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第1章
目が覚めたら2
しおりを挟む(うん、やっぱりあれは夢だわ。)
誰にも今後知られる事は無いと思うけど(私の夢だから。)この主人を小馬鹿にしているのを隠そうとしているように見せかけて、隠してない執事のアレンは、あの夢の中でとってもかっこよく私を逃した。
迫りくる追手から私を逃すために、ユラに私を託して己はナイフを両手に構えて言ったのだ。
『先にいけ ユラ、お嬢様を頼んだぞ。』
…と。
こんなイケメンなシーンや台詞を今目の前で私を小馬鹿にして…いや馬鹿だと思っているのを隠してない目を向けてくる奴が言う訳がない。
(良かった…。 あれが、夢でー…)
心の声を呟いている中、ふいに私は力強く引っ張られて、侍女のユラに強く抱きしめられた。
「ユラ?」
私はユラよりもこんなに背が低かっただろうか。確か私が16歳になった頃からそんなに背丈も変わらなかったはずなのに。
抱きしめられた私は子供を大人が抱きしめているかのように、ユラは私を抱きしめる為に屈んでいる。
彼女の様子がおかしくて、腕の中でもぞりと動いて、その身をよじり引き離そうと見上げると、ポタポタと私の頬に涙の滴が降り注いでいるので、固まって目を見開いた。
ユラが、あのいつも冷静で、しっかり者で、幼い頃悪戯していたら私を叱り付けていたユラが。泣いている。
その後ろで、そんなユラの様子にアレンも驚いているのが見えた。
「お嬢様、お嬢様、良かった。これは現実なのですね。生きて、おられるのですね。」
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