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「基本的に大したものは載ってないんだが、一輌目は食料や医薬品、
二輌目は雑貨や衣料品、三輌目はまあ坊主には関係ないがクズガーネットの原石だ。
町までは二日はかかる。まあ、ゆっくり物色してくれや。」
メチールがそう言ってくれたので、俺は遠慮なく物色を始めた。
まずは食料。干し肉やドライフルーツなどがメインのようだ。
生鮮品は皆無に等しい。おそらく鉱山に全ておいて来てしまったのだろう。
とはいえ、これからのことを考えれば保存のきく食料のほうがかえって望ましい。
基本的には商隊のメンバーのための食料がほとんどだろうから、
あまり欲をかきすぎるのは考え物である。彼らの必要分を取り除いてもらった後の
残り物をいただくとしよう。ということで、これは一時保留だ。
医薬品はぜひ欲しい。しかしどれが何に効くか皆目見当がつかない。
これも一時保留だな。
「すいません。食料と医薬品はぜひ譲って欲しいんですが、
皆さんの必要量がわからないのでいったん保留で。
衣料品を見せてもらってもいいですか?」
快諾を得て二輌目に乗り移る。服は全般的に地味目だ。
まあ、鉱夫が作業時以外に着るものなんだろうし、お洒落なものは期待できないよな。
そんなことを考えながら数着選ぶ。ありがたいことにサイズはそう違いがなさそうなので
小さすぎたり大きすぎたりというのはなさそうだ。
次は雑貨。鉱夫御用達の金づちやノミ、鉱石を運ぶためのざるや木箱などがメインだが、
革製の袋や水筒、他に小さめのはしごなどは便利そうだ。
後は家族に手紙を送るためだろう。そこそこの量の紙と筆記具があったがこれは必要ないかな。
「すいませーん。三輌目も見せてもらっていいですか?」
えっ。三輌目はクズ石だから見ても大したものないよ。」
少々慌てた様子でメチールが返事をする。
「でもほら俺も一応鉱夫なもんで、こちらでどんなものが採れるのか興味があるんですよ。」
「そうかい。なら仕方ないな。
雑に積んであるから崩して怪我しないように手前の物でもみてくれ。」
あまり歯切れのいい感じではなかったが了承はもらえたので、
「はーい。」と明るく返事をして三輌目に乗り込む。
三輌目の手前は何もない空間になっている。商隊のメンバーが夜寝るためのスペースだろう。
真ん中はカーテンで仕切られていて、恐らくその奥に鉱石が積んであるのだろう。
「お邪魔しまーす。」と馬車に乗り込み奥へと歩を進める。
すると、今までおとなしくしていたオパールが耳元で囁くように言う。
「奥に何か力を感じますわ。」
「えっ。それってやばい?」と聞き返す。
「いえ、力と言ってもそれほど大きなものではありません。
それにやばいというよりなにか暖かさを感じますね。」
一応警戒しながらカーテンを開ける。
薄暗い空間に木箱が数段ずつ積まれているのが確認できる。
「崩れると危ないから奥にはいくなよ。」御者の男が声をかけてくる。
「はい、了解です。」俺は御者に答える。
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