身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式

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第1章

マリッジブルーのちにバッタリしました2

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 そんな訳で抜道探し始めて見たのだが、マリッジブルーで疲れている事もあり早々に切り上げる事にした。

「だめね、さっきの話聞いたら尚更酷いマリッジブルーになってしまったわ。」

「申し訳ありません。」
  
  疲れた私は、庭園に設置されている椅子に腰掛けて休憩する事にした。
 (フェリミアはこんな中でどうやって過ごしていたんだろう。アリスティナさまとは話した事あるのかな?

あ、そうだ。今から瑠璃宮行って癒されてこようかな。)



「お兄様、あちらに行きたいです。」


 鈴を転がしたような声がした方を向くと、車椅子に乗っているアリスティナと、それを押しているカルロがいた。
 カルロはあからさまに〝げっ〟と言う顔をした。

「アリス、この先はダメだ。人がいる。」

「お兄様も知ってるでしょ、私鼻はきくほうなの。大丈夫。」



(やばい、この間瑠璃宮行ったのがバレる。)


 気付かないフリで反対の景色を見ている体勢をとっているテリアに、追い討ちをかけるようにアリスティナが普段小さいはずの声のボリュームを上げてきた。


「テリア様ー!
私です!アリスティナです!お嫁入り前にご挨拶に来ました!」

(元気そうで何より。)

 そろりと振り返ると、目をまん丸くしてアリスティナを見ているカルロと、猫耳をピコピコさせながら笑顔がはち切れんばかりで手を振っているアリスティナがいた。

 流石に気付かないフリは無理そうだ。

「ま…ぁ、アリスティナ姫、ご機嫌様。」

 失礼な無いようにご挨拶をする。
 カルロはこちらに車椅子を押してきつつも、まだ驚いた顔をしている。

 私の前で車椅子を止めると、ソワソワしはじめた。

「アリス、体調は平気か?」

「はい!今日はとても調子が良いです!」

 アリスティナはちらりと、ユラを見て「流石テリア様の侍女さんね。」とまた猫耳をピコピコさせながら嬉しそうだ。 

 何もしてないのに褒められたユラも満更でなさそう。

「どうしましたか?
私からまた会いにいきましたのに…」

「今日はご結婚祝いを持ってきたんです。
お手を出してください。」

 言われるままに、そろりと手を出すと、花びらの模様が入ったペンダントを手渡された。
 瑠璃宮と同じくとても良い香りがした。
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