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第1章
皇太子カルロ1
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俺の名前はカルロ・デ・クワムント。トラムア皇国の皇太子だ。
俺は皇帝の側室にすらなれない身分卑しい妾の子供として生まれてすぐ、長らく子供の産まれなかった皇妃に引き取られた。因みに生みの母は俺を生むと共に亡くなったそうだ。
だが、俺が皇太子になってから5年の月日が流れた後、子の出来なかった皇妃が奇跡的に男児を産んだのだ。現状皇位継承権第2位の皇子とされている。
幼いながらにすぐに、己の身の危険を悟ることとなったのは、何度も第2皇子派に暗殺されかけたからだ。
だから、俺は盤石な基盤をつくり、尚且つ信用できる後ろ盾を得るために、有力な3代公爵家の中から婚約者を決めなければならなかった。
急に婚約者が決まったと知らせが届いた時には背筋が凍り付いてしまったのは言うまでもない。
何と、相手は田舎の子爵令嬢と言うではないか。
決めたのは他でも無い、俺の母であり国母とされている皇妃の進言によって決められたそうだ。
俺の前では分け隔てなく、接すると言ったその口で。俺にさっさとこの王宮で死んで弟へ継承権を譲れと指示を出された気がした。
しかも聞けばその子爵令嬢は率先して皇妃候補として王宮に来たいと言った程で、野心見え見えの者だとか。
(何も知らずに、馬鹿め。おまえの役目は俺と共に始末される事だ。)
数日たっても怒りはおさまらず、そんな馬鹿と共に排除されてゆく歯痒さに寧ろ苛立ちは募る。
お茶会と言うものが催されることになったが、当然乗り気にはなれなかった。
時間は開けられていたのに、足が茶会の部屋へ向かうのを拒んだ。
けれど、何度目か使用人達に促されてようやく重い足を部屋へと進めたのだがー…
想像していた田舎の子爵令嬢とは違ってそこに居たのは、珍しいピンクゴールドの髪、黄金色の瞳。陶器のように白い肌で、見た事も無いくらいに美しい少女だった。
厳禁なもので、途端にさっきまでの怒りが引っ込んでくるが、そんな自分を叱咤する。
(見た目に騙されるな。こいつには強かな野心がある。でなければ率先して王宮になど来ないからな。)
俺は皇帝の側室にすらなれない身分卑しい妾の子供として生まれてすぐ、長らく子供の産まれなかった皇妃に引き取られた。因みに生みの母は俺を生むと共に亡くなったそうだ。
だが、俺が皇太子になってから5年の月日が流れた後、子の出来なかった皇妃が奇跡的に男児を産んだのだ。現状皇位継承権第2位の皇子とされている。
幼いながらにすぐに、己の身の危険を悟ることとなったのは、何度も第2皇子派に暗殺されかけたからだ。
だから、俺は盤石な基盤をつくり、尚且つ信用できる後ろ盾を得るために、有力な3代公爵家の中から婚約者を決めなければならなかった。
急に婚約者が決まったと知らせが届いた時には背筋が凍り付いてしまったのは言うまでもない。
何と、相手は田舎の子爵令嬢と言うではないか。
決めたのは他でも無い、俺の母であり国母とされている皇妃の進言によって決められたそうだ。
俺の前では分け隔てなく、接すると言ったその口で。俺にさっさとこの王宮で死んで弟へ継承権を譲れと指示を出された気がした。
しかも聞けばその子爵令嬢は率先して皇妃候補として王宮に来たいと言った程で、野心見え見えの者だとか。
(何も知らずに、馬鹿め。おまえの役目は俺と共に始末される事だ。)
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お茶会と言うものが催されることになったが、当然乗り気にはなれなかった。
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けれど、何度目か使用人達に促されてようやく重い足を部屋へと進めたのだがー…
想像していた田舎の子爵令嬢とは違ってそこに居たのは、珍しいピンクゴールドの髪、黄金色の瞳。陶器のように白い肌で、見た事も無いくらいに美しい少女だった。
厳禁なもので、途端にさっきまでの怒りが引っ込んでくるが、そんな自分を叱咤する。
(見た目に騙されるな。こいつには強かな野心がある。でなければ率先して王宮になど来ないからな。)
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