身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式

文字の大きさ
上 下
23 / 121
第1章

マリッジブルーのちにバッタリしました1

しおりを挟む

 完全にマリッジブルーに突入してしまったテリアは、部屋に篭って布団を被っていた。

 幸せな結婚生活が思い浮かばないどころか、大体知ってるから。この結婚不幸に終わるから。
 何も無くてもマリッジブルーなのに未来から帰ってきてわざわざ不幸な結婚とわかってるのに、にこにこして皆んなに〝ありがとう、幸せになります〟って態度とらなきゃいけないの?

 色々キツイ。

 布団から出てこないテリアに、ユラは王宮で集めたカルロの情報を今後の為にと懸命に教えてくれているがブルーが深すぎて大半聞き流す。

 ユサユサと揺さぶられながら、「ここからは絶対聞いてください!」と布団を剥がされた。

「どうやら、王宮はアリスティナ姫が獣人である事に嫌悪感を持っている者が多いようです。」

「ん?猫耳が似合うことへの嫉妬か。深い闇ね…」

「其れもない訳じゃないでしょうが…

とにかく、お立場の弱いアリスティナ姫は生まれてからずっと、体も弱く危険な容態だったにも関わらず、皆気にとめるどころかずさんな医療体制だったとか。

今生きているのが不思議な程までの状態に一時なったそうです。
その時の後遺症で歩けなくなったのだとか。」

「嫉妬の闇深すぎないかしら?…酷いわね。何それ。」

「(テリア様に獣人は王都で奴隷とか差別の対象とか説明してもなかなか理解追いつかなくて話進まないからいっかそれで。)

ともかく、そんなアリスティナ様のお立場を皇太子であるカルロ様が気にかける事で、
使用人達はきちんと対応せざるを得なったようなのです。

ですが、カルロ皇太子自身も元は妾腹で弟君が生まれてからは特にお立場が危ういとか。

そうなるとアリスティナ様が再び不遇な扱いになってしまいます。

だから、自分の地位を盤石にするためにちゃんとした後ろ盾となる三代公爵家の中から伴侶が欲しかった。

しかし、やってきたのは何の後ろ盾にもならない田舎子爵令嬢。と言うのが、今のお城の現状ですね。」



「…キレるわね。私なら泣くわ。」

(実際キレられてたし。)


 この情報で自分の置かれた立場は理解できた。
 今後の振る舞いを考えて差し障り無く終われるようにするのか。
 結構詰んでるように思うけど。

 やっぱりどっかで逃げる必要あるわね。
 抜穴一つ見つけただけじゃ甘かったかしら。

「ユラ、今から出掛けるわよ!」

しおりを挟む
感想 109

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

皆様ごきげんよう。悪役令嬢はこれにて退場させていただきます。

しあ
恋愛
「クラリス=ミクランジェ、君を国宝窃盗容疑でこの国から追放する」 卒業パーティで、私の婚約者のヒルデガルト=クライス、この国の皇太子殿下に追放を言い渡される。 その婚約者の隣には可愛い女の子がーー。 損得重視の両親は私を庇う様子はないーーー。 オマケに私専属の執事まで私と一緒に国外追放に。 どうしてこんなことに……。 なんて言うつもりはなくて、国外追放? 計画通りです!国外で楽しく暮らしちゃいますね! では、皆様ごきげんよう!

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

彼女が望むなら

mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。 リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

虐げられた皇女は父の愛人とその娘に復讐する

ましゅぺちーの
恋愛
大陸一の大国ライドーン帝国の皇帝が崩御した。 その皇帝の子供である第一皇女シャーロットはこの時をずっと待っていた。 シャーロットの母親は今は亡き皇后陛下で皇帝とは政略結婚だった。 皇帝は皇后を蔑ろにし身分の低い女を愛妾として囲った。 やがてその愛妾には子供が生まれた。それが第二皇女プリシラである。 愛妾は皇帝の寵愛を笠に着てやりたい放題でプリシラも両親に甘やかされて我儘に育った。 今までは皇帝の寵愛があったからこそ好きにさせていたが、これからはそうもいかない。 シャーロットは愛妾とプリシラに対する復讐を実行に移す― 一部タイトルを変更しました。

処理中です...