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わたし
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幼い頃から、自分の名前を呼ばれるのが嫌いだった。もちろん、両親が何日も考えてつけた名前であるし、わたしのことを大切に思ってつけてくれた名前だ。それでも、その男の子の響きである自分の名前を好きになることはできなかった。
ものごころついた時には、私はすでに自分のことを女の子だと思って、過ごしていたし、見た目も女の子らしかったから、周りも私の性別に対して疑う人はいなかった。
ただ、ある日を境に、母親はそんな私の姿を見て、叱るようになっていた。
「どうして、いつもそんななの。もっと、男の子らしくしないと。」
男の子らしく。それが彼女の口癖だった。父親はまあ、いいじゃないか。なんていうけど、父は完全に母に敷かれているタイプの人間だったため、そうやって少しだけ形式上で私のことをかばい、それ以上のことは特になにもしなかった。結局は、母の言っていることがすべてで、それが押し通された。
そんな母も私が本当にちいさい頃は可愛いお洋服を買ってくれていたこともあった。それこそ、ピンクのワンピースみたいなものを。母が最後に私にかわいいねと言ったのは、そんな、いかにもなワンピースを着ていたときの日だった。その日は誕生日でクマのぬいぐるみの入ったプレゼントをもらっていた。
母親が私に本心で笑いかけたのはあれが最後だったのでないかと思うくらい、その後、私たちの関係は悪化した。
ものごころついた時には、私はすでに自分のことを女の子だと思って、過ごしていたし、見た目も女の子らしかったから、周りも私の性別に対して疑う人はいなかった。
ただ、ある日を境に、母親はそんな私の姿を見て、叱るようになっていた。
「どうして、いつもそんななの。もっと、男の子らしくしないと。」
男の子らしく。それが彼女の口癖だった。父親はまあ、いいじゃないか。なんていうけど、父は完全に母に敷かれているタイプの人間だったため、そうやって少しだけ形式上で私のことをかばい、それ以上のことは特になにもしなかった。結局は、母の言っていることがすべてで、それが押し通された。
そんな母も私が本当にちいさい頃は可愛いお洋服を買ってくれていたこともあった。それこそ、ピンクのワンピースみたいなものを。母が最後に私にかわいいねと言ったのは、そんな、いかにもなワンピースを着ていたときの日だった。その日は誕生日でクマのぬいぐるみの入ったプレゼントをもらっていた。
母親が私に本心で笑いかけたのはあれが最後だったのでないかと思うくらい、その後、私たちの関係は悪化した。
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