オレ様&ドSな神楽様は、地味目な彼がお好きでした。

夕時 蒼衣

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観察日記③

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 一時間目。授業は数学。数学という響きで、今朝のことを思い出してしまった。予習は結局していないが、そんなことは今の僕にはどうでも良いことなのだ。思い出して、顔が暑くなるのを直に感じた。暑い。思わず、シャツを前後にパタパタとさせて、涼をとる。
  こんな風に変な汗をかいたり、妙に暑く感じたりするのは神楽様のせいだ。神楽様が悪い。僕のことをからかって、あんなことをするなんて。そう、頭の中でまた一人で思いだし、顔が熱くなる。
 クラスで唯一、暑がっている僕とは反対に、窓側の席とは逆の廊下側に座っている神楽様は涼し気に数学を解いている。
 さらさらと解いて、彼はもう、先ほど先生が指定した問題を解き終わったようだった。さすが、僕の尊敬する神楽様だ。理系だということはすでにサーチ済みではいたが、このスピード感で解いていくのは、予習が完璧なのか、あるいは数学に愛されているかのどちらかだ。僕は、もちろん前者である。神楽様は後者のように感じられるが、いつも教室では友達に囲まれている神楽様が、家では真面目に予習をしているという姿も想像すると何とも言えない感情が僕の体をうずかせる。
 数学の教師が、何やら、神楽様に話しかけている。ずいぶんと和やかである。授業中にも堂々と彼に話しかけられる教師という立場を羨ましく感じた。まあ、僕が教師だったと仮にしても、きっと恐れ多くて毎度のように彼に話しかけるなんてことはできないだろうけどね。僕がこういうのは、この数学の教師。神楽様のことを気に入っている。見ていてそう思った。今まさにそう思ったのだ。そういえば、先週の授業でも、今日みたいに話しかけていてた気がしてきた。
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