身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式

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第1章

もう結婚するらしい2

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「これはもう、やるしか無いわね。」

「何をですか?」


「私、お城から脱走するわ。」

 あれから何度か1人で(いつも運良く木の枝元に飛んで着地できる。)散策をして抜け道を探した。こんな時の為に準備をしておいたのだ。こんな広大な土地を持つお城なのだからどっかに何かあるはずだと思っていたのだ。

それを使う時がこんなに早いと思わなかったけど、ここはもはや逃げるしかないだろう。

「…そんな事したら、お城中が大騒ぎですよ。絶対やめてください。」

「だってもうトントン拍子過ぎて怖い!

何で候補から結婚の流れがこんなにトントン拍子なのよぉ…。

何かの詐欺みたいじゃないの、まだ候補ですよって安心させておいて…
優秀なフェリミアでも無理なら、私なんか皇妃になる前にカルロ皇太子とかに殺されそうだよぉぉぉ。というか、初夜で殺されるよぉ…」

「使者と会うときアレンに無茶はしないでと忠告されていたのに、思いついてすぐ行動するからですよ…
あの後ちゃんと話し合って良い方法を皆で別途考える時間さえあったらもうちょっと違いましたよ。

今後はちょっと考えてからにしてくださいね。
見てる私が心臓発作で死にそうですから…。」

 正論で叱咤されたテリアは、しくしくと泣きながらも反省せざるを得ない。
 慰めるように、ずっと頭に乗っていた猫が、テリアの横に降りて背中をトントンと叩いてくれた。

「…ところでお嬢様、その変わった色の猫は?」

「ぁあ。この子そこのバルコニーで拾ったの。なかなか賢い子で、人間の言ってる事理解出来るみたいなのよ。」

「(城内を散策してて見つけたのかしら…?)10年近く生きている猫にはある事だとは聞きますが、まだ成猫にもなっていないでしょうに。本当に賢いのですね。」

「ぇえ、餌もトイレも世話しなくても大丈夫みたいで…何処で餌をもらってくるのか、用意してもらっても食べないのよね。でも元気だし、動物のお医者様を呼んでもらっても、問題ないと言うし。」

「…見たところずっと、テリア様と一緒にいるのにですか?」

「そうね。不思議だわ。」

「……。」

 じっと真剣に猫を見つめているユラに対して、テリアはモフモフに癒されるべく猫と戯れていた。
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