起こして目を擦っている。

 ネグリジェのスカートが太腿の付け根まで捲れ上がって白い太腿が露わになっている事にも気付かずに、呑気に大きく伸びをして欠伸をしていた。

 さっきの抱き心地がまだ鮮明で、心臓の音がうるさい。

(こいつ、見た目だけは本当良いんだよな…)

「おまえな、もうちょっと…」

「ん?うん…」

 フワフワしている返答に、はぁっとため息をついた。
(目覚めが悪いのか、今何言っても無駄なやつだな。)

「…て、おい!何してんだおまえ!」

 ネグリジェを脱ぎ始めたテリアに驚いて手を掴んだ。

「何って、着替え…」

「ここで脱ぐな!
おまえ、一応貴族出身だろーが!
いつも使用人にやらせてないのか!?」

(…下着が見えてしまった…。)

「んんん…朝から煩いなぁ、アレンは…はいはーい。」

「あ?」

(アレンって誰だよ。)
しおりを挟む
感想 109

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました

さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア 姉の婚約者は第三王子 お茶会をすると一緒に来てと言われる アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる ある日姉が父に言った。 アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね? バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

職業『お飾りの妻』は自由に過ごしたい

LinK.
恋愛
勝手に決められた婚約者との初めての顔合わせ。 相手に契約だと言われ、もう後がないサマンサは愛のない形だけの契約結婚に同意した。 何事にも従順に従って生きてきたサマンサ。 相手の求める通りに動く彼女は、都合のいいお飾りの妻だった。 契約中は立派な妻を演じましょう。必要ない時は自由に過ごしても良いですよね?

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...